オルトレポパヴェーゼのほぼ真ん中に位置する、標高約500mの場所にカステッロ・ディ・ステファナゴ、まさにお城の中のワイナリーがある。
約140haの所有地のうち20haのみブドウ栽培に使用している。
これはステファナゴの哲学である『BIODIVERSITA’多様性を守る』為であり、森によって他からの汚染を防ぎ、鳥が止まる木々やえさが確保され、蜂による受粉で花が咲き作物が育つといった自然のバランスを守っている。
Giacomo Baruffaldi氏は城のオーナーであり伯爵のタイトルを持つが、とても親しみ易い考えを持っている方です。ワインの需要が低迷する要因には、ワインは仲間と楽しむもので主人公になる必要がない。品種やワイン名の知識が必要という固定観念があり、自由に味わえない現状があるという。そこに見えない壁ができ、ワインを難しいドリンクと捉え、特に若者のワイン離れでビールやジンなど他のアルコールに流れている。
実はイタリアでは今大きな問題となっているのが、飲酒運転の取り締まり強化である。0.5という数字を超えると直ぐに免許はく奪というので、レストランで外食した際に飲まない傾向が、むしろ外食を控える傾向があるそうで、レストラン業界、ひいてはワイン業界は大きな痛手を負っている。
日本では既に厳しいのですが、イタリアは車でしか行けないレストランが沢山あり、警察のコントロールもないに等しかったので、普通に飲んで運転して帰っていたのがこれまでの現状です。
ビオロジックの認証を取っており、さらにナチュラルな製法として、添加は一切行わず、唯一亜流酸塩は必要なときだけ、最大30mg/Lまで添加する。通常ビオは白ワインで150mg/Lなので、非常に少ないことが分かる。
年間6万~8万本生産しており、大きく2つのラインがある。
①Stefanago:ブドウ本来の味わいを表現するため、基本完熟を待って醸造する。
②Stubenagh:10年前に出来たラインで、アルコール度数12%までの飲みやすく、形式ばらずに楽しめるワイン。
その他、各種マグナムサイズ(Grandi formati)とピノネロやリースリングの長期熟成タイプがあります。
2021年はイタリア全体で一番生産、販売が伸びた年で、これはコロナの影響が大きい。ステファナゴも同様でその後少し落ちたがそのまま維持してるというので素晴らしい。昨年度は輸出より国内需要が伸び、輸出先はアメリカ、日本、北欧、ベルギー、フランスなど、新しいところでは韓国が伸びているそうです。
彼のスプマンテはアンセストラーレ方式を用いているのだが、目的は完熟したブドウを使用したいからである。Giacomoさんは、通常のスプマンテとの違いが分かるように、スプマンテ製法の基礎を話してくれました。 「ブドウの収穫は糖度が11~11.5%に達した時点で行う、つまりフェノール熟成(Maturazione Fenolica)の前に行い、糖25g/Lと培養酵母を加えてアルコール発酵を行うことで、12.5%のアルコール度数のスプマンテに仕上がる。」
彼の場合は、完熟を待って収穫するため度数は熟成度合いによる。自然酵母を使用し、ブドウに含まれる糖を食べてアルコール発酵、そのままボトルに詰め、発酵は持続する。澱とのコンタクトは24か月~100カ月まで幅広いバージョンを造っている。
【24か月のピノネロのスプマンテのテイスティング】
アルコール度数13%、気泡はとても細かく、持続性もある。
完熟したブドウは通常のピノネロのようなベリー系の香りではなく、トロピカルな完熟したフルーツを
感じさせる。さらにミネラルがしっかり。その証拠に土壌は20-30m粘土とシルト、砂質、その下には石灰質
土壌が広がっている。香はフローラルで心地よいバルサミックとどんどん発展していく。これが楽しい。
まろやかさと酸度のバランスが良く取れている。ボディがあるので食事とのアッビナメントも楽しめる。
【Cuve'e 48か月 ピノネロ80%、シャルドネ20%スプマンテのテイスティング】
ピノネロのスプマンテは上記と同様にアンセストラーレ方式で造られ、デゴルジュマン(澱引き)の時に樽熟成したシャルドネを加えて仕上げます。
色は黄金色、香り風味共に複雑で豊か。48か月経過だけに発展が進みミクロ酸化が見られる。注いで直ぐは上部に銅色のベールがあるが、時間とともに沈んでいき透明感が出てくる。
シャルドネ、樽使用からバター香、ナッツが感じられ、同時に酸があるので、泡が落ち着くとスティルワインのような感覚が残り、リゾットなどしっかりアビナメントを楽しみたい。とにかく発展していくのでゆっくり味わいたいワインです。
【ピノネロのロザート 60か月のスプマンテ 2018】開けて1週間のテイスティング
色は銅色、数時間果皮とのマセラシオンを行っている。泡は少ないが未だ存在し持続性もある。
完熟ブドウから来る濃厚な香りと味わいが楽しめます。
【ヴィーノ・アロマティッザート】
アルコール7%なのでワインではなく、ヴィーノ・アロマティッザートのカテゴリーとなる。
残った搾りかすを水で洗ってアルコール発酵させる。 地域によるがこの辺りは ワインと名乗る
には9%以上のアルコールが必要。 酸の高いドリンクで、カルボナーラなど食事と合わせたい。
【リースリング】アルコール度数13%
いわゆるぺトロール香(炭化水素、焼けたゴムといったイタリアの表現もあります)はしっかり
あるが、完熟したブドウのフルーツの香りが凝縮しているのがこのワインの特徴だと思われる。
お花はエルダーフラワーなどバルサミックな香りも広がります。とても酸が高く、若く感じるのは
スクリューキャップに変えてから大きく変わったそうです。
【ピノネロ Sbarbatello】アルコール度数13%
ピノネロ100%、シンプルな製法。果皮とのマセラシオンを行っている間に、ほんの一部はセミカルボニック・マセレーションによって自然発生のガスを作りだす。その後ステンレスタンクで発酵させ、寝かせてボトリング。ノンフィルター。
HP:https://www.castellodistefanago.it/
2025年1月訪問 Kyoko M