2025年2月21日 (金)
2025年1月24日 (金)

東京ではIVS Japanというイタリアワイン専門のワイン愛好会の集まりがあり、毎月ランチ会と

時にディナーやセミナーなど多様なスタイルで開催しています。

トリノにも50代~70代の方々が集まるワイン愛好会があると知り参加してきました。

テーマは『リグーリア州のロッセーゼ・ディ・ドルチェアクア』

リグーリアと言えば地中海に面して夏のリゾート地で賑わうポルトフィーノやチンクエテッレが有名ですね。

この辺りは東側で白ワイン、ピガートやヴェルメンティーノがとても美味しいエリアです。

今回は西側ポネンテ地域の黒ブドウ『ロッセーゼ』のRossese di Dolceacqua DOC を

6種類をテイスティングしました。1

毎回生産者が登壇してセミナーしてくれます。ロッセーゼのワイナリー3社

テッレ・ビアンケ(日本にも輸入あり)、KA'MANCINE(カ・マンチーネ)、Tenuta Anfosso(テヌータ・アンフォッソ)は

 3人一緒に車で5時間ほどかけて来たそうです。

テッレ・ビアンケの生産者がロッセーゼの歴史や土壌などについて語ってくれました。

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急斜面 ACCLIVITA'

ロッセーゼを造る畑は丘陵の上部で、基本的に北の山側から南の海へ向かって、溪谷がいくつもあります。

イタリア語で『EROICA』という英雄的栽培方法のひとつとして知られる地域です。

つまり急斜面での栽培を強いられるからです。傾斜は21-50%だそうです。

『Muretti a secco』という石垣を作り段々畑状にします。機械化は殆どできないので作業は困難です。

土壌 :ブルーがかったマール(泥灰土)、ガレストロ(Flyshフリッシュ)の礫状石など、少しの距離で異なる。

この辺りもランゲなどのように区画別け(Menzioni/Unita’ geografiche)があり、NOMERANZE(ノメランツェ)と呼ばれます。

このUGAは2011年から取り入れられ、現在33のNOMERANZEがあります。

基本的に歴史的な条件、ミクロクリマ、土壌などを考慮して分けられています。

根が深く伸びているのが分かります。平均樹齢は45年だそうです。

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ブドウ『ロッセーゼ』は紀元前5-6世紀に遡り、ギリシャ‐マルセイユ人がポネンテにヴィティスヴィニフェラをもたらした時の一つと言われる。

その証拠としてこの辺りの方言にギリシャ語が残っている。例えば鍬のことをMa’chella’というそうです。

1885年にドルチェアクアにもフィロキセラが入ってきました。

1972年 DOC『il Rossese di Dolceacqua』がリグーリア初のDOCとして誕生します。

ロッセーゼのブドウは果皮が薄く、病気にも弱いので栽培が困難です。

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テイスティングは2種類づつ比較しながら進めます。合わせる食事は リグーリアのフォカッチャ・レッコは基本チーズが入ったもの。 

会場は彼らの所有する部屋でレストランではないので、基本的にケータリングや買ってきたものを温める程度。

①KA’MANCINE 『BERAGNA』2023

     カ・マンチーネは1988年創業。4ヘクタールの畑にロッセーゼのブドウだけ栽培する。

  このワインは酸がありフレッシュですが、樹齢は古いものだそうで、バランスがよい。

 ②TERRE BIANCHE 『DOLCEACQUA』2023

 こちらは日本にも入っており、受賞もたくさんしているワイン。

 2023年で若いですが、香りも複雑で構造のしっかりした余韻を楽しめる仕上がりです。

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③KA’MANCINE 『GALEAE』2023 

  ①の彼のワインよりもアルコール度14%に上がり、ボディがあります。

④TENUTA ANFOSSO『POGGIO PINI』 2021

  ラベルの2本の樹はよく見ると男女が抱き合っている、作り手もアーティスティックな方でした。

  昔からこの辺りでは枝を一緒に圧搾してきたそうで、彼の代から半分に減らしたそうです。

  おそらくそれに起因するヴェジタブルな香りが特徴的でした。

 野菜のキッシュを合わせて頂きました。

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⑤TENUTA ANFOSSO『LUVAIRA』 2021

⑥TERRE BIANCHE 『TERRABIANCA』2023

写真を忘れたのですが、豚肉の煮込みを合わせました。

本来はリグーリアの郷土料理『Capra con i fagioli』ヤギ肉とインゲン豆の煮込み料理がよく合います。

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会は20:00~22:30 頃まで続き、テーブルで一緒になった人たちと友達になったり、生産者と交流したり、また注文もできます。

この主催者『コンパニア・デル・カリチェ』が受取り、購入者は引き取りに来るそうです。

殆どの人が車でいらしてましたが、ここ最近は飲酒運転の取り締まりが厳しくなったようで、

運転手は注意が必要がそうです。

IVS Japanの話をすると、いつか日本と繋いで開催したいですね、と喜んでおられました。

la compania del calice 『ラ・コンパニア・デル・カリチェ』

ホームページ:https://www.lacompagniadelcalice.it/

 オルトレポパヴェーゼの標高380mの丘陵地モンタルト・パヴェーゼに約40haの畑を所有する。この辺りは白ブドウとバルベーラを栽培し、7㎞ほど離れたチゴニョーラでは黒ブドウ、コラティーナとウーヴァラーラを栽培している。モンタルト・パヴェーゼの城を背景に畑が広がっている。

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年間15万本の生産量。現在の当主は3代目にあたる家族経営。SaraさんとStefaniaさんの姉妹がカンティーナを管理し、弟が畑を管理している。母親は現役のスーパーバイザーだそうです。

ですから祖父の代に始まったワイナリーで、70年代にようやくあらゆるタイプのワイン造りを取り入れて発展してきました。この辺りは Valle di Rieslingリースリング溪谷と呼ばれるほど、リースリング栽培に適している。粘土質と石灰石が広がる土壌で、ミネラルをブドウに与えてくれる。別の黒ブドウが多い畑では砂質が多く含まれる。

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写真右)SARAさんが持っている石がこの辺りに見られる石灰質石。

【収穫について】

近年の気候変化によって収穫時期は約2週間前倒しとなり、ブドウは健康だが小さく、糖度が高い状況で
摘むことになる。よって最近は白ワインでも14-15℃、赤では16℃と高めである。

やはり温暖化で注意するのはブドウが完全な状態で収穫されること。既に潰れていると酸化やカビが
発生し易くなります。また収穫から圧搾までの時間を出来るだけ短くしています。

機械摘みの場合、ブドウの樹を強く叩いて果実だけを取り込み、枝は残します。それだけ、果実を潰し
易い状況になるのです。よってメトドクラシコのスプマンテ用のピノネロは手摘みで1かごに18kgまで
取り込んだら次のかごへという風に潰さないよう注意を払っています。
2024年はその前、一昨年前も干ばつに悩まされたのに対し、春、秋と大量の雨が長く続いたことで、
畑の管理に苦労を要した。収穫量は40%の減少、とりわけクロアティーナは遅い収穫時期のものなので、
更に減少した。

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ここも人手不足もあり機械化を進めている。畑は縦に栽培し(Ritocchino)機械が入りやすい仕様に
変えた場所も多い。栽培仕立てはグイヨ仕立て、特に機械化を進めているところは、高めのカザルサ
Casarsaを採り入れている。

2020-2021年は雪が沢山降ったそうで、真っ白な畑の写真があった。雪や氷の重みでブドウの樹の枝が
折れる音が聞こえたそうです。しかし、ブドウの樹は休眠期なので全く悪影響はなく、むしろ雪が
じわじわ溶けて土深く水がしみ込んでいくことが、土壌にはとても有効である。

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ピノネロ・メトドクラシコ・スプマンテの醸造

写真左のジャイロパレット(動瓶・ルミアージュ作業)は木製で珍しい! 
彼らも少量しか持ってなかった為追加注文したが、もう作ってないそうです。
写真右の手動ルミアージュはもう使用していない。

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右上の写真をよく見ると、ひとつ穴が開いているのが分かりますか?

全てマニュアルで並べているそうで、たまに起きてしまうそうです。

ピノネロの長期熟成に向いている性質から4-5年は酵母Lievitoとのコンタクト(2次発酵)を行います。試験的に15年ものもあります。

年間約50,000本の生産をしているが、澱引き(デゴルジュマンSboccatura)は同時には行わない。
出来るだけ酵母とのコンタクト期間を長くするために、年に数回に分けて澱引きを行います。
デゴルジュマンの機械は専門の車両サービスに依頼している。車両内に最新の設備を整えて
必要な時にやってきてくれるので、ボトルを運ばなくてよく、また費用的にもコストダウンできる。

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【BUTTAFUOCO Fajro DOC 2021】 ブッタフオコDOC

 火を放つという意味の名前で面白いこのDOCは限定的に生産されている。

 7つのCOMUNE(村)に制限されている。
 クロアティーナ50% バルベーラ 40% ウーヴァラーラとヴェスポリーナ 10% 
 規定では義務ではないが、基本的にタンニンしっかりなため、樽を使用して熟成させます。

 クロアティーナはフェノール熟成が遅く、皮が厚い。ボディを与える。
 バルベーラは皮が薄く、繊細。ちょっとした雨などの刺激で破れやすい。酸を与える。
 ウーヴァラーラは色を与える。ヴェスポリーナはタンニンとスパイス香を与える。
 ブレンドなので各品種の特徴によってバランスのよいワインが生まれる。

 収穫は同時に行うので、各4種のブドウがいい状態である時を見分ける必要がある。

[ワインテイスティング]

【RIESLING O.P. DOC BRINA】リースリング DOC ブリーナ

※アルトアディジェで開催されるリースリング・コンクールで上位に入り、注目されている。
ブドウ:リースリング・イタリコ
手摘み収穫後、出来るだけ早めにソフト圧搾を行い、フレッシュさを保っている。その後
温度管理されたステンレスタンクで醸造し、ボトリングまで寝かせる。

色は薄い麦わら色で緑がかっている。香は強くフローラル、フレッシュなトロピカルフルーツ
やリンゴなど味覚でも酸がしっかりあり、ほんのり苦味を感じる余韻が長い。
アルコール度数
13% vol


【PINOT NERO METODO CLASSICO BRUT MILLESIMATO DOCG 2018】

 ピノネロ・メトドクラシコ ブルット ミッレジマート2018 DOCG

受賞したワイン! 標高の高い畑で栽培、36カ月以上酵母とのコンタクト(Presa di Spuma)
栽培仕立ては カザルサ casarsa (高めの仕様)
残糖度 5g/L  Brutと表示しているが、Extra Brutのカテゴリーでもある。
イタリアは残糖度低めが流行っているようです。

澱引き(Sboccatura)は一斉に行わないので記載するようにしている。2024年11月と記載。
アルコール度数 13%
手摘みでソフト圧搾。ステンレスタンク17-18℃でアルコール発酵。ワインベース、
糖、培養酵母(ティラージュ)を加えてボトリングー12~14℃で2次発酵へ。

36か月以上酵母とのコンタクトを行う。

澱が固まらないようにルミアージュ(動瓶)を行い、販売前に澱引きをして栓をします。

色は輝きのある麦わら色。気泡は細やかで持続性がある。パンの外側の硬い部分の香りなど。
酸がしっかり、エレガントな仕上がり。

【BUTTAFUOCO DELL'O.P. DOC FAJRO】
 ブッタフオコ デッロルトレポパヴェーゼDOC ファイロ 2021

4種類のブレンド
木樽(使用済み)で2年の熟成を施す
アルコール度数 16.5%
色は濃いルビー色。香りはベリー系のジャム、スパイス香が強く感じられる。口に含むと
ボディのしっかりとした余韻が続く。

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HP:https://www.cadelge.com/it/
2025年1月訪問 Kyoko M 

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オルトレポパヴェーゼのほぼ真ん中に位置する、標高約500mの場所にカステッロ・ディ・ステファナゴ、まさにお城の中のワイナリーがある。

約140haの所有地のうち20haのみブドウ栽培に使用している。

これはステファナゴの哲学である『BIODIVERSITA’多様性を守る』為であり、森によって他からの汚染を防ぎ、鳥が止まる木々やえさが確保され、蜂による受粉で花が咲き作物が育つといった自然のバランスを守っている。

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Giacomo Baruffaldi氏は城のオーナーであり伯爵のタイトルを持つが、とても親しみ易い考えを持っている方です。ワインの需要が低迷する要因には、ワインは仲間と楽しむもので主人公になる必要がない。品種やワイン名の知識が必要という固定観念があり、自由に味わえない現状があるという。そこに見えない壁ができ、ワインを難しいドリンクと捉え、特に若者のワイン離れでビールやジンなど他のアルコールに流れている。



実はイタリアでは今大きな問題となっているのが、飲酒運転の取り締まり強化である。0.5という数字を超えると直ぐに免許はく奪というので、レストランで外食した際に飲まない傾向が、むしろ外食を控える傾向があるそうで、レストラン業界、ひいてはワイン業界は大きな痛手を負っている。

日本では既に厳しいのですが、イタリアは車でしか行けないレストランが沢山あり、警察のコントロールもないに等しかったので、普通に飲んで運転して帰っていたのがこれまでの現状です。

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ビオロジックの認証を取っており、さらにナチュラルな製法として、添加は一切行わず、

唯一亜流酸塩は必要なときだけ、最大30mg/Lまで添加する。通常ビオは白ワインで150mg/Lなので、非常に少ないことが分かる。

年間6万~8万本生産しており、大きく2つのラインがある。

Stefanago:ブドウ本来の味わいを表現するため、基本完熟を待って醸造する。

②Stubenagh:10年前に出来たラインで、アルコール度数12%までの飲みやすく、形式ばらずに楽しめるワイン。

 中にはシャルドネのオレンジワインをOrangiosauroオランジオザウロと名付けたり、

 PIWI(Bronner)を使用したりと、果敢に新しい技法で有効なものにチャレンジしていると思う。

その他、各種マグナムサイズ(Grandi formati)とピノネロやリースリングの長期熟成タイプがあります。

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2021年はイタリア全体で一番生産、販売が伸びた年で、これはコロナの影響が大きい。ステファナゴも同様でその後少し落ちたがそのまま維持してるというので素晴らしい。昨年度は輸出より国内需要が伸び、輸出先はアメリカ、日本、北欧、ベルギー、フランスなど、新しいところでは韓国が伸びているそうです。 

 彼のスプマンテはアンセストラーレ方式を用いているのだが、目的は完熟したブドウを使用したいからである。Giacomoさんは、通常のスプマンテとの違いが分かるように、スプマンテ製法の基礎を話してくれました。 「ブドウの収穫は糖度が11~11.5%に達した時点で行う、つまりフェノール熟成(Maturazione Fenolica)の前に行い、糖25g/Lと培養酵母を加えてアルコール発酵を行うことで、12.5%のアルコール度数のスプマンテに仕上がる。」

彼の場合は、完熟を待って収穫するため度数は熟成度合いによる。自然酵母を使用し、ブドウに含まれる糖を食べてアルコール発酵、そのままボトルに詰め、発酵は持続する。澱とのコンタクトは24か月~100カ月まで幅広いバージョンを造っている。

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【24か月のピノネロのスプマンテのテイスティング】
 アルコール度数13%、気泡はとても細かく、持続性もある。
 完熟したブドウは通常のピノネロのようなベリー系の香りではなく、トロピカルな完熟したフルーツ
感じさせる。さらにミネラルがしっかり。その証拠に土壌は20-30m粘土とシルト、砂質、
その下には石灰質
土壌が広がっている。香はフローラルで心地よいバルサミックとどんどん発展して
いく。これが楽しい。

まろやかさと酸度のバランスが良く取れている。ボディがあるので食事とのアッビナメントも楽しめる

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【Cuve'e 48か月 ピノネロ80%、シャルドネ20%スプマンテのテイスティング】

ピノネロのスプマンテは上記と同様にアンセストラーレ方式で造られ、デゴルジュマン(澱引き)の時に樽熟成したシャルドネを加えて仕上げます。

色は黄金色、香り風味共に複雑で豊か。48か月経過だけに発展が進みミクロ酸化が見られる。注いで直ぐは上部に銅色のベールがあるが、時間とともに沈んでいき透明感が出てくる。

シャルドネ、樽使用からバター香、ナッツが感じられ、同時に酸があるので、泡が落ち着くとスティルワインのような感覚が残り、リゾットなどしっかりアビナメントを楽しみたい。とにかく発展していくのでゆっくり味わいたいワインです。

【ピノネロのロザート 60か月のスプマンテ 2018】開けて1週間のテイスティング
色は銅色、数時間果皮とのマセラシオンを行っている。泡は少ないが未だ存在し持続性もある。
完熟ブドウから来る濃厚な香りと味わいが楽しめます。

【ヴィーノ・アロマティッザート】
アルコール7%なのでワインではなく、ヴィーノ・アロマティッザートのカテゴリーとなる。

残った搾りかすを水で洗ってアルコール発酵させる。 地域によるがこの辺りは ワインと名乗る
には9%以上のアルコールが必要。 酸の高いドリンクで、カルボナーラなど食事と合わせたい。
この製法は昔から伝統的にあり、この辺りではグラーナ(Grana)と呼ばれるそうです。

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【リースリング】アルコール度数13% 

 いわゆるぺトロール香(炭化水素、焼けたゴムといったイタリアの表現もあります)はしっかり
あるが、完熟したブドウのフルーツの香りが凝縮しているのがこのワインの特徴だと思われる。
お花はエルダーフラワーなどバルサミックな香りも広がります。とても酸が高く、若く感じるのは
スクリューキャップに変えてから大きく変わったそうです。

【ピノネロ Sbarbatello】アルコール度数13% 

 ピノネロ100%、シンプルな製法。果皮とのマセラシオンを行っている間に、ほんの一部はセミカルボニック・マセレーションによって自然発生のガスを作りだす。その後ステンレスタンクで発酵させ、寝かせてボトリング。ノンフィルター。


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HP:https://www.castellodistefanago.it/

2025年1月訪問 Kyoko M 

2025年1月23日 (木)

今回イタリアはBibendaの専任ソムリエ講師Mimmaさんとオルトレポパヴェーゼに住むジャーナリストLucianaさんの協力で、オルトレポパヴェーゼを訪れ、歴史から現在のワイン事情を掘り下げて参りました。

オルトレポパヴェーゼはイタリア内でも認知度が低いエリアですが、ワインと食、ツーリズムのポテンシャルが高いことに注目し、Lucianaさんの友人、ヴァルツィのマラスピナ城に住む伯爵も協力下さり、日本市場に広めるプロジェクトを考えています。

1.オルトレポパヴェーゼはどこにある?

Oltrepoopavese_5 ミラノがあるロンバルディア州の南部に、横断するポー川で三角形に切り取られた場所

 現地ではブドウの房の形と呼ぶ。

 オルトレポとはポー川の向こうという意味

⇒⇒ワイン造りの大半はこの北東部分に集中しており、標高200-250m

  ⇒Ca' del Ge' (今回訪問したワイナリー)標高350m

⇒⇒カステッロ・ディ・ステファナゴ今回訪問したワイナリー)ほぼ真ん中に位置し、標高550m

⇒サラミDOPで有名なヴァルツィの町

 マラスピナ城ー現在も伯爵が住む 

⇒南にはアペニン山脈、最南は標高1700m


ピエモンテ州、エミリアロマーニャ州、リグーリア州に囲まれ、北側はポー川という自然の境により、北側の都市パヴィアやミラノへ、南リグーリアの海から届く品を運ぶ道(塩の道)として、文化、商品の行き交う場所として歴史的に発展してきた場所である。

2.どんなブドウ品種が栽培されているのか? 

ブドウ栽培はローマ時代に遡ります。現地の人が言うには土壌は豊かでどんな品種でも上手く育つため、逆に個性を打ち出せずに来てしまったそうです。

基本的な土着品種は、バルベーラ、クロアティーナ、ウーヴァラーラ、ヴェスポリーナ、コルテーゼ ビアンコですが、近年DOCGにも認証されているピノネロのメトドクラシコのスプマンテが、世界的に評価されるほどレベルが高く、ピノネロの栽培も増えています。世界で3番目の生産量。

またValle di Riesling(リースリング溪谷)と呼ばれる地域があるように、リースリング・イタリコを中心に、リースリング・レナーノもクオリティが上がっており、今回訪問したワイナリー『Ca' del Ge'』はイタリア国内リースリングコンクールで、アルトアディジェのリースリングと並んで受賞しています。

3.ブドウ栽培エリアは? 

ポー川の近くの生産が多いので平野部のワインと思われがちだが、平野は少なく、南のアペニン山脈に向かって標高は1700mにまで達する地形。約13,000haの広大な栽培地。 

ロンバルディア州のワイン生産量の約65%を占めます。約160のワイナリーが存在します。

ワイン造りの大半はこの北東部分に集中しており、標高200-250mの丘陵地の第1段階にあたる。

ワイナリーCa’ del Ge’は350m~の丘陵地第2段階。

ワイナリーStefanagoは500m~の丘陵地第3段階、ここからはアペニン山脈に向かって標高は上がっていきます。

 4. ワインの種類は? 

原産地呼称(Denominazione)は7つあります。

DOCGは1つ:オルトレポパヴェーゼ DOCG メトドクラシコ ピノネロ(ロゼ・クルアゼも含む)l’Oltrepò Pavese DOCG Metodo Classico Pinot Nero (anche versione Rosé – Cruasé)

DOC 6つ:

‐ Buttafuoco dell’Oltrepò Pavese DOC

‐Bonardadell’Oltrepò Pavese DOC

‐Oltrepò Pavese Pinot Grigio DOC

‐Pinot Nero dell’Oltrepò Pavese DOC

‐Sangue di Giuda dell’Oltrepò Pavese DOC ※ドルチェワイン

‐ Oltrepò Pavese DOC(Barbera, Pinot Nero (bianco, frizzante e spumante),Riesling)

 5.塩の道はここにもあるんです!

 『VIA DI SALE』塩の道は、ローマに続くアドリア海のチェルビア塩田からの道や、ジェノヴァからフランスに続くピエモンテを通過する道(ここからアンチョビは生まれた)などが有名だが、ジェノヴァから塩といっしょにあらゆる商品が入って来て、北のパヴィアやミラノの人が多く住む都市へ運ぶためにできた道であり、その通過点の中心がヴァルツィ、商人の集まる場所で、ワインやサラミなどの郷土食材と物々交換していたそうです。

そこから生まれたのがヴァルツィのサラミ!

 6.ヴァルツィのサラミ Salame di Varzi DOP 

Varzi_salami 風味の優しさが特徴的!

 レシピの特徴として、肉は脂肪分の少ない部分を使用します。そして塩漬けする際に、胡椒を丸ごと入れ、ニンニクを漬け込んだ赤ワイン、通常バルベーラを加えます。ニンニクは直接入らないため、優しい風味が生まれるのです。

 【サラミの食べ方】皮は取り除きます。手で割ってまず香りを楽しみます。サラミそれぞれ違います。胡椒も一緒に頂きます。手で食べる事で美味しさが増すそうです。



Tortamandorle

余談ですが、TORTA DI MANDORLE(アーモンドのタルト)も名産だそうで、驚くほど素朴な風味と食感が病み付きになります。



 7.マラスピナ城 ‐ヴァルツィ 

中世時代の城がいくつも残っており、国や地域で守られてはおらず、すべてプライベート。よって維持が大変です。 ヴァルツィの有名なお城はここマラスピナ城は12世紀から1700年代にかけて徐々に増築されたそうです。

こちらにお住まいの伯爵(Conte)とのランチにお招きに預かり、ヴァルツィのサラミとアーモンドのタルトを頂く機会に恵まれました。エンリコ・オデッティ伯爵(オーナー)はとても紳士でいい声 Bella voce! で話されていたのが印象的でした。

2部屋あるダイニングはパーティ、セミナールーム、披露宴会場としても使用できるそうです。

ホームページ:Castello Malaspina di Varzi 
https://castellodivarzi.com/

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2025 年1月訪問紀 LCIイタリアカルチャースタジオ Kyoko M

さてワイナリー2社については、こちらをご覧ください。

カステッロ・ディ・スフテファナゴ Castello di Stefanago ⇒クリック

ビオ、ナチュラルワインを中心にした造り手でやはりこちらも伯爵ですが、Giacomoさんはとても親しみやすい方でした。

カーデルジェ Ca' del Ge' ⇒クリック

家族経営で、姉妹が主に舵を取っているワイナリー。リースリングは素晴らしかったです。


オルトレポパヴェーゼ・ワイン保護組合のホームページ(日本語)
https://jp.consorziovinioltrepo.it/

2025年1月 1日 (水)

2025年10月3日(金)~10月12日(日)の現地9泊10日

≪11名様限定≫      満席御礼!

テーマは 『絵画のようなランゲのブドウ畑とポルトフィーノを満喫!』
★旅のポイント
◎何度行っても飽きないピエモンテ! 移動が少なく、ゆったり!
◎世界遺産ランゲ、眼前ブドウ畑のバローロに3泊、アルバ街中のアパートメントに4泊。
◎リグーリア州にも足を延ばします!『ポルトフィーノ』2泊。
◎世界から集まるアルバのトリュフ祭りに参加。
◎トリノの街散策:チョコレート、カフェ、リベルティ様式建築、フリータイムも!
◎ 日伊文化交流:トリノ郊外のご家庭で、イタリアの家庭料理と日本の食事を一緒に準備します!
◎バルバレスコ、バローロそれぞれ深堀りします!珍しい土着品種も体験
◎リグーリアのオリーブオイルテイスティング

※料金にはチャーターバスでの移動、滞在、通訳は含まれます。朝食、アクティヴィティ、お食事、
入館料などは一部含まれます。追ってご案内します。
 

【フライト】飛行機は自由ですが、ミラノ・マルペンサ空港出発・解散時間に合わせてください。

お勧めのフライトと料金はお申込みの際にご案内します。

 ≪旅程(予定)≫  *プログラムの変更はご了承ください。(写真はイメージです)

【1日目】ミラノ・マルペンサ空港集合(11:00)~ランゲ・バローロへ出発。 
日本でも有名なバローロ老舗ワイナリー訪問(Fontanafredda),
夕食とバローロ村を堪能 ≪バローロ3泊 アグリトゥーリズモ滞在≫
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【2日目】崖上に立つ修道院『サクラ・サンミケーレ』日伊文化交流:友人ご夫妻の

ご家庭で郷土料理を一緒に作りましょう。⇒バローロ村自由散策2

【3日目】バローロの景色を堪能し、もうひとつのワイナリー(違いを体感)⇒ 

ロバのパリオ(馬と違って自由な競争?!) ⇒ バローロ村自由散策 ⇒ホテルで夕食

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【4日目】モンフェッラートのワイナリー 土着品種初体験!⇒ ポルトフィーノへ

リラックスタイム、歩いて散策、夕食も徒歩圏内。

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【5日目】リグーリアのオリーブオイルテイスティング。

オリーブ農園、Muretti a seccoや Eroicaの畑、タイミングが合えばオリーブ収穫!  

トラゲット(船)で海側から美しい街並みを望む、地中海リグーリア湾の海岸、泳げるかも。

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【6日目】モンフェッラートのワイナリーで乾杯!ヴィスコンティ家のお城でランチ。

歴史あるInfernot(インフェルノ)地下ワイン貯蔵庫など散策。

⇒アルバのアパートへチェックイン。

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【7日目】トリノで1日過ごしましょう。往きは電車体験。トリノ名産チョコやカフェ巡りの街歩き。フリータイム。夕食後 ⇒チャーターバスでアパートへ

アルバの街中に泊まるのでお店はたくさん、自由にお出かけください。

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【8日目】バルバレスコ深堀りの1日。Barbaresco元村長と地質、土壌を歩いて学ぼう。カンティーナ訪問、更にバルバレスコのOrrizontaleテイスティングを企画中です!

⇒アルバの隣町ブラを散策、夕食。

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【9日目】アルバの国際的なトリュフ祭りはアパートメントから直ぐ!

終日ご堪能ください。翌日帰国なので持って帰り易いですね。

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【10日目】朝7時ごろ出発⇒9時ごろミラノ・マルペンサ空港着。解散!


※お勧めフライトプラン

1⃣ Finland※おそらくJAL共同運航

( 往路) 10/2(木) 23:05-05:55 AY074 成田空港⇒ヘルシンキ

     10/3 (金) 08:00-10:05    AY1751   ヘルシンキ⇒ミラノ・マルペンサ空港

(復路) 10/12 (日) 11:05-1505   AY1752  ミラノ・マルペンサ空港⇒ヘルシンキ

                     17:45- 13:05+1    AY073 ヘルシンキ⇒成田空港 

2⃣ANA 前泊プラン 

( 往路) 10/2(木) 00:55-09:20 NH207 羽田空港⇒ミラノ・マルペンサ空港 (直行)

 (復路) 10/12 (日) 11:20-07:20 +1    NH208   ミラノ・マルペンサ空港⇒羽田空港 (直行)


LCI イタリアxカルチャースタジオ

Email: info@lci-italia.com 

 

2024年12月22日 (日)

まだ日本に入っていない「VICARA」を訪問。

ASTI駅から車で30分ほど行くとMONFERRATOのアレッサンドリア県に入る。

ムッソリーニの時代にモンフェッラートは、アスティ側とアレッサンドリア側の2つに分けられたことで、アスティ側はアスティの名称を、アレッサンドリア側はモンフェッラートの名称を原産地呼称に使用しているが、元が一緒だったのでわかり難いところもある。

さて、当主Giuseppe Viscontiさんは名前からも分かる通り、あのヴィスコンティ侯爵とも遠い親戚にあたる方ですが、先祖の土地で、彼の祖父が始めたワイン造りを引き継ぐことに、10年前に決意してミラノから移ってきた。

この辺りの土地を15世紀から守ってきたビスコンティ家の頭文字VI, そこでコミュニケーションを担当していたCassinisのCA, ブドウ栽培をしていたRavizzaのRAを合わせて、「VICARA」として1992年に創業開始する。

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彼らの畑は点在している。時代を経て各ファミリーが所有する畑があり(Vadmon, Crosia e Bricco Uccelletta)、更にこの辺りの土地を研究したところ、3000万年前まで遡ると地質学的に12種類の土地に分けられるそうです。そこでポテンシャルのある土地を少しづつ買い戻しており、畑点在の理由のひとつです。14

向こうの山々が見渡せるように、モンテローザ(モンブランの次に高い山)も見えていたが、斜面は急で下方は溪谷であるため、このあたりは風がよく抜ける。また標高もバリエーションがあり、高いところでは昨年のような旱魃時にも耐えられる可能性が高い。

とはいえ、すべてに時間がかかります。ビオロジック認証に関しても3年はかかる訳で、畑を少しづつ増やしているので、年毎にビオ認証畑も増えるといった具合です。

只今年のような雨が多い場合は、病気が発生しやすいのでビオの畑では全滅だったそうです。個人的にはこの気象変化において、ビオロジック認証が本当に有効なのか見直しが必要な気が致します。

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ブドウ造りを始めた先祖は1860年頃ですぐにフィロキセラ到来で、その土地を売り払ってしまったそうです。ここも買い戻したそうで、バルベーラを栽培しています。一つのラベルにはここの番地を起用しています。「CASCINA ROCCA 33」

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彼は未来を見て仕事をしている。この時期、ちょうど緑肥を行っているところでしたが、従業員は昔から働く2-3人を除いて、あとは皆若い。収穫時期だけ手伝いを組合に依頼する企業も多いが、VICARAでは全員社員雇用しており、Giuseppeさんが教育し、この土地を知ってもらえるよう努めている。

万が一他の生産者のところへ移っても、実力が身についているはずだから、そこでも素晴らしいワイン作りをして、この土地のクオリティを上げてくれるだろうと話していました。

なんと、写真の向こうに見えるお城は、彼のご家族の所有するプライベートキャッスルです。

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醸造所は山の上にあるので、ボトリングの車を呼ぶのも一苦労、そこで自社購入したがこんな小さなカンティーナで自前はまずないと話していた。隣のテイスティングルーム、ショップ兼事務所はシンプルだが、手作り感のある心地よい内装でした。

エノロゴは若い、かわいらしい女性Virginiaさん。Giuseppeさんも信頼を寄せているのがよく分かった。この日も何か問題があり、思うように進まない中、苦労がうかがえた。しかし、素晴らしいワインを造っているのです! 

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カンティーナ:オーストリア製の縦長型の樽を採用、高かったそうです...

お客様のリクエストでグリニョリーノのドッピオ(W)・マグナムサイズ!さぞ美味しいでしょうね。

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元々高い天井だったところを2層に分けて作った地下室。ここには祖父の時代からのヴィンテージを保管している。販売用ではなく、彼らのテイスト、方向性を確認するためだそう。20

左の白っぽい壁は石灰質を含む粘土質土壁で、触るとぽろぽろと崩れる。今は使用していないセメントタンクである。中は相当広い、大容量だったようで、いつか上手に改装して中に入れるようにしたいそうです。

右の全体に見えるレンガは後から貼りつけたもの。ここもセメントタンクだったことが分かるサインが残っている。このレンガの補装により天井を支え直しているそうです。

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Giuseppeさんはお茶目な人。 余りにも古いボトルが並んでいて、ネビオロでなく、フレイザだけど大丈夫なのかと尋ねると一本開けてDivertiamoci!(楽しみましょう)と言って取り出してくれたのは

1997年ヴィンテージ。これはランチと一緒にテイスティングすることに。

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さて、ランチに行こうと連れて来て下さったのは、あのお城!Giuseppeさんのご両親は住まいに使用しているようで、手入れがなされていました。

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まずはお庭にあるサンルームで、グリニョリーノの泡!

DOMINO Spumante Brut Rosè  (シャルマ法=マルティノッティ法)

グリニョリーノ主体にシャルドネをブレンド。色がオレンジに近いロゼで、とてもドライだがイチゴのようなベリーの余韻はあるので、生ハムなどサルミに合わせたい。

【マルティノッティ法】にこだわった理由:彼は個々のワインだけでなく、テリトリーとして売っていきたいと考えている。いわゆるタンクで行う二次発酵の方法はマルティノッティ氏が発案したもの。あのモスカート・ディ・アスティは生産者GANCIAが瓶内2次発酵ではないこの製法を取り入れ大ブームを引き起こした。そのマルティノッティ氏はこの辺りの出身者である。

ところが、DOC制定時に何も考えず大手企業のいうままに、瓶内2次発酵(メトド・クラシコ)を取り入れたといって、残念がっていました。

ラベルもこだわっており、スプマンテを開ける工程が書いてあるのだが、要するにポンと開けるまでの過程がどれほど複雑か、どれほどの工程を踏んで出来上がるのかを印象付けたもの。

これは日本の市場にあったら嬉しい一本です。

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お部屋に入ると、執事がサービスしてくれ、一気に中世にタイムスリップした感じでした。

壁には大きく、ヴィスコンティ家の紋章が!更にカトラリーにもすべて紋章があり、格のせいか重く感じました(^^) 

自家栽培の野菜サラダに、ツナとトマトソースのパスタ、鶏肉のコトレッタ、マンダリン(みかん)がとても甘かったです・・・

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お部屋には暖炉に火が入り、どうやらこの部屋はキッチンとして使われたそうで、暖炉のあたりが窯でその跡が伺えます。

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お伽の世界から出て来てカンティーナへ戻り、更にテイスティング。

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本質を引き出したVicaraのフレイザ
FLEISA Monferrato DOC Freisa  ヴィンテージ 2018

フレイザはネッビオロの母であり、古代品種のひとつとされる。良年にのみ造られるVICARAの貴重な希少なワインです。700本ほど、手書きで番号が打ってある。

伝統的にフレイザは微発泡で軽やかなワインであるが、これは2018年ヴィンテージで既に熟成を経ており、香りは複雑で赤果実だけでなく、たばこや森の湿った感じとスパイス、リコリスなどとてもバラエティに富んでいる。味わいはミネラルをしっかり感じ、アルコール度も高く、口の中を包むように滑らかなタンニンがあり、まだまだ熟成が期待できる。よってグラスに入れてから、時間を追うごとに香りが特に変化し、メディテーションワインとしても楽しめます。

VICARAの唯一無二のグリニョリーノ
UCCELLETTA | MONFERACE Grignolino del Monferrato Casalese DOC

彼らの約1.3haのクリュ'’ブリッコ デッルッチェッラータ’’で栽培されるグリニョリーノを使用。

この畑は先祖から受け継いで80年以上経ちます。Uccellettaは鳥を意味し、いろんな種の鳥たちが巣を作り、畑でそのさえずりを聞きながら働いたという話から名づけられました。

オーストリア製オーク大樽で24カ月熟成させます。これは一般的なグリニョリーノの作り方とは大きく異なります。更に瓶熟成期間を長く取ります。そうしてエレガントで複雑みのあるワインに仕上がります。色は少し薄茶けた赤色で淵にオレンジ色が見られます。

香りはスパイスなど豊かで、口に含むとストレートでエレガント、タンニンは柔らかくシルキー、余韻がとても長い。とにかくキレイな印象が強く、すき焼きや神戸牛のお寿司など質の良いサシが入ったお肉に合わせたい。というのは、余談ですが、ピエモンテではバットゥータなど生肉を食べる習慣があるのと、日本食がブームでお肉のお寿司も出回っているそうです。

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その他、VICARAのデイリーワインとして
VOLPUVA | Barbera del Monferrato DOC  (バルベーラ) ステンレスタンク使用

G Grignolino del Monferrato Casalese DOC (グリニョリーノリーノ)ステンレスタンク使用

●バルベーラの希少生産ワイン:
CASCINA ROCCA 33 Barbera del Monferrato DOC
バルベーラ。先祖から引き継いだ畑で2200本という少量生産、それも良年のみ。
8-10カ月のトノー木樽で熟成。


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VICARAワイナリー URL: https://www.vicara.it/it/la-campagna/

1997年ヴィンテージワインのテイスティングは次回レポートします。

現当主の息子さんGiacomo Bolognaさんがガイドしてくれました。22歳の若さで紳士的で人柄の良さは親譲りなのでしょう。今年はシャンパーニュで修行、来年は南アフリカで修行されるそうです。

彼の祖父にあたるGiacomo Bologna氏の名前を引き継ぎ、将来が楽しみです。

『BRAIDA ブライダ』の名前の由来は?

彼の曾祖父が当時「Pallone elastico, Pallapugno」という手をラケット代わりにボールを打つスポーツをなさっていたそうで、とても強く、ブライダ・チャンピオンシップでいつも勝っていたそうです。そこで皆から、ブライダと呼ばれるようになったそうです。

祖父はその息子という事で「Figlio di Braida」。 4つの同じ苗字BOLOGNAのファミリーがこの町にいたそうで、区別するために、例えばレストランを経営する叔父さんのファミリーは「ボローニャ ディ・ラザーニア」と。

そうして、1961年に祖父Giuseppe氏がワイナリーをオフィシャルに開業する際に「ブライダ」と命名した訳です。

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彼の曾祖父が当時「Pallone elastico, Pallapugno」という手をラケット代わりにボールを打つスポーツをなさっていたそうで、とても強く、ブライダ・チャンピオンシップでいつも勝っていたそうです。そこで皆から、ブライダと呼ばれるようになったそうです。

祖父はその息子という事で「Figlio di Braida」。 4つの同じ苗字BOLOGNAのファミリーがこの町にいたそうで、区別するために、例えばレストランを経営する叔父さんのファミリーは「ボローニャ ディ・ラザーニア」と。

そうして、1961年に祖父Giuseppe氏がワイナリーをオフィシャルに開業する際に「ブライダ」と命名した訳です。2

1961年 「MONELLA」バルベーラのフリッツァンテをボトリングする。

この辺りではバルベーラ、モスカート、グリニョリーノを栽培しているが、彼はバルベーラの地位を上げたかった、というのも、60年代はバルベーラは微発泡の軽いテーブルワインとして親しまれていたものであった。

1969年、ASTIのコンクール( Douja d’Or di Asti )で金メダルを獲得したので、ジェノヴァ、ミラノ、トリノのフェアに無償で参加でき、これをきっかけにバルベーラを世に送り出すことになる。

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1982年 「Bricco dell'UCCELLONE」(ウッチェッローネ)初めてバリックで熟成させたバルベーラが登場。

実は当時イタリア人が移住する際に持ち込んだのがバルベーラ。実を多く付け、育て易い品種だった為、食料として有効であったのです。カリフォルニアにも持ち込まれており、沢山栽培されていて、樽を使用してワイン造りが行われていました。Giacomo氏が訪れた際に、この技法を持ち帰り実践したのである。

バルベーラのブドウは酸が高い、糖度も高くアルコール度が上がりやすい。しかしタンニンが少ないので、バリックを使用することで木からタンニンを補うことができ、完全なワインに仕上がるのです。

80年代は樽使用のバルベーラのワインが、1989年「Ai Suma」まで次々に登場したバルベーラ黄金時代である。

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NOVITA! 真ん中のセメントタンクは「ティモラッソ」。最近人気の復活品種で、ブライダ発の白スティルワインになると話していた。

セメントタンクによってミクロオッシジェナツィオーネ(時間をかけて微量の酸化を促す)を施し、ブドウの持つアロマを引き出します。更にボトリングしてからもより長く瓶熟が必要で、初めての試みなので市場に出る時期は未定だそうです。 

ラベルはGiacomoさんが担当されるそうです。

右の樽には「グリニョリーノリーノ」。地場品種で伝統的にステンレスタンクで短期熟成で飲むワインだが、やはり最近このポテンシャルも興味深いということで、特徴であるタンニンを木樽で熟成させることで柔らかくし、新しいグリニョリーノを試験しているそうです。

歴史的な貢献だけでなく、常に新しいことへのチャレンジを忘れない精神が伺えます。

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このバリックが並ぶ部屋は建物の3階に当たります。数年前にタナロ川が氾濫し、ワインをダメにしたことがあったそうで、今後も気象変化により洪水などによる被害を回避するために考案されたそうです。

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左のボトルは 「 La Monella」の歴代ラベル、1974年、1980年。左側のチェレステ・アズッロ色のデザインは80年代のものだそうですが、とても現代的で驚きました。私の好きな色です!

右のテーブルは「Ai Suma」(方言で Ci siamo、時が来た、今だ)のラベルのデザインだが、これはGiacomo Braidaの笑みを浮かべたときの唇を二つ並べて、蝶々に見立てている。 良年のセレクトされた畑で遅摘みしたブドウで造る、まさに彼の代表作だそうです。2020年以降造れていないそうです。

孫にあたるGiacomoさんは同じ名前を頂いたこともあり、祖父の歴史を自分の事のように感じているそうです。

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BRAIDAはランゲにも畑があり、シャルドネ、ナシェッタ、リースリングなど栽培している。

実はこの畑のオークションで候補になったのが彼らと Fratelli Giacosaだったので、価格が釣り合がる前に話し合い、共同で購入することになりました。そこで醸造はFratellli Giacosaで市場販売はBRAIDAが担当しているそうです。

右は「Bricco dell'Uccellone」の搾りかすで造られたGRAPPAです!素晴らしい香りでした。(^^)

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ASTIの街のBOLOGNAファミリー御用達のトラットリアへ。

Battutaのお肉はピンク色でとても新鮮でした。 アスティ伝統のアニョロッティはソースがないのですが、中に詰めたものの味が濃厚で、素晴らしかったです。

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2024.12.09   Kyoko Matsuyama

2024年12月 2日 (月)

TORINOから電車で30分行くだけで景色がガラリと変わります。アヴィリアーナは中世に出来た町。現在13000人ほどが住む。この町にはピエモンテ州で保護する、『サクラ・ディ・サンミケーレ Sacra di SAN MICHELE』が標高1000mの山の頂上に聳え立っています。

秋が深まった頃の景色は寒さを忘れるほど美しいです。どうやらウンベルト・エコの作品『薔薇の名前』の舞台はこのスピリチュアルな場所からインスピレーションをを受けたそうです。

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ワイン会で知り合ったご夫妻にご自宅へ招待され伺ったら、偶然にもいつか行ってみたいと思っていた『サクラ・ディ・サンミケーレ』のすぐそばにお住まいだったんです。

人との出会いは素晴らしいですね。『一期一会』rendi conto che un ogni incontro potrebbe essere  l'ultima occasione.  

4(左)向かいには3500m級の山もあり、アルプス山脈の一部を臨みます。

(右)susa(スーザ)溪谷を見渡せます。 空気が澄んでいたのでトリノの街がはっきりと見え、ちょうどスモッグがかかっている辺りだそうです。

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待ってました!ピエモンテ州郷土料理、まさに家庭料理を用意してくださいました。

(左)野菜のアンティパスト(Giardiniela) お酢が利いてさっぱり頂けます。オリーブやアーティチョーク、玉ねぎ、にんじんなど家にある野菜を和えます。

(右)バニェット(Bagnetto) こちらはニンニク、プレッツェ-モロ(イタリアパセリ)にお酢やアンチョビがはいった万能ソース。今回はインボッリート(お肉料理)と一緒に。止まらなくなる味です。

どれも保存食なんですね。


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Lorenzaさんはお孫さんが来ると手打ちパスタを作るそうです。特にナターレでは20人の家族が集合するのでたくさんの『アニョロッティ』を準備するそうです。ただ、今時はヴェジタリアンやヴィーガンのお子さんもいて準備がより複雑なんですよ、と話してました。

今日は近くで買ってきたという『LANGAROLI』(ランゲのパスタ、といった意味合いですね)

小さいサイズなので、ブロードにピッタリ。上から削ったパルミジャーノチーズは36カ月熟成でコクがありました。

Aldoさん、Lorenzaさんは素材にこだわる方がたでチーズもパンも近所の小さな農家が行うお店で買うそうです。うらやましい環境です。

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(左)アンチョビ(acciughe)と一言ではいえない、つまり缶で売られている塩漬けのイワシを買ってきて、それを処理してオリーブオイルに詰めているそうで、味わいが別格に違いました。

ここにはストーリーがあります。

チェルヴィアの塩田からローマに続くVIA SALARIA(塩の道)がありますが、北にもリグーリアの海からピエモンテを通ってフランスへ運ばれた塩の道があったそうです。塩は当時お金と同格であったほど高級品でしたから、税金がかけられるようになり、ある商人がイワシを運ぶのにイワシの下に塩を隠して運んだそうです。結果、イワシの保存ができるようになり、入手しやすくなったそうです。

ピエモンテでアンチョビがバーニャ・カウダなどよく登場するのはこういった歴史があったからなんですね。

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やはり知人のワイナリーのワインで ピエモンテ南部に位置するドリアー二『DOGLIANI DOCG』でドルチェットを頂きました。 Mondoviにあるそうで、ピノネーロも造っているそうです。

14.5%のアルコール度数で、こんなにボディあるドルチェットは初めて頂いたかもしれません。

しかしヴィオラ色で若々しいフレッシュさがあり、口当たりがよいです。

(右)コントルノ(付け合わせ) これはシンプルでおいしいので家で出来ますね。

カリフラワーとブロッコリーを軽く茹でて、チーズとパン粉をまぶしてオーブン焼き。香ばしい!

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(右)97歳のお母さま?お姉さま(土忘れしました)ワインも飲まれてお元気でした。食生活のおかげでしょうか。

(左)お礼に旅用の携帯お茶点てセットを使って、お茶を点ててみました。とても簡単なものでしたが、みなさん、たいそう気に入って下さったので良かったです。

(中)11月に彼らが参加したアスティでのイベント『BAGNA CAUDA DAY』バーニャカウダデイ&ダイで配られた前掛け。DAYはピエモンテの方言でAGLIO(にんにく)本場バーニャカウダはにんにくがたっぷり!最近はミルクで煮込む店も増えてマイルドなものが多いそう。

実は日本ともオンラインで繋いで開催したそうです。 1月もあるそうで参加してみようと思います!

※サクラ・ディ・サンミケーレのホームページはこちらをクリックください。Sacra_di_san_micheletorinoaviglian

Vorrei ringraziare a Lorenza e Aldo!

2024.12.1 (AVIGLIANA)LCIイタリアカルチャースタジオ Kyoko

2024年11月22日 (金)


ローマにあるBIBENDAの本部で盛大に開かれたパーティに招待され参加して参りました。
振り返れば2016年に第1回目のソムリエコースをこのBibenda(FIS/WSA)とコラボし、8回目のコースを来年2月に控えております。受講者は計147名になります。
  
そんな功績を称えて頂き、イタリアの国歌の演奏と共に開会後、直ぐに檀上に呼ばれ、日本でのIVS Japan日本イタリアワインソムリエの活動を紹介することが出来ました。

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BIBENDAも、ガンベロロッソのようにワインの評価をしており、ブドウの房(Grappoli)5つが最高点です。
5点(チンクエ・グラッポリ)を取った生産者を招き、700種類のラベルが並んでおりました。
会場には生産者、ビベンダ関係者など1200人が出席しておりました。

ビベンダは早くからデジタル化を取り入れており、分厚い辞書のような紙の本はもう作っておりません。

よって、5Grappoliのワインリストは、アプリで ダウンロードできます。

無料ですから、ぜひご覧なってみてください。

https://www.bibenda.it/bibenda-app.php

 
 
ビンテージは現行のものだけですので、例えばバローロは2020。今飲むより数年後により美味しく発展するだろうワインという事になります。
見覚えのあるラベルがたくさんあって、見ているだけでも楽しめます。

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パーティの受付は18-19時から徐々に始まり、イタリアですから、受付から席に着くまでに会う人、会う人に挨拶をして、20時ぐらいから始まったでしょうか。

参加者はBibenda関係者と生産者たちで 100テーブル以上あり、1テーブル10人以上なので、1200人はいらしたようです。
テーブルごとにグループABC。とアサインされ、ワインリストもグループABCに分かれており、アサインされたグループから選んで 注文できます。
各ビベンダのソムリエに頂きたいワインを注文するシステムです。
 

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ソムリエコースの講師、アントネッラ先生とエドアルド先生です。

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彼がBIBENDAのプレジデンテ、フランコ.M.リッチ氏です。招待ありがとうございます!

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別枠で『今年の素晴らしいワイン10点』が表彰されました。

見覚えのあるワインが。IVS Japanの会でも紹介させて頂きました。

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この方は、アルバーノ・カリージ、『フェリシタ』という歌で有名になった歌手です。
私を見て日本語で『愛あなたと二人、・・・・・世界はあるの・・・」と昔の歌謡曲を日本語で歌い始めました。
アルバーノさんもプーリアでワインを造っていらっしゃいます。

Tenute Al Bano

とにかく会う人皆、日本の文化や習慣のすばらしさを褒めてくださって、有難い事です。
 
  
バルべーラ・アスティで有名な『Giacomo Braida』のラファエラさんも参加されており、
お会いできました。 

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このホテルに入っているHeinz Beck の3つ星の店『ペルゴラ』のエグゼクティブ・シェフNicholas Cuomoのお料理を頂きました。 

・Vitello arrosto con fuhghi al rosmarino

・Insalata tiepida di seppie e ceci soffiati

・Gnocchetti al ragu' con granella di Lampone e olio

・Stinco brasato, patate e salsa al tartufo

・Sfera di torroncino , agrumi speziati

・Pan dolce e castagne

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テーブルの写真、向かって右から2人目はトスカーナにある、歌手スティングの畑の方。
左端の方は会場である、ホテルカバリエリ・ヒルトンのオーナーで、幼少期に田園調布に住んでいて、川奈ゴルフクラブで父親とゴルフをなさっていたと日本の思い出を語ってくれました。

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YouTube: BIBENDA 5 GRAPPOLI 2024.11

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(写真左)FONGARO  (ヴェネト州) 生産者タニータさんは今年6月に来日し、ソアーヴェのイベントに参加されたそうです。 品種DURELLOのメトドクラシコを造る(ソアーヴェ地区)

(写真右) cantina Oasi degli Angeli (マルケ州)『KURNI』モンテプルチャーノのワインで有名!彼も独特の衣装ですが、奥様は真っ赤なドレスでワインと同じく個性的です。

レポート:Kyoko Matsuyama ( 2024.11.15)
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IVS Japan 日本イタリアワインソムリエ http://www.ivsjapan.com/


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エルシーアイ イタリアxカルチャースタジオ www.lci-italia.com

WSA-FIS イタリアワインソムリエ http://www.italia-vino.com/
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