2024年6月

2024年6月29日 (土)

日、シチリアのワイン生産者『ASSULI』のロベルトさんを連れて伺った素敵なシチリア専門店『Trattoria Gatto Nero』で、偶然な再会を果たしました。

昨年2023年秋にオープンした店のオーナーシェフは2020年に当WSAイタリアワインソムリエコースを受講され、見事合格された稲田シェフだったのです!

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稲田シェフはシチリアの有名店で修業なさった経歴を持ち、純粋にシチリアの郷土料理を再現されており、シチリアからいらしたロベルトさんも絶賛でした。

シチリア・パレルモで唯一、10年間1つ星を獲り続けた女性シェフのリストランテ『bye bye blues』やアグリジェントのやはりミシュラン2つ星『La Madia』やシラク―サの『Oinos』など凄いお店ばかりですが、稲田さんはとても笑顔の素敵なSimpatico!(親しみやすい方)です。

Img_1999前菜盛り合わせは、カジキマグロやカポナータ、タコとジャガイモのマリネ、そしてひよこ豆のパネッレ!

冷えたASSULIのZIBIBBO・Seccoによく合います!

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Sfincione! (スフィンチョーネ)

贅沢なウニがたっぷり、グリッロやカタラットと一緒に病みつきになりそうな一品です。

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ワインは100種類以上のシチリアワインを常備されているそうです!

文京区の閑静な住宅街で、2-4人くらいの少人数でゆっくりシチリアを嗜むのにぴったりな空間とお料理です。 

リピーターが多いというのは良いお店の証拠ですね。

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彼のようにイタリア郷土愛が強い方には必見の、WSAイタリアワインソムリエ資格を取ってみませんか。

ローマに本部を構える歴史あるBIBENDAが主催しております。

現地からイタリア人講師が来日し、年に1回だけの5日間集中コースだから、日本全国からいらしてます。もちろんワイン愛好家、イタリア好きという趣味として楽しまれている方も多いです。

現在オンライン説明会実施中です。一度HPをご覧ください。

http://www.italia-vino.com/

代表のFranco Maria Ricciと2024年6月に再会!実はかなり有名な方です。面会も分刻み。

宇宙へ3つの苗木(Biondi Santiのブルネロ, Gajaのネビオロ 、Feudi di San Gregorioのアリアニコ)を送るプロジェクトでも話題になりました。

右側はワインガイド本出版社BIBENDAの副代表と認定講師Antonellaさん。

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Bibenda2024



2024.6月  本部があるROMA-  Cavalieri, A Waldorf Astoria Hotelにて

2024年6月25日 (火)

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 Dove si trova? ≪場所≫】 

  レッチェから車で30分ほど内陸に行くと、サリーチェ・サレンティーノDOC地域にこのカステッロ・モナチの広大な畑が広がっています。

門をくぐると両脇にヤシの木が並んでいる道が結構長く続きます。そしてようやく入口に到着。

沢山の鮮やかな色の花やフルーツの樹がお出迎えしてくれます。少し歩くと、このお城の館が登場。

実は、年に300回以上の結婚式、披露宴が行われているそうで、緑の芝がキレイに整えられ、そこでウエルカムドリンクのフリースペースを設けるそうです。

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【Castello MonaciのStoria 歴史・変遷】

カステッロ・モナチの歴史は14世紀に遡ります。Monaci Basilianiという修道士団体がここで宗教的儀式を取り行っていたそうです。

1865年にフランス貴族Perry Granigerが購入し、10haのブドウ畑と醸造所を創建した。19世紀にフィロキセラによってブドウ畑が壊滅状態に陥った際、イタリア人Antonio Provenzanoが再建する事になったため、再びイタリア人の所有となる。

モナチ(修道院)だった過去を偲んで、カステッロ・モナチと名付け、1900年代には婿入りしたMemmo氏によって、ホテル、レストランを備えたワインリゾートとして確立させます。当時、ワインツーリズムの先駆けであった。

今では210ヘクタールにも及ぶ広大な畑へと発展した。

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醸造所がある建物(マッセリア)の屋上からは、見渡す限り、さえぎる建物もなく、ブドウ畑とオリーブなど他の木々が広がっています。

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結婚式の披露宴会場に使用される、豪華なバンケット会場。 

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醸造のステンレスタンクが並ぶ部屋を通過しますと、バリックが並ぶ貯蔵庫には、モダンなスタイルのセメントタンクが卵型になって登場。

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昔醸造所として使用していた場所を、Museo del vino ワイン博物館と称し、あらゆる道具やセメントタンクなどそのまま展示してあります。

当時は黒ブドウは醸造した後、北部のワイン生産者が買い取っていた。やはり色が濃く、アルコール度数が高い、糖度の高いワインだった為、北部ではこっそり混ぜていたという有名な話があります。

ボトリングをして、クオリティの高いプーリアのワインが出来てきたのは10-20年程度の話だそうです。

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Ginaさんと対面。実は2020年に訪問した際に案内してくれたMarcoさんはとても若く優秀でしたが、昨年、白血病で亡くなられたそうです。若かった為、発覚して3週間ほどという、小さなお子さんと奥さんを残して無念だったと思います。Ginaさんと惜念の思いを共有した次第です。

カステッロ・モナチのスタッフは長年、続けて働く方がほとんどだそうです。Ginaさんも30年以上、ずっと見守ってきた一人だそうです。居心地が良いのでしょうね。


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午前10:30頃ですが、テイスティング開始!(^^)

"Chara" Terra d’Otranto  “チャラ”テッラ・ドートラント

日本ではカモンテショップで購入できます。

モストの30%をコンクリートエッグという卵型のタンクで発酵熟成、70%はバリックで発酵熟成させています。コンクリートエッグが品種本来の果実味を損なうことなく、フレッシュさや酸味、ミネラル感を際立たせ、バリックがワインに複雑さやしっかりとしたボディを生み出しています。(カモンテのHPより)

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PETRALUCE ーVerdeca “ペトラルーチェ”ヴェルデーカ・サレント 

ヴェルデカ100%の果実味と酸のバランスが爽やかで、アペリティ―ボ~前菜まで合わせて頂きたい1本。夏場は冷蔵庫に常備しておきたい。大人気の1本でした!

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Aiace Salice Salentino Riserva アイアチェ・サリーチェ・サレンティーノ・リゼルヴァ

ブドウ:ネグロアマーロ80%、マルヴァジーア・ネーラ20%

ネグロアマーロのスパイス感とタンニンによって、アルコール度数を感じさせない、お料理と合わせたくなるバランスの取れた一本でした。人気でした!

手摘みされたブドウを発酵後ブレンドし、バリック(小樽)と大樽で約24ヶ月熟成させた、複雑で力強く、芳醇な赤ワインです。

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”Artas” Primitivo Salento  アルタス・プリミティーヴォ・サレント

ブドウ:プリミティーヴォ100%

早朝丁寧に手摘みされたブドウを速やかに醸造所に運び、長めのマセラシオン(15日間)と約12ヶ月の樽熟成を経て造られた赤ワインです。

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私たちを代表して彼女が選んだプレゼントは、モナチ(修道士)に因んで お坊さんが描かれたラベルに禅の日本酒。ソムリエも喜んでらっしゃいました。

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2024.5.26

LCI-Kykoと行くエノガストロノミアの旅 プーリア編 より

2024年6月23日 (日)

見渡す限り緑が続く、外からの汚染の影響を受けない、完全BIOの畑で造られるプリミティーボ。

マンドゥリアとジョイア・デル・コッレの2つの銘醸地の丁度真ん中に位置します。

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【AMASTUOLAの歴史】

マッセリアが登場する最初の文書は、1400 年代前半のターラント王子ジョヴァンニ・ アントニオ・ オルシーニの資産目録だそうです。この農場はイタリア系ギリシャ人の修道院の資産の一つに挙げられています。

その後、所有者は移り変わり、1652年ターラントの聖職者アンドレア・ダフリットが購入した。18世紀には土地を拡大し、最盛期を迎えた。ところが、ディエゴ・ダフリットの代にギャンブルで多額を浪費し、事実上マッセリアの衰退期を迎えた。 後継者Andrea D’Afflitto Juniorによって持ち直し、1773年ターラントのSaverio D’Ajala に譲ることとするが、利権を取り戻すべく訴訟をおこします。幸い、判決はSaverio D’Ajalaの所有のままとされ、1900年代半ばまで続く。

2003年からマッサフラのモンタナーロ家のKIKAUグループが所有しています。

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【AMASTUOLAの場所】

プーリア州南部イオニア湾が遠くに見渡せるターラント県にあたります。
海抜 210mの高台に位置するマッセリア アマストゥオーラは、周囲に樹齢数百年のオリーブの木と中世から続く石壁に囲まれたブドウ畑が約 170 ヘクタール広がっています。

マッセリアの中には遺跡が各所に見られます。オリーブの粉砕・搾油機(フラントイオ)はロバの力を借りて廻していた石臼や、遺跡物にはガラスの床で覆ってあったりします。

「テッラ デッレ グラヴィーネ」地域公園内にも位置しており、「ターラントの黄金」が発見された場所の南に位置し、旧石器時代のネクロポリ(巨大な地下にある墓地)からも近い。

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【 美しく、機能的なブドウ畑 】

アマストゥオーラのブドウ畑には、機能性と美しさという 2 つのコンセプトがあります。

ブドウの列は、偉大な景観建築家フェルナンド・カルンチョが考案した設計に基づいて植えられています。ブドウの木の垣根式仕立ては調和のとれた平行な波を描き、約 3 km にわたって各々続きます。

景観デザイナーフェルナンド・カルンチョは「太古の昔から現在に続く時間の波」と定義しています。

【Olivo secolare 何世紀も生き続けるオリーブの樹 】

さらに、何世紀もの高樹齢のオリーブの木が1500本、ブドウ畑の全面とマッセリアの重要な通りに、24個 の島に分けて配置されています。ペルージャの CNR はすべてのオリーブの樹齢を特定し、登録しています。樹齢 800 年のものや、直径 2.5 メートルを超えるものもあります。

この畑の庭園は、オリーブの木の銀緑色とブドウの木の濃い緑を組み合わせた、調和のとれた視覚的なコントラストが生まれています。

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マッセリアの中はモダンに改修され、地元の食材を使ったクオリティの高いレストランや、バリックを使ったワインだけ貯蔵されています。

自然公園の中なので、醸造所は別の場所に建てられたそうです。

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本日は5種類のテイスティング。

①白:BIALENTO - FIANO,MALVASIA

無用な発酵が起こらないように夜間に収穫。
緑がかった明るい黄色。キンモクセイの花のようなさわやかな甘い香り。

フレッシュな酸味はなめらかであざやか。シトラスとフローラルとミネラルの心地よい余韻が楽しめる。

②ロザート:ONDAROSA (ピンクの波)- AGLIANICO

 5時間の果皮との浸漬で軽やかな色合いに留めている。濃いチェリーピンク、ラズベリーとチェリー、オレアンダーとバラのようなフローラルな香り、スリムでバランスのとれた、酸味と丸みが感じられる味わい。

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③PRIMITIVO

オーク樽とステンレスタンクで18ヶ月熟成。
深く明るいルビー色。チェリージャムとほのかなシナモンの香り。渋味はおだやかにスパイシー。

小梅のような酸と塩味の美しい余韻。2011年のデビュー以後、ミレジムビオ2015年の銀賞など数々の賞を獲得している、バランス良い逸品。

④LAMAROSSA ラマロッサ プリミティーヴォ

夜間に手摘み。アリエのフレンチオーク大樽で醗酵。熟成はオーク樽で6ヵ月、コンクリートタンクで6ヵ月。
濃いルビー色。熟した赤い果実、スパイス、バルサミコ、わずかにタバコやケッパーなどの複雑な香り。フルボディで濃縮した風味、絹のようななめらかな渋味、ミネラルと酸味のバランスが楽しめる。

⑤CENTOSASSI チェントサッシ プリミティーヴォ

アルコール度 15.5%
ぶどうは夜間に丁寧に手摘み。アリエ産フレンチオークで醗酵し12ヶ月熟成。良い年にしか作らないワイン。
深くて明るいルビー色。アマストオーラのテロワール特有の、スミレやサワーチェリーと海塩の混ざった香り。やわらかく細やかなタンニンとミネラル感。余韻が長く続く。


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研修生のFILOMENAちゃん。レッチェ大学で日本語を学んだそうで、日本が大好きという事で参加してくれました。大学の日本語の先生の他に初めて日本人に会ったそうで、とても緊張されてました。

私たちにとっては娘? 孫?といった世代間ですが、折り鶴やらアニメのグッズなどちょっとしたものを差し上げただけで、涙ぐんでしまいました。なんとピュアな!

FILOMENAちゃん、日本にぜひいらして下さいね!

2024.5.28

LCI-Kykoと行くエノガストロノミアの旅 プーリア編 より

2024年6月20日 (木)

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 Dove si trova? ≪場所≫ 

イタリアの踵と呼ばれるプーリア州の南部、BariとTarantoの街の丁度あいだに位置し、有名なアルベロベッロもほど近いところに、【ジョイア・デル・コッレ】という地域がある。今回、そこのワイナリーのひとつ、『カンティーネ・ポルヴァネーラ』を訪れる。

 Primitivoが最初にイタリアに入ってきたのはここ 

プリミティーボはマンドゥリアの方が『Il Primitivo di Manduria Dolce Naturale DOCG』『Primitivo di Manduria DOC』が存在することもあり、良く知られている。今回、マンドゥリアは『Gianfranco Fino』、ジョイア・デル・コッレはここ『Polvanera』, それら2つの間ターラントに近い場所にある『Amastuola』を尋ね、3つのプリミティーボを探求する。

プリミティーボの起源はクロアチアとモンテネグロの辺り、バルカン半島である。ギリシャ正教やキリスト教徒がオスマントルコの支配から逃れる為、1400-1500年スラブ人やアルバニア人がジョイアデルコッレにやってきた際に、苗木を持ち込んだという説があります。

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案内して下さったのはDONATOさん、若くてチャーミングな方、Gioia del colle、Polvaneraへの情熱的な思いが伝わってきました。

 BIBENDAお勧めのクオリティ 畑、醸造所ともに完全Bio!Cantine Polvanera 

Filippo Cassanoはロコロトンドで醸造学を学び、この土地のポテンシャルを信じ、土着品種の特徴を表現するために、単一醸造に着目する。

畑は約200ha、300-450mの標高に位置するため、昼夜の温度差が激しい。このため、ワインは繊細と表現されます。写真のように仕立てはコルドーネ・スペロナート、また高樹齢の畑にはアルベレッロを行っています。

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完全BIOの為、病気対策に硫黄と銅のみ使用できますが、昨年2023は Peronoporaべと病の大量発生により間に合わず、80%もの生産量を落としたそうです。

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Polvaneraのカンティーナは8mもの石灰質の土壌を掘って作られたもので、ワイン貯蔵庫に最適な温度を常に保っています。壁面には根っこが見られ、ブドウの樹が何メートルも根を伸ばして水分などを吸収していることが明確です。

鉄分の豊富なことが分かります。

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未来のプロジェクト

ばしてこのカンティーナの上部壁面には、ワイン・ライブラリーと呼ばれるように全てのビンテージが貯蔵されております。 テイスティング・テーブルも備わっています。

ここから地下8mを見下ろすことが出来、自然の力で気温も涼しく保たれているので、ワインを楽しみながら、コンサートなどを催すプロジェクトがあるそうです。

実はこの洞窟?を他に2つ掘っている最中だそうです。確か2-3年がかりという大規模プロジェクトですが、出来上がったらさぞ素敵なことと想像します。

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 Polvaneraの語源は? 

 併設されたマッセリアは1820年のもので当時炭造りを行っていた小さな家族が住んでおり、みんなから『Polvagnor』、つまり炭の粉(Polvere della carbone)が肌に摺りこまれ、黒っぽかったことからそう呼ばれていたそうです。 この名前をリスペクトと共に継承し、カンティーナの名前にしたそうです。

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醸造は、ステンレスタンクだけを用いるのもPolvaneraの特徴のひとつ。品種の個性をより強く表現したいという思いからの選択だそうです。

このアンフォラは次回試してみることになっているそうです。楽しみですね。

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さて、こちらモダンなエノテカに場所を移して、今回はLight・Lunchコースを選びました。

5種類のワインを選んでテイスティングできます。

まず、『Spumante Brut ’A’』 Rosato IGT Puglia- Bio Metodo Charmat

プリミティーボ100%

イチゴのようなチャーミングな香りが広がりますが、後味はほんのり苦みも感じられバランスが良い。フリゼッレのブルスケッタによく合います。8

白はMINUTOLO IGT Valle d’Itria- BIO 

ミヌートロのブドウ100%

青りんご、ネクタリン、バナナ、カモミールなどの香り。味わいにも同様の風味が感じられると共に酸とミネラル感がありバランスを取っている。フレッシュでこのまま、またはハーブのフリッタータにもよく合います。

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VERDECA IGT PUGLIA -BIO  (オレンジワイン)

ヴェルデカ100% のオレンジワインは初めて!南部の白ワインといえばVerdecaで、酸やフレッシュ感を楽しむイメージでしたが、少し厚みのあるヴェルデカもまた良かったです。

こちらの土壌は少し粘土質の泥土が主体である。アルコール発酵に続いて、マセラシオンを約6日間行います。 さらに6ヵ月寝かせてからボトリング。

古代の黄金色、アカシアやカモミール、カーネーション、エルダーフラワー、モモのシロップ漬け、紅茶、ほんのりスパイス香が広がります。

味わいは、まろやかさ、アルコール度の高さ、偽熱をしっかり感じつつ、酸とミネラル、ほんのりタンニンが感じられバランスが取れている。余韻にはモモ、アーモンド。

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最後に赤ワインを2種類。

POLVANERA 16とPOLVANERA 17

なんと、プリミティーボ100%でアルコール度数が16℃と17℃。

写真右の通り、16の方は土壌が石灰質主体、17は粘土質主体。どちらも樹齢70年ほどの古木で造られたブドウです。

収量は1haあたり40qlと半分以下です。全て手摘みで、24か月ステンレスタンクで熟成、12か月瓶熟成したものです。

不思議なくらい、アルコール度数を感じさせないエレガントさに驚きです。

日本には入っていないそうです。

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2024.5.31

LCI-Kykoと行くエノガストロノミアの旅 プーリア編 より

2024年6月17日 (月)

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 Dove si trova? ≪場所≫ 

イタリアの踵と呼ばれるプーリア州の南部、イオニア湾を臨む、ターラント県、ワイン『プリミティーボ・ディ・マンドゥリア』で有名なマンドゥリアにGianfranco・Finoのカンティーナはある。

2004年ワイナリーを始めたのはSavaという村、1.3haの畑から始めて、約3年で14haまで拡張した。

2021年ワイン・リゾートとしてマンドゥリアに新しくカンティーナを創り、醸造所、テイスティングルーム、レストラン、ホテルも備えた。また、この建物の周りに9haの畑が広がっており、テラスに上がって眺めると風の影響を北から、また南からの海風も常に受けていることが実感できる。

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 Gianfranco Finoとは? 

 Gianfranco氏はオリーブオイルの世界で著名だった方でしたが、アグロノモ(農学者)として、エノロゴ(醸造家)として、Territorio(郷土性)にこだわり、最高品質のものを造るという信念に基づき、今日の成功を導いた。

ジャンフランコ・フィーノはプリミティーボとネグロアマーロの2品種だけ栽培。Savaのオリジナルの畑は樹齢60~90才の樹がアルベレッロ仕立てで育てられている。

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 マンドゥリアのミクロクリマ 

マンドゥリアの方(写真の畑)はグイヨ―仕立てで密植ですが、間引きをする為、収量は低く、おおよそ6,000本ほどに過ぎない。灌漑は行わないため、根が6mにも及び、自ら地下水を吸収している。

通常雨量は少なく、日照の多いエリアですが、昨年2023年は3月~6月に雨が多かったため、べと病やうどん粉病が発生した。海まで15kmと近いので、アフリカからはシロッコの風を常に受け、湿気とサハラ砂漠の砂(ミネラル分)が運ばれてきます。 カンティーナの周囲には約8h プリミティーボ、約2.5h ネグロアマーロが栽培されている。

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   マッセリア・カンティーナの建築 

カンティーナの建物はこの地域から掘り起こした凝灰岩で建てられ、地下7mほど深くに貯蔵庫があります。土壌は鉄分を多く含んだ粘土質の赤土でその下に砂地、昔海だった事から貝殻が見られます。更にその下が凝灰石の岩といった構造です。

マッセリア(プーリア州農園の建物)を再現するべく、天井はステッラという星形のヴォールト建築技法が用いられています。太陽のように光る照明カバーはグロッターリエの陶器で、隣町のグロッターリエは昔から陶器作りが盛んで工房が立ち並びます。Francesco Fasano氏の作品です。

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【プリミティーボへのこだわり】

14haの高樹齢の畑を土壌やミクロクリマにより14区画に分け、それぞれに適した時期(8月末頃)に収穫します。

プリミティーボの語源『precoce(早熟)』より収穫は早めのブドウです。

収穫は毎年決まった方々20-25名ほどが手伝ってくれます。

朝5時~12時の気温が14-15℃の時を狙って、20㎏のかごに手摘みします。傍に停めた約13℃の冷蔵トラックに積みます。カンティーナ横で選果されたブドウを除梗し、重力を活かして地下のステンレスタンクの中へ送ります。タンクの周りに冷水を流す仕組みみよって、温度管理しています。

20日間かけて、ゆっくりとした自然酵母のアルコール発酵を行います。マセラシオン中にデレスタージュを1日2回施します。デレスタージュは、タンク内の果汁をポンプで一旦引き出した後に、その果汁をタンク上のから、脇から優しく流し込みます。この工程を行うことで、 果皮からの色素、タンニンの抽出を促進させ、柔らかく果実味が豊かになります。その後ソフトプレス、バリックで9か月寝かせます。ESのワインはここでボトリングされます。

【ES RED】 渾身のリゼルヴァ 

リゼルヴァは、Gianfranco氏が全ての樽をテイスティングし、選ばれたものだけ更に1年バリックで熟成させます。瓶内3-4年寝かせます。このラベルはシルク製で、全てTommasoさんが、1枚づつ手で貼り付けます。更にカプスルはGommalacca(シェラック)の樹脂を使用した手製です。

【ES】特にドイツ人からのリクエストで、マグナムや15Lなどのサイズも用意なさるそうです。

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 プリミティーボはいつ、どこから?

今では土着品種となるプリミティーボですが、元はクロアチア(モンテネグロ)のブドウです。バルカン半島民族イリュリア人がプーリアにもたらしたとされ、それがGioia del Colleだそうです。

そこからマンドゥリアに辿り着いたのは1800年代のある結婚式で、アルタムーラのサビーニ伯爵夫人がマンドゥリアの伯爵に嫁いだ際、持参品にはプリミティーボの苗木もあったそうです。

ベネディクト会の修道士たちが布教活動と共にもたらしたという説もあります。

また、別ルートでカリフォルニアにももたらされ、ジンファンデルとして国際的に親しまれています。

 ワクワク、ドキドキのテイスティング 

 プリミティーボのワインでは高価であり、希少性もさることながら、今回、FIS/WSA(BIBENDA)のソムリエコース卒業生が7名いるグループで臨んだ訪問に対して、Gianfranco・Finoさんは何と招待してくださったのです。 カンティーナで働くGianlucaさんも同じ講師に習ったそうで、FIS/WSA同僚として、一緒にメンバー写真を撮りました!

Foto_41BIBENDAが運営するFIS/WSAソムリエメンバー!!!Gianfranco Finoにて

 プリミティーボとネグロアマーロの違い? 

プリミティーボは一昔前まではボトリングされず、色素が濃く、糖度が高いブドウの為、北部のワインを強化する為に販売されていました。

果皮は薄く、タンニンが非常に少ない、一方、ネグロアマーロの果皮は厚く、タンニンがしっかりあり、糖度がやや低め。そのタンニンの分子は単一形で、収斂性がより感じられるため、木樽を使って酸素との結合を促すことにより、分子が分離し細かくなり、滑らかなタンニンへと変わっていきます。

プリミティーボにはタンニンが少ない為、バリックを使用する事で木に含まれるタンニンをワインへ吸収させ補ってやる効果をもたらします。

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【Sn】Simona Natale Gianfranco氏が奥様Simona Nataleさんに捧げた愛のメトドクラシコのスプマンテ。

ブドウはネグロアマーロ。

12時間マセラシオンで色素などを引き出し、使用済みバリックで7カ月、バトナージュを施して瓶内二次発酵。ジロパレットを使用。澱との浸漬48か月後、澱引き。ノン・ドサージュ。

色はRosato pugliese【赤玉ねぎの皮の色】と表現する。

Vino rosatoはプーリア発祥。それもLeone di castrisというLecceの南にある街で初めて造られ、その時は殆ど赤ワインの濃い色だったそうです。

第1の香り(Aroma Primale) ブドウ由来:の赤い果実だがフレッシュな酸があるタイプ、タンニンは殆どない

第2の香り(Aroma Secondale) 発酵由来: トースト香、酵母の香、柑橘系、オレンジなど、トロピカルフルーツ

第3の香り(Aroma Terziale) 熟成由来: 木樽は古いものなので、木の香りはない。

【スペシャルグラス】

細工によって、7つの泡が立ち上がります。最近はフルートグラスを使わず、口の広いグラスで香りを楽しむ傾向が強いため、この細工によって気泡の状態、余韻の長さが見てとれます。

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【Jo】 da mar Jonio イオニア海のイオ

ネグロアマーロ・イオニコと昔は呼んでいたように、イオニア海沿岸で栽培されてきたブドウ。

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【Sé】SALENTO PRIMITIVO IGT  2022 セ 自我 (フロイト哲学より、自我とは創造性が活性化され、未来の可能性が生まれます。つまり自己実現は困難な道を乗り越える為の目標を構成します)

プリミティーボ100%   Alc.15%

赤い花(バラ、スミレ)、赤果実(チェリー、プルーン)いずれもフレッシュな香り。

樽は3分の1づつ、新樽、1年目、2年目の3種類に分けて熟成させます。よって、タンニンが程よく感じられ、土壌から来るミネラル感によってアルコール度をそこまで感じないでバランスがよく、キレイな後味です。

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【Es】Salento Primitivo IGT 2022 

フロイトの哲学より本能、Gianfranco氏による真の情熱、喜び(PASSIONE PURA)を表現した2004年がファーストヴィンテージとなる彼の代表的なワイン

プリミティーボ100% オリジナルの畑SAVAの樹齢60-90年のブドウ樹から選ばれたブドウだけで造られます。アルコール度 16%

イノシシのパッパルデッレやジビエ、牛肉(和牛)の煮込みなど、構造のしっかりとしたお料理が望ましい。

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【Es piu' Sole】Vino Dolce Salento Primitivo IGT

プリミティーボ100%  食後に、デザートに、青かびチーズなどに合わせたい、品のよい甘さが忘れられない。アルコール度 13.5%

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SIMONA NATALEさん登場! 彼女のワインSnのボトル用に着物をプレゼント!

プーリアの太陽のような笑顔が印象的な、Gianfrancoのワインのように情熱的な方でした!

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【RISTORANTE】遠方だが1度は召し上がって頂きたい!

テイスティングに大満足の我々一行は、予定を変更しても2階にあるレストランでランチを楽しむことに。それはそれはサプライズの連続のPRANZOでした!

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ピスタチオのリゾットとSimona Nataleのスプマンテを注文しましたが、お料理が出て来る前に

サプライズなアミューズが次から次へと運ばれてきて、目でも楽しませてくれる素晴らしいアイデアの数々。

因みに、テーブルの脚に使用されているのは使用済みのバリックだそうで、この加工を施したのは、

ロマーニャ州にあるSAN PATRIGNANOの若者たちに依るものです。ここは、 薬物依存に立ち向かう若者たちの自立を目指して、1978年にヴィンチェンツォ・ムッチョーリ氏によって設立。リミニの狭小な土地で始まり、ワインも造っています。

2024.5.28

LCI-Kykoと行くエノガストロノミアの旅 プーリア編 より