2025年7月15日 (火)

Isabellaさんに案内され、シックなテイスティングルームへ。まず白ワイン、2023ヴィンテージのこちらをテイスティング。

テスタマッタ・ビアンコ TESTAMATTA BIANCO 2023   ISOLA DEL GIGLIO TOSCANA

コローレ・ビアンコ COLORE BIANCO 2023  ISOLA DEL GIGLIO TOSCANA

ブドウは アンソニカ100%

熟成(Affinamento)は約6か月間、約70%フレンチオークバリック、約30%はステンレスを使用。

『テスタマッタ』と『コローレ』はまるで異なるワインの感覚ですが、ブドウ品種や醸造方法は同じです。つまり違いは畑にあります。

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ジリオ島の急斜面にある畑で海に向かうように育つブドウ樹は、常に海風にさらされています。風から守るためジリオ式アルベレッロの栽培仕立て。

『コローレ』は 単一畑『ピエトラボーナ Pietrabona』のブドウだけを使用します。良質な岩という意味の畑はまさに花崗岩質の岩が広がる土壌です。どちらも高樹齢の樹ですが、特にpietrabonaの樹は平均100年、島の中で最年長だそうです。

更に他のブドウより4日待ってから収穫するため、色やアロマ(フェノール)がより熟成し、濃厚です。収穫を遅らせるのは偶然の発見から始めたそうです。

『テスタマッタ』はレモンやハーブのような爽やかな香りに酸、ミネラルがしっかりありますが、アルコール(13%)とのバランスが取れており、超が付くほどエレガントです。

『コローレ』はそれに対してトロピカルフルーツ、マンゴーやパイナップルの香り、骨格がありますが、酸とのバランスが取れているため、アルコールを感じさせずに余韻を楽しめます。こちらは合わせるお食事のバリエーションが広がります。

Isabellaさんはラーメンのような複雑な出汁にも合うのではと仰ってましたが、まさにホタテのオーブン焼きなど出汁の効いた料理や昨夜頂いたアンチョビとバターのクロスティーニが合いそうな気がします。

若いヴィンテージだけでなく、忍耐強く待って熟成させるのもこのワインの醍醐味です。Foto_25

Isabellaさんはフランス(サンテミリオン)のカンティーナでも働いた経験があり、また重要なワイン産地はフランス、イタリア、カリフォルニアと周ったそうです。

フィレンツェに居るとトスカーナの素晴らしいワインは沢山頂けるけれど、他の地方のワインはなかなか頂く機会が少ないので、休みを利用して出かけるようにしているそうです。

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次に赤ワイン、2022ヴィンテージと2023ヴィンテージのこちらをテイスティング。

樹齢の高いサンジョヴェーゼ100%使用のスーパータスカン!

テスタマッタ TESTAMATTA  2023 /2022   TOSCANA IGT

幾つかの畑からセレクトしたブドウだけを使用。

コローレ COLORE BIANCO 2023 /2022   TOSCANA IGT

キアンティクラシコの地区Lamoleの樹齢80~90年のブドウを主に使用。標高650mと高地にあります。Olmoの畑も使用する場合があり、どの畑も区画ごとの成熟状態を確認しながら、収穫を行い、更にカンティーナで選果します。つまり、完全なブドウだけを使用します。

それから区画毎のブドウをソフト圧搾、オープン状態の容器でリモンタージュや櫂入れ(Follatura)を行って果汁、色、アロマを抽出します。自然酵母を使用。

全てマニュアルなので小まめに状態を確認することが出来るのだと思います。

どちらもサンジョヴェーゼ、約18カ月のバリック熟成ですが、異なる感覚の2つのワイン:

『テスタマッタ』はフルーティな香りと酸がより特徴的で、『コローレ』はタンニン、ボディはありますが、超越してエレガントな仕上がりに驚きます。

2022年は特に暑かったため、使用ブドウを標高の高い畑のものだけに限定し、生産量を約半減させたそうです。 

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更に BALOCCHI バロッキシリーズをテイスティング。

バロッキ Balocchi di Colore n°8 2022  品種:カナイオーロ 100%

バロッキ Balocchi di Colore n°0 2022  品種:カナイオーロ 70% コロリーノ 30%

バロッキシリーズはオマージュでカナイオーロ、コロリーノ、サンジョヴェーゼのブレンドを造った際に、これらの品種は単一で造る価値があると気付き、始まりました。

ブドウは主にオルモの畑で標高250mの風が常にある場所だそうです。

3種各単一ワインの3本セットで販売したところ、大人気となったそうです。

ラベルは息子さんのLudvicoくんが主にデザインしたそうで、これも成功の理由のひとつかもしれません。これから、2020年ヴィンテージのN゜0, N゜1,N゜4の3本セットを木箱に詰めて販売するそうです。その木箱にはひとつひとつビービーグラーツ氏がデザインし、唯一無二の商品となります。コレクターは大喜びでしょうね。

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偶然この日は白ワインのブレンドを始めたところでした。BiBiは独学のエノロゴでもありますが、

ご友人のエノロゴEmiliano Falsini氏も協力してらっしゃるようです。Viniitalyでお会いし、ここで再会でき、嬉しくなって思わず写真をお願いしましたら、恥ずかしそうにOKしてくれました。

エミリアーノ氏も素晴らしいワインを造ってらっしゃるエノロゴであり生産者で、ボルゲリ、エトナ、マンモイアーダを選んでらっしゃるところがまた凄く、ストイックな方なのだと思います。

奥の部屋には数十本のボトルが並んでおり、試験管で微量を変えながらブレンドを試してらっしゃる様子が伺えました。朝から晩まで、また何日も何週間も続くこともあるそうです。

これだけ研ぎ澄まされた感性をつぎ込んで造られるワインなのだと実感した次第です。

次はジリオ島の畑も観てみたいです...

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イタリアワインの好運の星、BiBi Graetzを尋ねる

カンティーナについての記事:高得点のワインを造るBiBi Graetzを尋ねる

『COLORE 2022』はジェームス・サックリング100点、他のワインも同様に常に高得点を出しています。そのようなワインが出来上がるBiBiのカンティーナをIsabellaさんに案内して頂きました。

ビービー・グラーツ氏はフィレンツェの美大 Accademia delle belle artiを卒業し画家を目指していましたが、約25年前からワイン造りを始めて、あっという間に世界に注目されるようになったという稀有な存在です。

アーティスト魂はボトルのラベルのデザインやカンティーナの壁色などにも見られます。

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カンティーナへ案内されるとそこは手作り感一杯で、親しみを感じます。やはり元ホテルとして建てられた構造なので、ほぼマニュアル作業で、樽の移動や導線にかなり工夫をされています。

真ん中の写真の天井にミラーボールが見えます。この部屋は当時ディスコ(Discoteca)の部屋だったそうで、あえて残すところが面白いですね。天井にはエレガントなストッゥキ(Stucco)も残されていました。

樽はバリックだけでなく大樽も幾種類かあり、すべてフレンチオークの使用済みの樽です。彼はエレガントでブドウ本来のアロマを感じられるワインを目指すため、新樽は使用しません。

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彼が育った場所ヴィンチリアータとオルモの畑は、フィエーゾレの更に標高の高い場所に広がっています。 日照は勿論、常に風が吹いているミクロクリマに注目し、80haの土地を所有、そのうち10haをブドウ栽培に使用しているとのことで、彼の未知なるワイン造りが続きます。

オルモは昔からブドウ栽培されていて、列ごとに品種が異なるそうです。昔は品種へのこだわりや単一品種でワインを造る感覚はなかったので、混栽が通常でした。樹齢の高いブドウの樹を選ぶこともBiBiのこだわりのひとつです。

そんな多様性(Biodiversita’)を温存するオルモの畑から出来るワイン、BALOCCHI DI CUORE(バロッキ ディ コローレ)は最近のシリーズで、1種類を除いて、各品種ごとに収穫、醸造して造られるそうです。

例えば、Balocchi di Colore N゜8は Canaiolo(カナイオーロ)100%

なんだか香水の銘柄のようなネーミングです...

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上の写真に見られるようにバリックに手書きで品種名や畑名が書いてあり、それぞれ個別に醸造していることが分かります。バロッキシリーズの各品種ごとに1000本といった希少な生産量です。

もうひとつの畑はキアンティクラシコで知られるLamoreにあり、中でも標高650mと高く、ブドウ樹は80-90年とより高樹齢です。斜面は急で、一部テラス式栽培方法を使用しているそうです。

この畑からCOLOREのワインが造られます。

カンティーナ(醸造の部屋)の上階が地上階と繋がり、収穫されたブドウが運ばれてきます。

場所がフィエーゾレのメイン広場に面しているため、その時はみんな観に来て大賑わいだそうです。

畑から運ばれてきたブドウはテーブル上に並べて、選果を人の眼、手で行い、完全なブドウだけが醸造に送られます。特にBiBiは緻密にチェックするそうです。

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Isabellaさんが惚れ込んだ彼の白ワインについては、トスカーナ州南部、地中海に浮かぶ島、ジリオ島で造られます。 初期はフィエーゾレで醸造していたそうですが、島なのでフェリー(トラゲット)を使って片道約4時間かけて運搬する苦労とブドウの品質を危惧して、ジリオ島で白ワイン造りは行っています。

ジリオ島は人口1000人ほどの自然豊かな小さな島です。マグマを起源とし、その後花崗岩となった岩質が多い土壌です。

急な斜面にテラス式といっても、細い通路に人がやっと通れる程度の畑の栽培は全て手作業です。TatianaさんにこのYoutubeのビデオを見せて頂き、改めて実感したのは、ボトルの中のワインにはこんな絶景の場所で育てられてきた歴史背景と、人の手の温かみです。


YouTube: BIBI GRAETZ - ISOLA DEL GIGLIO - HARVEST TESTAMATTA BIANCO & COLORE BIANCO

2025.07.11 次はテイスティングへ

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イタリアワインの好運の星、BiBi Graetzを尋ねる

ビービー・グラーツのカンティーナを尋ねる

2025年7月13日 (日)

ViniItalyでお会いしてますます興味を持ち、やっとフィエーゾレのカンティーナ訪問が叶いました。

元ホテルだった建物だけに、フィエーゾレの高台からフィレンツェの街全体が見下ろせる素晴らしい立地条件で、

この日は暑さも和らぎ快晴で、フィレンツェのドゥオモがはっきり見えていました。

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ここは2019年にオープンされ、カンティーナ、オフィスと自宅になっています。敷地内には立派なボクサー犬がいて、諸事情で連れて行ったトイプードルのアモーレはしっかり抱いておくように指示がありました。

因みに元の『ヴィラ・オーロラ』ホテルは、かつてテラスの外壁を飾っていたグイド・レーニの「オーロラ」のフレスコ画の複製にちなんで名づけられ、王室、貴族が利用する重要なホテルでした。

まずはIsabellaさんが情熱的に案内してくださり、門を少し降りた先に広がるテラスからの景色を満喫。

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エントランスにはアンティークなピアノ(チェンバロかもしれません)があり、先に進むと素敵な彫像が飾られていました。

これは彫刻家のお父様の作品で、イスラエル出身で特にアメリカで大成功された方だそうです。偶然にも現在通っている大学のクラスメートがBibiとフィレンツェの美大で同級生だったので、話を聞いた次第です。彼はE’nato con la camicia(好運に恵まれた人を表す言い回し)だと絶賛してました。

美大の頃は彼の家がVincigliataのCastello(お城)で、みんなで勉強しに行っていたそうです。

ですから、2000年にワイン造りを始めたのはヴィンチリアータのお城だったんですね。

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日本市場担当の方に伺った話では、まだ有名でない頃から知ってらしてお城にも行かれたそうですが、その頃はお城の老朽化も進み、メンテナンスも大変でワインを沢山買ってねと言われるほどだったそうです。

ところが、あっという間に最高評価を得るようになり、まさに好運の星のもとに生まれた人だと実感します。

しかし、訪問して運は実力のうちだとよく分かりました。それは特にワイン造りにおける緻密さです。

ホテルの構造を利用して複数のテイスティングルームがアーティスティックにしつらえてありました。

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絵画はBiBiの作品、彫刻はお父様の作品。

お母様はノルウェーの方でやはりアーティスト、つまりアーティスト一家に生まれ、美大を出て画家の道を進んでいたそうですが、あるワイナリーの友人との出会いがきっかけとなり、ワインの魅力に引き込まれていったそうです。

カンティーナ、テイスティングワインは次の記事でご紹介します。

2025.07.11 ※偶然にもBibi Graetzさんのお誕生日でした!

カンティーナについての記事:高得点のワインを造るBiBi Graetzを尋ねる

ビービー・グラーツのカンティーナを尋ねる

イタリアワインだけを学ぶ面白さはいろいろありますが、やはり6000年の歴史があるイタリアワインには逸話が付いてきます。

イタリア人のFIS認定講師が授業で話す内容は、テキストでは学べない、ライブな話を聞くことができることです。

よって、このコースはテストありきではなく、受講ありきの内容なのです。

逸話といえば、有名なトスカーナのワイン『キアンティ・クラシコ』のロゴは『ガッロ・ネロ Gallo nero』黒のオンドリ。

Gallo_nero
世界的に有名ですから、やはりニワトリマークだと偽造や似たものが多く出回り易かったため、1924年に出来たキアンティクラシコ協会(CONSORZIO VINO CHIANTI CLASSICO)は、2005年に右側のスタイリッシュなデザインに変えて、キアンティクラシコ生産者のワインを保護しています。

旧⇒新ロゴ

「なぜ黒いオンドリなのでしょうか?」

中世において、フィレンツェはメディチ家による銀行、シエナは今もあるMonte dei Paschi di Siena銀行は教皇と繋がりがあり、双方ともに強い権力を持っていました。また地理上隣りという事もあり、戦いが絶えなかったのです。

そこで所有地の境界線を決めるのに、各騎士が各街の中心から馬で走って出会ったところを境とすることになりました。

スタートの合図は朝日の頃、ニワトリ(オンドリ )が鳴いた時ということで、シエナ側は白く、まるまるとふくよかで栄養が行き届いたオンドリを選びました。一方、フィレンツェ側は不快な檻に入れて、数日間絶食させた黒いオンドリを選びました。

いよいよ競争当日、フィレンツェ側のオンドリは余りに空腹で陽が上る前に、鳴き始めました。

その為、騎士はシエナの騎士よりかなり早く出発し、シエナにあと数キロといった地点まで辿りついたのです。

このフィレンツェの勝利に貢献したGallo Nero(黒オンドリ)をシンボルとしたのです。

 WSAイタリアワインソムリエ http://www.italia-vino.com/

開催コースレポート、受講生の感想などの記事はこちらからご覧ください。

WSAイタリアワインソムリエコースで学べること①アッビナメント

WSAイタリアワインソムリエコースで学べること②イタリア語表現

Wsa

2025年7月10日 (木)

ワイン評価本でGamberorossoと並んでイタリアで有名なのがBibendaです。

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ビベンダはガンベロロッソのようにBicchieri(ワイングラス)ではなく、Grappoloグラッポロ(ブドウの房)1~5点までに分けて評価します。

よって5つのグラッポリ(ブドウの房)が素晴らしいワインの評価となります。

5 grappoli ーチンクエ・グラッポリ!

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テイスティング表現を見てみましょう。

まずは視覚検査:Analisi Visiva  

白ワイン Vino Bianco について4段階の色の表現があります。

Giallo Verdolino ジャッロ・ヴェルドリーノ(緑がかった黄色)

Giallo Paglierino ジャッロ・パリエリーノ( 麦わら色)

Giallo Dorato   ジャッロ・ドラート(金色)

Giallo Ambrato/Aranciato ジャッロ・アンブラート/アランチャート(琥珀色、オレンジがかった黄色)

イタリアの面白いところは、表現力が豊かなところです。

例えば、若いワインによくみられる、麦わら色が主体で淵の方は薄くなっている場合は、

Il colore : Giallo Paglierino con riflessi verdolini 、このRiflessiは時にSfumature(ぼかす)やUnghie(爪)といった表現を使ったりします。

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次に赤ワイン Vino Rossoを見てみましょう。

Rosso Porpora/Violaceo ロッソ・ポルポラ/ヴィオラーチェオ(紫がかった赤色)

Rosso Rubino ロッソ・ルビーノ(ルビー色)

Rosso Granato  ロッソ・グラナート(ガーネット色)

Rosso Aranciato ロッソ・アランチャート(オレンジがかった赤色)

 

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嗅覚検査 Analisi Olfattiva  について、つまり香りについて幾つかの観点をチェックします。

香りの質 Qualita' はいかに心地よい香りかという事を評価します。

ここで基本は4段階に分かれます。

①平凡な香りの場合、 Poco Fine( ポコ・フィーネ)

②中程度、まあまあ良い場合は Sufficientemente Fine (スッフィチェンテメンテ・フィーネ)

③いい品質の場合は Fine(フィーネ)

④とても良い、上質の場合は Eccellente(エッチェレンテ)

そして香りの表現はもちろんあらゆる表現があり自由です。

ですが、このコースは基礎を固める目的がありますので、グルーピングをして主体的な香りのグループとして捉える練習をしていきます。

香りの表現を学ぶにはとても有効的です。

この辺りについては次のブログでご紹介していきます。

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開催コースレポート、受講生の感想などの記事はこちらからご覧ください。http://www.italia-vino.com/blog_index.html

Wsa

2025年7月 8日 (火)

今週末はトリノ市内の主要な博物館が入場無料ということで 古代エジプト博物館へ数年ぶりに行ってみることにしました。

折角なのでエジプト学者のガイド付きコース(7€)、夕食時間で空いてるかなと期待をして19:30~を選びましたが、20名ほどは参加されていたように思います。

花柄ワンピで登場したエジプト学者は、とてもテキパキ、ハキハキと話を進めとても優秀な方でした。

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1824年に創立されたので今年は201年目を迎えます。Collegio dei Nobili(1679年~貴族の寄宿学校は100年続いたがナポレオン侵入により閉鎖)だったこの建物をサヴォイアのカルロ・フェリーチェ王が買い取り、1832年には一般公開された。

カイロよりも先にでき、規模もこちらの方が大きいそうです。

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1900年代に入り、Schiaparelli(スキアパレッリ)氏、Farina(ファリーナ)氏率いる考古学者たちがエジプトで発掘し約30000点持ち帰ったという。

最初の部屋(2階に上がってすぐ)に最初のミイラがきれいに保管されている。さすがに写真に収める気がしなかったのですが、これは古美術市で購入したもので、出処などの確定はできないそうです。

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(真ん中の写真)カバ(ippopotamo)の彫像が沢山、守り神とされていてお墓の中に入っていたそうです。

この時代はお墓に入ってからもこの世と同じような世界が続くとされていたので、有力者であればあるほど、大きな敷地に部屋が作られ、使用人、パン作りの人(左写真)たちの彫像もたくさん飾られていました。

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3000年の歴史があるエジプト王朝時代。(左写真)髭があるので男性、つまりファラオ。その奥様が真ん中の写真。

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(左写真)パピルスにヒエログリフ文字が書かれており、スト(Sciopero)の内容が記載されており、世界初のデモ抗議だったと言われています。半年くらい続いたそうです。この展示室は庶民が住む村の様子が紹介されており、奴隷ではなく、賃金が支払われていたのです。

(右写真)地位の高い女性はかつら(Parucca)を使用していました。化粧道具なども展示してありました。この時代は女性にも権限があり、いろんな活動をしていたようです。ポンぺイ遺跡を見ても女性が本を書いたりして活躍していました。

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この最後の部屋はとても明るくなっていました。最近変更したばかりだそうです。

というのも、スフィンクスは太陽の光にさらされていますから、暗いと見え方が違うとなったそうです。そのため、今まで見えてなかったデザインや絵が明らかになりました。

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ファラオのラムセス2世の彫像が目立ってます。右写真は3メートルを超えるため、運び入れるのに苦労したそうです。

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更にこの部屋の隣が改修中で、1年以内には出来上がるという、アペリティ―ボもできるような部屋だそうです。

ガイド付きコースもいろんな切り口で開催されているようで、何度行っても楽しめることがよくわかりました。

2025.7.5.   エジプト博物館(トリノ)

2025年7月 5日 (土)

このコースで学べる事①として、イタリアワインソムリエに欠かせない、『アッビナメント(食事との合わせ方)』の授業があり、実践もございます。 

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世界のワインを学ぶソムリエコースでは、イタリアワインについて学べる内容は当然ながら限られます。

実際、イタリアは全20州で紀元前からワイン造りを行っているため、土着品種が500以上、クローン、バイオタイプなども含めれば1000以上もの種類があります。

さらに個々にまつわる歴史、ストーリーがあり、もちろん現在も発展し続けているイタリアワインの世界は複雑に感じることと思います。

このWSAイタリアワインに特化したソムリエコースでは、各州ごとに整理をしながら、とりわけ重要な部分、特色を分かり易く紹介して参ります。

『アッビナメント(食事との合わせ方)』

イタリアの場合、ワインは食事の際に欠かせない存在であり、食事をより美味しく頂くために必須と考えています。よって、イタリアワイン全般の特徴として、他国のものより比較的酸度が高いのも納得の理由のひとつです。

各カテゴリー、穀類(パン、米、トウモロコシ)、肉類(サラミやハム類、各種肉)、野菜(キノコやトリュフ含め)、チーズ(フレッシュ、カビ、セミハードなど各タイプ)ごとに

味覚特性を分析し、合わせるワインに必要な要素を導きだします。

難しいように思われますが、実際、各感覚をデータ化してグラフにすることで視覚的に分かり易くとらえることができます。一度行ってみると楽しい作業です。

ワインに対してはアッビナメント用の感覚分析なので、5-7つの観点だけチェックします。例えば酸度、アルコール、タンニンなど・・・

こちらもグラフ化して視てアッビナメント完成度を測ります。

更に、実践です。実際にこのお食事とワインを口にして、このグラフ結果を確認していきます。よって、データだけでなく、感覚でも納得することで、理解が深まります。

イタリアでもよく間違ったアッビナメントの例として、クリスマスシーズンに頂くパネットーネとシャンパン(仏)が挙げられます。  セオリーからしても、実際にテイスティングしてもパネットーネにはパッシートワインがよく合います。お試しください。

次回、WSAイタリアワイン専科ソムリエコースで学べること②は、イタリアのテイスティング用語です。

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開催コースレポート、受講生の感想などの記事はこちらからご覧ください。http://www.italia-vino.com/blog_index.html

 

2025年7月 3日 (木)

Alpignanoの街にはもうひとつ、え、こんな場所に?という発見がありました。
1880年イタリアで白熱電球 (lampada a incandescenza )を発明したのは、Alessandro Crutoだったんです。
彼の発明を完成させたのが、あのトーマス・エジソンだったという訳です。
偶然にも2人は同じ年1874年の生まれです。

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彼の功績のお陰で電球製造工場がここAlpignanoにあり、重要な産業となりました。
女性や子供が働いていたそうです。
当時電機メーカーFILIPSもここに支店、工場などがあり、そのリタイアした社員たちがボランティアでこの博物館を運営しています。

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子供たち向けにも無料で見学会を行っており、その際見せるのがこの簡単電球作りです。
ジャムが入っていた瓶とフィラメントにシャーペンの芯を使って、両端を電極としてつなぎます。
フィラメントはカーボン(炭)なので、鉛筆の芯が代用できるんですね。
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アレッサンドロ・クルトは、初めはカーボンのクリスタル化(結晶化)を研究しており、人口ダイアモンド作りに励んでいました。

その後変遷を経て、1880 年 3 月 4 日にトリノ大学物理学実験室で、最初の電球を点灯しました。

1900年代初期に、彼の仕事に関連して、『Dora』ドーラという自動車メーカーがアルピニャーノに誕生します。

今流行りの電気自動車のまさに先駆け、馬車型の電気自動車が開発されていました。

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アルピニャーノの街には美味しいジェラート屋さんがあります。

そこで名物の『電球型のドルチェ』を頂きました。

電球 Lampadinaと書かれています。とっても甘かったです~。

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真ん中の写真は水飲み場で、トリノではシンボルのToro獅子の口から水がでています。

よって、トリノではTorèt と呼ばれています。

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暑かったので、リモナータが美味しかった!

Alberto Cruto博物館:https://www.ecomuseocrutosognodiluce.it/il-sogno-di-cruto/

アルピニャーノの驚き①活版印刷を現在も実践している出版社・印刷所タッローネ・エディトーレ:https://www.talloneeditore.com/ の記事はこちら:
 
2025.6.28  con Chiara e Laura di Scuola leonardo da vinci Torino, anche Amore.
 
2025年7月 1日 (火)

 
トリノからたった15分電車で行くと新たな発見がありました。
Alpignano駅から歩いて15分ほどのところに今も昔のやり方、つまりグーテンベルクの活版印刷で本作りを行っている『Tallone Editore』。 

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タッローネ氏は私を見るなり、和紙を名古屋の方から入手して使用していると、半ば自慢げに話してくださり、日本とのつながりを感じ、嬉しく思いました。
ここは活版技術を駆使した印刷所でもあり、また出版社でもあり、興味深いものが溢れていました。
紙の種類もさながら、インクは黒色だけでも100種類あるそうです。

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1700年代の活版印刷のアトリエ’atelier tipografico settecentesco】
3世紀にわたる ディジョン(Dijon)に始まり、パリ、そして1959年ここアルピニャーノに伝わる。
 

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Tallone活版印刷所では、文字を彫刻刀(bulino)で手彫りする。スタンプの材料は主に錫、鉛だとか。

文字の大きさは毎回、本のサイズに合わせる。真ん中の写真はある本の一ページだが、改行時に文字が切れないよう、言葉の間隔を調整している。

フォトポリマー樹脂など使用せず、パソコンのクリックで文字を打つこともなく、果てしなく時間のかかる手作業です。しかし、本の出来上がりを見ると風合いのある、代え難いものだと実感します。

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真ん中の写真は昔から使用される紙のカッターです。上のハンドルを手で回すと刃が斜めに降りてきて、カットがきれいに仕上がります。

右の写真は1400年代、つまりグーテンベルクが印刷業を始めた頃にイタリアに伝わった場所と年代が記されている。やはりローマ近郊に一番先に入ってきたようです。

活版技術そのものは中国や韓国が先だそうで、それをヨーロッパで印刷業として確立させたのがグーテンベルクだそうです。 

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【文字スタイルのアーカイブ l’archivio letterario del Novecento】

1930年代にアーティストたちによって文字スタイル(フォント)が開花した。特に広告の対象、目的に合わせてあらゆるデザイン文字が生まれた。現代ではその復刻版ともいえる文字が多様に使用されている。もちろんコンピューター仕様ですが。 私から見るととてもスタイリッシュな文字たちだ。

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 森の中に佇むこの工房は、緑と優しい日差しに囲まれ、癒しの空間です。

この環境で貴重な手工芸の本が生まれるんですね。

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お嬢さんも家業を引き継いでらっしゃいます。この部屋にはここで出版された本のサンプルが保管されています。

真ん中の写真は『ピノキオ』の原作で、挿絵もここで作ったそうです。紙の色は淡いブルーでシチリアの紙製作所のものだそうです。

フォントは『ガラモンド』、とても読みやすいので、定番の人気だそうです。なんとこの本600ユーロするそうです。

右側はレオナルド・ダヴィンチの『アトランティック写本』Codice AtlanticoにあるLudovico il Moroへの手紙で、ダヴィンチの初めての履歴書だそうです。

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【 parco con il mulino da carta, gli alberi secolari e le locomotive a vapore】

お庭にはオリーブオイルの搾油と同様な石臼があり、その昔紙づくりに使用されたものです。

森は樹齢100年以上の樹が生い茂っています。

そして蒸気機関車がこんなところに。 その昔、本と交換して入手したコレクションだそうです。それほど印刷した本が高価だったんですね。

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Editore italiano (Bergamo 1898 - Alpignano 1968)
 
1938年に出版社をパリで創立。 Maurice Darantièreを活版印刷技術の師として,彼から印刷プレス機を譲り受ける。マレ地区のあるホテルで 限定作品の数々が生まれた:i Canti di Leopardi, la Phèdre di Racine, le Lettres portugaises
チャールズ・マリン(1949年)がデザインした新しい活字よる彫刻でラディゲール鋳造所の型が造られ、『Promessi Sposi』(1951-52年)』3巻を印刷した。
その後1960年にここAlpignanoに印刷所を移し、今も家族で続けている。
  
タッローネ・エディトーレ:https://www.talloneeditore.com/
 
アルピニャーノの驚き②白熱電灯を発明したのはイタリア人Alberto Cruto の記事はこちら:
http://lci-italia.com/2025/07/lampadina.html
 
2025.6.28  con Chiara e Laura di Scuola leonardo da vinci Torino, anche Amore.
 
 
2025年6月30日 (月)

初めて、PIACENZAに来ました。滞在中のトリノからフレッチャロッサ(特急電車)でミラノで乗り換え、合計2時間ちょっとで到着。特にMilano-Rogoredo~PiacenzaのEurocityは空いていて、冷房もしっかり、とっても快適でした。

まずは駅から10分ほど歩きピアチェンツァ大聖堂(La cattedrale di Santa Maria Assunta e Santa Giustina) へ。

お昼休みがあるので、午前中のうちにやってきましたが、なんと正面は修復中で見られませんでした。12世紀頃のロマネスク様式の大聖堂は、ピンク色のヴェローナ大理石が下半分に使用されているそうです。

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中に入るとはカミッロ・プロカッチーニとルドヴィーコ・カラッチの天井画、更にSerassiのパイプオルガンが光っています。

グエルチーノのフレスコがあるクーポラに上るには午後の予約という事で、今回は見上げることに。只明かりがなく、次回にの楽しみにとします。

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今回待ち合わせた方が予約して下さった馬肉の美味しいレストラン『Antica Trattoria Dell'Angelo』 

まずは、ニョッコ・フリットと生ハムなどサルミをピアチェンツァの郷土ワイン『Gutturnio』(ブドウはクロアティーナとバルベーラ)、暑いので微発泡を選んで爽やかに頂きます。

州境ですがここはエミリアロマーニャ州なんだと実感した瞬間でした。

そしてワインを入れる容器が特徴的です。Scodella(スコデッラ)という磁器に入れて頂く伝統が見られる場所も減ったとか。調べると元々Ginoriが造ったそう...

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馬肉はステーキだけでなく、煮込みやタルタルまで。ピエモンテではファソーナ牛のタルタルをよく食べますが、馬肉は初めて。鉄分豊富とあって色は血液のようで、ほんのり甘味を感じる濃さがあります。しかし臭みもなく、意外とさっぱりしていて美味しい!

素晴らしいレストランでもがっかりさせられる事があるのがオリーブオイルですが、この店のオリーブオイルはトスカーナ産でフレッシュな青みがあり、お肉にピッタリ合いました。

よく来ているという知人は初のロバ肉(ASININA)の煮込みに挑戦。味見させて頂いたら、とっても柔らかく、これも臭みがなく、牛ほほ肉のようです。

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メインの広場はカバッリ広場(Piazza dei Cavalli)、騎士の広場ということで馬に所縁があるんですね。平日の昼下がり、人はほとんどいませんでした。

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シャンデリアLampadarioが美しいChiesa Ortodossa di San Fermo(サン・フェルモ正教会)

とても小さな教会で、祭司の方がまたとても親切で、犬も玄関先に置いて下さり、明かりも付けて下さいました。一見の価値あり、とても厳かなシャンデリアでした。

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知人のAcoさんとはお仕事?で知り合ったのですが、ようやく対面を果たし、ワインを頂きながらゆったり時間を過ごしました。ピアチェンツァの時間の流れ方が私には非日常的に、とても気に入ってしまいました。

次回観たいところを予習したのでメモっておきます。

1)聖マリア・イン・カンパーニャ教会 Chiesa di Santa Maria in Campagna
  1095年に開かれたピアチェンツァ公会議で法王ウルバーノ二世が第一回十字軍をエルサレムに向けて送る事をここで決めたそうです。イル ・ポルデノーネの作品が見られます。

2)聖シスト教会 Chiesa di S.Sisto

主祭壇にある【ラッファエッロのシスティーナの聖母】はコピーで、今ドレスデンにある有名な作品は元はこの教会にあり、1754年に売却されたそうです。珍しくキャンバスを使用。

3)ファルネーゼ宮殿 Palazzo Farnese

馬車コレクションと、”エトルリアのレバー”と呼ばれる貴重な収蔵品があります。

4)コッレージョ アルベローニ Collegio Alberoni

   アントネッロ・ダ・メッシーナの『Ecce Homo』のひとつがここに所蔵されています。ちょうどピアチェンツァ・カットリカ大学の真ん前です。博物館ではないので要予約だそうです。

2025.06.26