2025年8月27日 (水)

 

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【カレマ協同組合 Cantina Produttori Nebbiolo di Carema】
14時まで待ってようやく開いたので入ってみると、まずショップがあり、1人大柄なおじさんが、男性客に試飲をさせながら、説明していました。
車で来ていたようで、6本入りの箱で買っていかれました。
変なアジア人が入ってきたと思っていたのだろうか、「カンティーナの見学をさせてほしい」とイタリア語で尋ねるとようやく関心を持ってくれたようで、電気を付けて案内してくれました。
 

1960年に10農家さんほどで発足し、 現在は13ヘクタールの畑、約75の農家さんからブドウを仕入れているそうです。

このカンティーナはカレマ特有の栽培方法を保護し、またその価値を高める役割があるのだと言います。その特有の栽培方法はテラッツァメント(段々畑)に石と石灰で出来た石柱(ピルンとこの辺りで呼ばれる)を使ってペルゴラ仕立て(この地方ではトピアといいます)で栽培しています。

カレマ村に制限して認定された『CAREMA DOC』を1967年に取得しています。現在、ヴァッレダオスタ州との州境から広がる24ヘクタールの畑だそうで、とても小さな『ネッビオロのDOC』と言えます。

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  【テイスティング】
 
 ≪TOURNET トゥルネ≫ ネッビオロ100%,  ロゼ、2024年ヴィンテージ
「 ワイン名は『一番涼しい場所』というファンタジー名前だけど、その名の通りとても酸が高くフレッシュで、フルーティなんですよ」とおじさんが説明してくれました。
この冷涼な地域のネッビオロはタンニンはとても柔らかく、ランゲ地域のネッビオロとの違いが見られます。アルコール度11.5%
 
≪SPUMANTE METODO CLASSICO スプマンテ メトドクラシコ≫ネッビオロ100%,  ロゼ、2021年ヴィンテージ、2025年11月にSboccatura(澱引き)、つまり約30カ月かけて2次発酵させた訳ですね。泡がとてもきめ細やでペルラージュ気泡も長く続きます。
 パドセ(加糖なし)、0.6-7%の残糖度でとてもドライですが、ラズベリーのようなフルーティさがあり、一般的な酵母やパン屋の香りは殆どしません。
 
おじさんは「Bitterを思わせます、後味のほんのり苦みがあるでしょ」
 
このワインに使うブドウは勿論手摘みで完全な元気なものだけを厳選して造られ、年間3,500本ほどだそうです。スプマンテなので10日ほど早めに収穫します。

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狭いカンティーナですが、ステンレス、木樽、セメントの容器がありました。CAREMA DOCは大樽を使用しますが、ラベルによってはバリックも使用しており、同じカレマのネッビオロですが、

古典的なものだけだとお客のニーズに合わない場合もあるので、同じブドウで造り方を変え、ラベルをいくつか作っており、年間3万~5万本生産しているそうです。

おじさんに「日本人なの?イタリアに住んでるの?」と聞かれ、日本市場の話になった、彼らは日本に20年来輸出しているそうです。ところが、「日本は最近落ちてるんですよね。注文が滞っているんで残念だ。」 「初期はイタリア商事の若い元気な男子が一生懸命やってくれてたんだけど、その後モノポリオでテラヴェールさんに変わり数は増えたんだけど、最近はどうも・・・」という感じで残念がってらっしゃいました。 

カレマ DOCは 特徴的な栽培という背景と冷涼気候で造るエレガントなネッビオロという魅力があり、日本でも増えるといいな、と思った次第です。

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【テイスティング CAREMA DOC 3種類】(写真一番上の右側)

≪Carema Doc カレマ≫ アルコール度12.5%  2021年ヴィンテージ

「2021年は今年のように極端に暑い年ではなかったので、軽やかな仕上がりになっています。

このワインはガストロノミーなワインとしてお勧めです。酸がしっかり、タンニン柔らか。口の中でお食事の脂分を流してくれるので、ワインを一口飲むとまた食したくなり、食するとまた飲みたくなるというどんどん飲めて生産者も嬉しいワインなのです。」と笑って話してました。

≪Carema Doc RISERVA カレマ≫アルコール度13%  2020年ヴィンテージ

2020年はカレマでとても良い年、確かに暑かった年でおじさんも大好きだそうです。

)ワインは味わいに発展がみられ、スペツィアート(スパイス)なニュアンスがあり、コルポーゾ(ボディ、肉厚)があります。

本当に香りが素晴らしく、持続性もあります。

≪Carema Doc カレマ≫ アルコール度13%  2020年ヴィンテージ

蝋キャップ(Gommalacca)を使用したこちらのボトルは、伝統から離れてバリック、トノーを使用。

年間2000本しか造られない、新しい試みです。新樽ではないため、ネビオロの個性を残しながら、バニラなどの香りがあり、先と同じ2020年でもよりまろやかさが強調され、バランスが良かったです。

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【CARAEMA DOC 規定】では3年熟成が必要ですが、こちらのカンティーナではプラスで行っています。本来2022年が出回るところ、2021年が出ていました。

「1967年DOCが出来たときは5年の熟成だったが、それは非現実的でした。3年に変わったが、常に少し長めに寝かせて市場に出してます。」

「カレマは小さな世界で、良い年で400-450ヘクトリットルの生産量、よくない年は350ヘクトリットル。昨年2024は雨も多くイタリア全体に厳しい年でしたが、ここは180ヘクトリットルと半分以下だっだのです。」

「ALBAはよくドルチェットがBarolizzato(バローロ化)していると言われるが、CAREMAはネッビオロが Pinotteggiato(ピノノワール化)しているという」

その大きな理由は栽培仕立てにあります。

ペルゴラ仕立ては決して直射を受けることがないため、香り成分を成熟させることができます。

それに対してFIRALE(垣根式)の栽培ですと、色が濃くなり、構造のしっかりとしたブドウに仕上がります。

CAREMAの畑にも少しFIRALE(垣根式)も見られるようになりましたが、私はいつもペルゴラ仕立てとフイラーレ(垣根式)栽培との違いが明確だと説明します。

香りの豊かさは、この2つを比べると断然ペルゴラ仕立ての方が素晴らしいのです。

【Canavese DOC】

数年前まではトリノ県(Provincia)の赤ワインDOCはCAREMAだけで、白はERBALUCEだけでした。

今ではカレマを含む更に広がった範囲にCANAVESE DOCがありその中にNebbiolo ROSSO DOCも出来ました。またFLEISAフレイザもあります。

しかしトリノでは、なかなかCAREMAのワインは見られず、やはりランゲ、バローロ、バルバレスコが出回っています。

【スクリューキャップ TAPPO A VITE】

最近話題のスクリューキャップについて聞いてみると、「やはりカレマは伝統主義なので、コルク(Sughero)を使用してますよ。」

 

【Presidio Carema Slow Food スローフード】

カレマの伝統的な栽培方法や村の景色、独特の土壌、そして郷土ワインといった多様性Biodiversita'を保護する観点より2014年からスローフードに指定されました。
昨年より、スローフードのプロジェクトで、一部の畑、カンティーナでBIOLOGICO(ビオ)製法を取り入れ始めたそうです。各畑はとても小さいのでビオの認定は取れないので、販売に貢献するというよりは、カレマでワイン造りをする人たちの機運を盛り上げるためだそうです。
 
つまり生産者にサステイナブルなワイン造りを目指してもらい、また市場へのエシックなアプローチを進めているそうです。 
『カレマのワインを買って、この唯一無二の村とそのEROICAなワイン造りを守ろう!』
 
カレマの畑周遊記録はこちら:
http://lci-italia.com/2025/08/carema.html
 
Kyoko M 2025.07
http://lci-italia.com/
http://www.italia-vino.com/
2025年8月23日 (土)

カレマ(Carema) 急斜面のペルゴラ仕立てを観にいく!

ピエモンテ州の北西部、つまりヴァッレダオスタ州との州境にある人口800人ほどのとても小さい村、カレマCAREMA!


バローロのブドウ品種と同じネッビオロを造っています。中でもいち早くDOCとなったのはCarema カレマです。(1967年)

急斜面にテラス式(段々畑状)に畑を作ってペルゴラ仕立てで栽培するのが特徴的です。

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そして、急斜面の中、殆ど手作業のためヒーロー的栽培、EROICA(エロイカ)と呼ばれています。

一度目の前で観たかったのですが、やっと実現しました。実はトリノから車で1時間ほどでヴァッレダオスタ州に入る手前にあります。


Cantina Produttori di Carema いわゆるカレマの協同組合醸造所に伺ったところ、直ぐに返信があり、看板がしっかり出ているから自分たちで勝手に散策できますよ、との事でした。ウェブサイトを確認すると地図も出ており(上図)、1周4km、1時間15分で歩けるとあります。

それなら、ワンコも連れて行ってみようと思い立ったのですが、ビデオに撮ったように前半は崖を上るようにかなり急斜面で大変でした!


YouTube: ピエモンテ州カレマ(CAREMA)急斜面のペルゴラ仕立てを観に行く! (ブドウはネッビオロ)

【トピア建築 TOPIARIA】

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カレマの山の岩をカットして段々にし、岩を積み上げることで『テラッツァメント』(テラス式、段々畑)の形状を支えています。

渓谷から運んできたモレーン土を使用しています。石と石灰から出来ている石柱の上にブドウの蔓を支える棚が設置されています。

地元ではこの栽培方式を『トピア』または『トゥピウン』、石柱を『Pilun ピルン』と呼び、『バッカス寺院 tempi bacchici』と別名が付いたそうです。

 この石柱の役割は日中、太陽の熱を吸収し貯めます、昼夜の気温差が激しいことから、夜になると放熱します。
 
【Carema カレマの土壌】

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モレーン(氷堆積)の扇状形をしています。

標高300~600メートル、岩質で大半が急斜面です。コンカといってドーラ・バルテア川から山に向かって広がる扇状地は日照をしっかり受けます。北風の吹く冷涼気候を緩めてくれます。
 カレマ地区の西側にドーラ・バルテア川が走っています。天気に恵まれたこともあり、素晴らしい山、川、谷の景色を臨むことができ、7月というのに涼しい風が常に吹いていました。これがブドウ造りにも良い条件ですね。

旧市街のサンマルティーノ教区に建てられた鐘楼は60mの高さがありよく目立ちます。1700年代に建てられたそうです。集落はドーラ・バルテア川に近い谷部から標高600mの丘にまで点在します。

【最終地点はやっぱり地元のオステリア】
 
 ちょうどカンティーナ(カレマの協同組合)の上方にあるこのオステリアは地元の人たちで賑わっていました。
冷房設備もなく、冷たい風が心地よく吹いていました。
 
着いたときはランチ終り頃だったのであっという間に人は少なくなったので、カフェを飲みながらカンティーナが開くのを待ちました。
カンティーナ見学、テイスティングは次の記事でご紹介します。
http://lci-italia.com/2025/08/vino-carema.html
 
Kyoko M 
LCIイタリアカルチャースタジオ
 
 
2025年8月 6日 (水)

イタリアの中でもチーズの種類が豊富なピエモンテ! ミルクは牛、山羊、羊とあり、主にDOP認定チーズをご紹介し、ワインとのアッビナメントを実践いたしました。

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【Formaggio piemontese DOP】

◎Toma Piemonese DOP

◎Bra DOP

Raschera DOP ラスケーラ

◎Castelmagno DOP

◎Robiola di Roccaverano DOP

◎Murazzano DOP

◎Ossolano DOP

その他にも他の州でも造られるDOPはこちら;

◎Grana Padano DOP グラーナパダーノ

◎Gorgonzola  DOP  ゴルゴンゾーラ

◎Taleggio DOP  タレッジョ


Assaggiamo i formaggi! 今日のテイスティングチーズ

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ピエモンテチーズの王様 Castelmagno DOP  カステルマーニョ

 バローロなどのフルボディ赤ワイン、はちみつはもちろん、お勧めはトリュフ入りはちみつがとてもよく合いました!

Robiola di Roccaverano DOP  ロビオラ ディ ロッカヴェラーノ

2023~DOPはCAPRA ヤギ100%のみ!

RASCHERA DOP  ラスケーラ

「ラバ」の背に積みやすいように平たく四角い形になったそうです。

 地元では韻を踏むことからも、バルベーラによく合うと言われます。

◎Bra DOP ブラ

la Doc nel 1982 (原産地呼称保護)

BRAの町はスローフード協会の本部があり、2年に1回 9月にチーズフェアが開催されます。

◎Toma piemontese DOP 牛のトーマ

フルボディ赤ワイン、はちみつ、フルーツ、ライ麦パン、ポレンタなどを合わせます。

チーズ屋さんのお勧めは、

★スペチャリタSpecialita★ 昔馴染みのエッセンスとして教えてくれました。

オリーブオイル、塩、胡椒、ビネガー、グラッパ➡しっかり混ぜます。グラッパの風味が効いてチーズによく合います。

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◎Toma di Capra   ヤギのトーマ

ヤギのミルクは栄養価が高くビタミン豊富、牛乳よりも消化が良いそうです。

フレッシュな方が酸味が強い。ナッツやハーブの香りが特徴的です。

アッビナメント: はちみつ、ジャム、ナッツ入りパン、ワイン、果実味のある白ワイン

◎Fontina DOP (Valle d’aosta )フォンティーナ

フォンティーナはピエモンテではよく見かけます。CUSINI(従妹)だと言っていた。

◎Blu di Lanzo ブルーチーズ

ランツォ溪谷のアオカビチーズ 

3-4か月の熟成でしっかりとしたクリーミーな風味、青カビの部分がピカンテ(ピリッと刺激) 

アッビナメントにはパッシート! Strevi DOC passito Moscatoを合わせました。上品な甘さが刺激によく合います。

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【日程】 
 8月3日(日) 15:00-17:00  
 8月4日(月) 15:00-17:00     
 

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2025年7月15日 (火)

Isabellaさんに案内され、シックなテイスティングルームへ。まず白ワイン、2023ヴィンテージのこちらをテイスティング。

テスタマッタ・ビアンコ TESTAMATTA BIANCO 2023   ISOLA DEL GIGLIO TOSCANA

コローレ・ビアンコ COLORE BIANCO 2023  ISOLA DEL GIGLIO TOSCANA

ブドウは アンソニカ100%

熟成(Affinamento)は約6か月間、約70%フレンチオークバリック、約30%はステンレスを使用。

『テスタマッタ』と『コローレ』はまるで異なるワインの感覚ですが、ブドウ品種や醸造方法は同じです。つまり違いは畑にあります。

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ジリオ島の急斜面にある畑で海に向かうように育つブドウ樹は、常に海風にさらされています。風から守るためジリオ式アルベレッロの栽培仕立て。

『コローレ』は 単一畑『ピエトラボーナ Pietrabona』のブドウだけを使用します。良質な岩という意味の畑はまさに花崗岩質の岩が広がる土壌です。どちらも高樹齢の樹ですが、特にpietrabonaの樹は平均100年、島の中で最年長だそうです。

更に他のブドウより4日待ってから収穫するため、色やアロマ(フェノール)がより熟成し、濃厚です。収穫を遅らせるのは偶然の発見から始めたそうです。

『テスタマッタ』はレモンやハーブのような爽やかな香りに酸、ミネラルがしっかりありますが、アルコール(13%)とのバランスが取れており、超が付くほどエレガントです。

『コローレ』はそれに対してトロピカルフルーツ、マンゴーやパイナップルの香り、骨格がありますが、酸とのバランスが取れているため、アルコールを感じさせずに余韻を楽しめます。こちらは合わせるお食事のバリエーションが広がります。

Isabellaさんはラーメンのような複雑な出汁にも合うのではと仰ってましたが、まさにホタテのオーブン焼きなど出汁の効いた料理や昨夜頂いたアンチョビとバターのクロスティーニが合いそうな気がします。

若いヴィンテージだけでなく、忍耐強く待って熟成させるのもこのワインの醍醐味です。Foto_25

Isabellaさんはフランス(サンテミリオン)のカンティーナでも働いた経験があり、また重要なワイン産地はフランス、イタリア、カリフォルニアと周ったそうです。

フィレンツェに居るとトスカーナの素晴らしいワインは沢山頂けるけれど、他の地方のワインはなかなか頂く機会が少ないので、休みを利用して出かけるようにしているそうです。

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次に赤ワイン、2022ヴィンテージと2023ヴィンテージのこちらをテイスティング。

樹齢の高いサンジョヴェーゼ100%使用のスーパータスカン!

テスタマッタ TESTAMATTA  2023 /2022   TOSCANA IGT

幾つかの畑からセレクトしたブドウだけを使用。

コローレ COLORE BIANCO 2023 /2022   TOSCANA IGT

キアンティクラシコの地区Lamoleの樹齢80~90年のブドウを主に使用。標高650mと高地にあります。Olmoの畑も使用する場合があり、どの畑も区画ごとの成熟状態を確認しながら、収穫を行い、更にカンティーナで選果します。つまり、完全なブドウだけを使用します。

それから区画毎のブドウをソフト圧搾、オープン状態の容器でリモンタージュや櫂入れ(Follatura)を行って果汁、色、アロマを抽出します。自然酵母を使用。

全てマニュアルなので小まめに状態を確認することが出来るのだと思います。

どちらもサンジョヴェーゼ、約18カ月のバリック熟成ですが、異なる感覚の2つのワイン:

『テスタマッタ』はフルーティな香りと酸がより特徴的で、『コローレ』はタンニン、ボディはありますが、超越してエレガントな仕上がりに驚きます。

2022年は特に暑かったため、使用ブドウを標高の高い畑のものだけに限定し、生産量を約半減させたそうです。 

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更に BALOCCHI バロッキシリーズをテイスティング。

バロッキ Balocchi di Colore n°8 2022  品種:カナイオーロ 100%

バロッキ Balocchi di Colore n°0 2022  品種:カナイオーロ 70% コロリーノ 30%

バロッキシリーズはオマージュでカナイオーロ、コロリーノ、サンジョヴェーゼのブレンドを造った際に、これらの品種は単一で造る価値があると気付き、始まりました。

ブドウは主にオルモの畑で標高250mの風が常にある場所だそうです。

3種各単一ワインの3本セットで販売したところ、大人気となったそうです。

ラベルは息子さんのLudvicoくんが主にデザインしたそうで、これも成功の理由のひとつかもしれません。これから、2020年ヴィンテージのN゜0, N゜1,N゜4の3本セットを木箱に詰めて販売するそうです。その木箱にはひとつひとつビービーグラーツ氏がデザインし、唯一無二の商品となります。コレクターは大喜びでしょうね。

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偶然この日は白ワインのブレンドを始めたところでした。BiBiは独学のエノロゴでもありますが、

ご友人のエノロゴEmiliano Falsini氏も協力してらっしゃるようです。Viniitalyでお会いし、ここで再会でき、嬉しくなって思わず写真をお願いしましたら、恥ずかしそうにOKしてくれました。

エミリアーノ氏も素晴らしいワインを造ってらっしゃるエノロゴであり生産者で、ボルゲリ、エトナ、マンモイアーダを選んでらっしゃるところがまた凄く、ストイックな方なのだと思います。

奥の部屋には数十本のボトルが並んでおり、試験管で微量を変えながらブレンドを試してらっしゃる様子が伺えました。朝から晩まで、また何日も何週間も続くこともあるそうです。

これだけ研ぎ澄まされた感性をつぎ込んで造られるワインなのだと実感した次第です。

次はジリオ島の畑も観てみたいです...

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イタリアワインの好運の星、BiBi Graetzを尋ねる

カンティーナについての記事:高得点のワインを造るBiBi Graetzを尋ねる

『COLORE 2022』はジェームス・サックリング100点、他のワインも同様に常に高得点を出しています。そのようなワインが出来上がるBiBiのカンティーナをIsabellaさんに案内して頂きました。

ビービー・グラーツ氏はフィレンツェの美大 Accademia delle belle artiを卒業し画家を目指していましたが、約25年前からワイン造りを始めて、あっという間に世界に注目されるようになったという稀有な存在です。

アーティスト魂はボトルのラベルのデザインやカンティーナの壁色などにも見られます。

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カンティーナへ案内されるとそこは手作り感一杯で、親しみを感じます。やはり元ホテルとして建てられた構造なので、ほぼマニュアル作業で、樽の移動や導線にかなり工夫をされています。

真ん中の写真の天井にミラーボールが見えます。この部屋は当時ディスコ(Discoteca)の部屋だったそうで、あえて残すところが面白いですね。天井にはエレガントなストッゥキ(Stucco)も残されていました。

樽はバリックだけでなく大樽も幾種類かあり、すべてフレンチオークの使用済みの樽です。彼はエレガントでブドウ本来のアロマを感じられるワインを目指すため、新樽は使用しません。

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彼が育った場所ヴィンチリアータとオルモの畑は、フィエーゾレの更に標高の高い場所に広がっています。 日照は勿論、常に風が吹いているミクロクリマに注目し、80haの土地を所有、そのうち10haをブドウ栽培に使用しているとのことで、彼の未知なるワイン造りが続きます。

オルモは昔からブドウ栽培されていて、列ごとに品種が異なるそうです。昔は品種へのこだわりや単一品種でワインを造る感覚はなかったので、混栽が通常でした。樹齢の高いブドウの樹を選ぶこともBiBiのこだわりのひとつです。

そんな多様性(Biodiversita’)を温存するオルモの畑から出来るワイン、BALOCCHI DI CUORE(バロッキ ディ コローレ)は最近のシリーズで、1種類を除いて、各品種ごとに収穫、醸造して造られるそうです。

例えば、Balocchi di Colore N゜8は Canaiolo(カナイオーロ)100%

なんだか香水の銘柄のようなネーミングです...

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上の写真に見られるようにバリックに手書きで品種名や畑名が書いてあり、それぞれ個別に醸造していることが分かります。バロッキシリーズの各品種ごとに1000本といった希少な生産量です。

もうひとつの畑はキアンティクラシコで知られるLamoreにあり、中でも標高650mと高く、ブドウ樹は80-90年とより高樹齢です。斜面は急で、一部テラス式栽培方法を使用しているそうです。

この畑からCOLOREのワインが造られます。

カンティーナ(醸造の部屋)の上階が地上階と繋がり、収穫されたブドウが運ばれてきます。

場所がフィエーゾレのメイン広場に面しているため、その時はみんな観に来て大賑わいだそうです。

畑から運ばれてきたブドウはテーブル上に並べて、選果を人の眼、手で行い、完全なブドウだけが醸造に送られます。特にBiBiは緻密にチェックするそうです。

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Isabellaさんが惚れ込んだ彼の白ワインについては、トスカーナ州南部、地中海に浮かぶ島、ジリオ島で造られます。 初期はフィエーゾレで醸造していたそうですが、島なのでフェリー(トラゲット)を使って片道約4時間かけて運搬する苦労とブドウの品質を危惧して、ジリオ島で白ワイン造りは行っています。

ジリオ島は人口1000人ほどの自然豊かな小さな島です。マグマを起源とし、その後花崗岩となった岩質が多い土壌です。

急な斜面にテラス式といっても、細い通路に人がやっと通れる程度の畑の栽培は全て手作業です。TatianaさんにこのYoutubeのビデオを見せて頂き、改めて実感したのは、ボトルの中のワインにはこんな絶景の場所で育てられてきた歴史背景と、人の手の温かみです。


YouTube: BIBI GRAETZ - ISOLA DEL GIGLIO - HARVEST TESTAMATTA BIANCO & COLORE BIANCO

2025.07.11 次はテイスティングへ

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イタリアワインの好運の星、BiBi Graetzを尋ねる

ビービー・グラーツのカンティーナを尋ねる

2025年7月13日 (日)

ViniItalyでお会いしてますます興味を持ち、やっとフィエーゾレのカンティーナ訪問が叶いました。

元ホテルだった建物だけに、フィエーゾレの高台からフィレンツェの街全体が見下ろせる素晴らしい立地条件で、

この日は暑さも和らぎ快晴で、フィレンツェのドゥオモがはっきり見えていました。

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ここは2019年にオープンされ、カンティーナ、オフィスと自宅になっています。敷地内には立派なボクサー犬がいて、諸事情で連れて行ったトイプードルのアモーレはしっかり抱いておくように指示がありました。

因みに元の『ヴィラ・オーロラ』ホテルは、かつてテラスの外壁を飾っていたグイド・レーニの「オーロラ」のフレスコ画の複製にちなんで名づけられ、王室、貴族が利用する重要なホテルでした。

まずはIsabellaさんが情熱的に案内してくださり、門を少し降りた先に広がるテラスからの景色を満喫。

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エントランスにはアンティークなピアノ(チェンバロかもしれません)があり、先に進むと素敵な彫像が飾られていました。

これは彫刻家のお父様の作品で、イスラエル出身で特にアメリカで大成功された方だそうです。偶然にも現在通っている大学のクラスメートがBibiとフィレンツェの美大で同級生だったので、話を聞いた次第です。彼はE’nato con la camicia(好運に恵まれた人を表す言い回し)だと絶賛してました。

美大の頃は彼の家がVincigliataのCastello(お城)で、みんなで勉強しに行っていたそうです。

ですから、2000年にワイン造りを始めたのはヴィンチリアータのお城だったんですね。

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日本市場担当の方に伺った話では、まだ有名でない頃から知ってらしてお城にも行かれたそうですが、その頃はお城の老朽化も進み、メンテナンスも大変でワインを沢山買ってねと言われるほどだったそうです。

ところが、あっという間に最高評価を得るようになり、まさに好運の星のもとに生まれた人だと実感します。

しかし、訪問して運は実力のうちだとよく分かりました。それは特にワイン造りにおける緻密さです。

ホテルの構造を利用して複数のテイスティングルームがアーティスティックにしつらえてありました。

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絵画はBiBiの作品、彫刻はお父様の作品。

お母様はノルウェーの方でやはりアーティスト、つまりアーティスト一家に生まれ、美大を出て画家の道を進んでいたそうですが、あるワイナリーの友人との出会いがきっかけとなり、ワインの魅力に引き込まれていったそうです。

カンティーナ、テイスティングワインは次の記事でご紹介します。

2025.07.11 ※偶然にもBibi Graetzさんのお誕生日でした!

カンティーナについての記事:高得点のワインを造るBiBi Graetzを尋ねる

ビービー・グラーツのカンティーナを尋ねる

イタリアワインだけを学ぶ面白さはいろいろありますが、やはり6000年の歴史があるイタリアワインには逸話が付いてきます。

イタリア人のFIS認定講師が授業で話す内容は、テキストでは学べない、ライブな話を聞くことができることです。

よって、このコースはテストありきではなく、受講ありきの内容なのです。

逸話といえば、有名なトスカーナのワイン『キアンティ・クラシコ』のロゴは『ガッロ・ネロ Gallo nero』黒のオンドリ。

Gallo_nero
世界的に有名ですから、やはりニワトリマークだと偽造や似たものが多く出回り易かったため、1924年に出来たキアンティクラシコ協会(CONSORZIO VINO CHIANTI CLASSICO)は、2005年に右側のスタイリッシュなデザインに変えて、キアンティクラシコ生産者のワインを保護しています。

旧⇒新ロゴ

「なぜ黒いオンドリなのでしょうか?」

中世において、フィレンツェはメディチ家による銀行、シエナは今もあるMonte dei Paschi di Siena銀行は教皇と繋がりがあり、双方ともに強い権力を持っていました。また地理上隣りという事もあり、戦いが絶えなかったのです。

そこで所有地の境界線を決めるのに、各騎士が各街の中心から馬で走って出会ったところを境とすることになりました。

スタートの合図は朝日の頃、ニワトリ(オンドリ )が鳴いた時ということで、シエナ側は白く、まるまるとふくよかで栄養が行き届いたオンドリを選びました。一方、フィレンツェ側は不快な檻に入れて、数日間絶食させた黒いオンドリを選びました。

いよいよ競争当日、フィレンツェ側のオンドリは余りに空腹で陽が上る前に、鳴き始めました。

その為、騎士はシエナの騎士よりかなり早く出発し、シエナにあと数キロといった地点まで辿りついたのです。

このフィレンツェの勝利に貢献したGallo Nero(黒オンドリ)をシンボルとしたのです。

 WSAイタリアワインソムリエ http://www.italia-vino.com/

開催コースレポート、受講生の感想などの記事はこちらからご覧ください。

WSAイタリアワインソムリエコースで学べること①アッビナメント

WSAイタリアワインソムリエコースで学べること②イタリア語表現

Wsa

2025年7月10日 (木)

ワイン評価本でGamberorossoと並んでイタリアで有名なのがBibendaです。

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ビベンダはガンベロロッソのようにBicchieri(ワイングラス)ではなく、Grappoloグラッポロ(ブドウの房)1~5点までに分けて評価します。

よって5つのグラッポリ(ブドウの房)が素晴らしいワインの評価となります。

5 grappoli ーチンクエ・グラッポリ!

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テイスティング表現を見てみましょう。

まずは視覚検査:Analisi Visiva  

白ワイン Vino Bianco について4段階の色の表現があります。

Giallo Verdolino ジャッロ・ヴェルドリーノ(緑がかった黄色)

Giallo Paglierino ジャッロ・パリエリーノ( 麦わら色)

Giallo Dorato   ジャッロ・ドラート(金色)

Giallo Ambrato/Aranciato ジャッロ・アンブラート/アランチャート(琥珀色、オレンジがかった黄色)

イタリアの面白いところは、表現力が豊かなところです。

例えば、若いワインによくみられる、麦わら色が主体で淵の方は薄くなっている場合は、

Il colore : Giallo Paglierino con riflessi verdolini 、このRiflessiは時にSfumature(ぼかす)やUnghie(爪)といった表現を使ったりします。

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次に赤ワイン Vino Rossoを見てみましょう。

Rosso Porpora/Violaceo ロッソ・ポルポラ/ヴィオラーチェオ(紫がかった赤色)

Rosso Rubino ロッソ・ルビーノ(ルビー色)

Rosso Granato  ロッソ・グラナート(ガーネット色)

Rosso Aranciato ロッソ・アランチャート(オレンジがかった赤色)

 

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嗅覚検査 Analisi Olfattiva  について、つまり香りについて幾つかの観点をチェックします。

香りの質 Qualita' はいかに心地よい香りかという事を評価します。

ここで基本は4段階に分かれます。

①平凡な香りの場合、 Poco Fine( ポコ・フィーネ)

②中程度、まあまあ良い場合は Sufficientemente Fine (スッフィチェンテメンテ・フィーネ)

③いい品質の場合は Fine(フィーネ)

④とても良い、上質の場合は Eccellente(エッチェレンテ)

そして香りの表現はもちろんあらゆる表現があり自由です。

ですが、このコースは基礎を固める目的がありますので、グルーピングをして主体的な香りのグループとして捉える練習をしていきます。

香りの表現を学ぶにはとても有効的です。

この辺りについては次のブログでご紹介していきます。

 WSAイタリアワインソムリエ http://www.italia-vino.com/

開催コースレポート、受講生の感想などの記事はこちらからご覧ください。http://www.italia-vino.com/blog_index.html

Wsa

2025年7月 8日 (火)

今週末はトリノ市内の主要な博物館が入場無料ということで 古代エジプト博物館へ数年ぶりに行ってみることにしました。

折角なのでエジプト学者のガイド付きコース(7€)、夕食時間で空いてるかなと期待をして19:30~を選びましたが、20名ほどは参加されていたように思います。

花柄ワンピで登場したエジプト学者は、とてもテキパキ、ハキハキと話を進めとても優秀な方でした。

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1824年に創立されたので今年は201年目を迎えます。Collegio dei Nobili(1679年~貴族の寄宿学校は100年続いたがナポレオン侵入により閉鎖)だったこの建物をサヴォイアのカルロ・フェリーチェ王が買い取り、1832年には一般公開された。

カイロよりも先にでき、規模もこちらの方が大きいそうです。

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1900年代に入り、Schiaparelli(スキアパレッリ)氏、Farina(ファリーナ)氏率いる考古学者たちがエジプトで発掘し約30000点持ち帰ったという。

最初の部屋(2階に上がってすぐ)に最初のミイラがきれいに保管されている。さすがに写真に収める気がしなかったのですが、これは古美術市で購入したもので、出処などの確定はできないそうです。

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(真ん中の写真)カバ(ippopotamo)の彫像が沢山、守り神とされていてお墓の中に入っていたそうです。

この時代はお墓に入ってからもこの世と同じような世界が続くとされていたので、有力者であればあるほど、大きな敷地に部屋が作られ、使用人、パン作りの人(左写真)たちの彫像もたくさん飾られていました。

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3000年の歴史があるエジプト王朝時代。(左写真)髭があるので男性、つまりファラオ。その奥様が真ん中の写真。

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(左写真)パピルスにヒエログリフ文字が書かれており、スト(Sciopero)の内容が記載されており、世界初のデモ抗議だったと言われています。半年くらい続いたそうです。この展示室は庶民が住む村の様子が紹介されており、奴隷ではなく、賃金が支払われていたのです。

(右写真)地位の高い女性はかつら(Parucca)を使用していました。化粧道具なども展示してありました。この時代は女性にも権限があり、いろんな活動をしていたようです。ポンぺイ遺跡を見ても女性が本を書いたりして活躍していました。

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この最後の部屋はとても明るくなっていました。最近変更したばかりだそうです。

というのも、スフィンクスは太陽の光にさらされていますから、暗いと見え方が違うとなったそうです。そのため、今まで見えてなかったデザインや絵が明らかになりました。

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ファラオのラムセス2世の彫像が目立ってます。右写真は3メートルを超えるため、運び入れるのに苦労したそうです。

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更にこの部屋の隣が改修中で、1年以内には出来上がるという、アペリティ―ボもできるような部屋だそうです。

ガイド付きコースもいろんな切り口で開催されているようで、何度行っても楽しめることがよくわかりました。

2025.7.5.   エジプト博物館(トリノ)

2025年7月 5日 (土)

このコースで学べる事①として、イタリアワインソムリエに欠かせない、『アッビナメント(食事との合わせ方)』の授業があり、実践もございます。 

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世界のワインを学ぶソムリエコースでは、イタリアワインについて学べる内容は当然ながら限られます。

実際、イタリアは全20州で紀元前からワイン造りを行っているため、土着品種が500以上、クローン、バイオタイプなども含めれば1000以上もの種類があります。

さらに個々にまつわる歴史、ストーリーがあり、もちろん現在も発展し続けているイタリアワインの世界は複雑に感じることと思います。

このWSAイタリアワインに特化したソムリエコースでは、各州ごとに整理をしながら、とりわけ重要な部分、特色を分かり易く紹介して参ります。

『アッビナメント(食事との合わせ方)』

イタリアの場合、ワインは食事の際に欠かせない存在であり、食事をより美味しく頂くために必須と考えています。よって、イタリアワイン全般の特徴として、他国のものより比較的酸度が高いのも納得の理由のひとつです。

各カテゴリー、穀類(パン、米、トウモロコシ)、肉類(サラミやハム類、各種肉)、野菜(キノコやトリュフ含め)、チーズ(フレッシュ、カビ、セミハードなど各タイプ)ごとに

味覚特性を分析し、合わせるワインに必要な要素を導きだします。

難しいように思われますが、実際、各感覚をデータ化してグラフにすることで視覚的に分かり易くとらえることができます。一度行ってみると楽しい作業です。

ワインに対してはアッビナメント用の感覚分析なので、5-7つの観点だけチェックします。例えば酸度、アルコール、タンニンなど・・・

こちらもグラフ化して視てアッビナメント完成度を測ります。

更に、実践です。実際にこのお食事とワインを口にして、このグラフ結果を確認していきます。よって、データだけでなく、感覚でも納得することで、理解が深まります。

イタリアでもよく間違ったアッビナメントの例として、クリスマスシーズンに頂くパネットーネとシャンパン(仏)が挙げられます。  セオリーからしても、実際にテイスティングしてもパネットーネにはパッシートワインがよく合います。お試しください。

次回、WSAイタリアワイン専科ソムリエコースで学べること②は、イタリアのテイスティング用語です。

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