2025年1月23日 (木)

オルトレ・ポパヴェーゼのワイン事情レポート

今回イタリアはBibendaの専任ソムリエ講師Mimmaさんとオルトレポパヴェーゼに住むジャーナリストLucianaさんの協力で、オルトレポパヴェーゼを訪れ、歴史から現在のワイン事情を掘り下げて参りました。

オルトレポパヴェーゼはイタリア内でも認知度が低いエリアですが、ワインと食、ツーリズムのポテンシャルが高いことに注目し、Lucianaさんの友人、ヴァルツィのマラスピナ城に住む伯爵も協力下さり、日本市場に広めるプロジェクトを考えています。

1.オルトレポパヴェーゼはどこにある?

Oltrepoopavese_5 ミラノがあるロンバルディア州の南部に、横断するポー川で三角形に切り取られた場所

 現地ではブドウの房の形と呼ぶ。

 オルトレポとはポー川の向こうという意味

⇒⇒ワイン造りの大半はこの北東部分に集中しており、標高200-250m

  ⇒Ca' del Ge' (今回訪問したワイナリー)標高350m

⇒⇒カステッロ・ディ・ステファナゴ(今回訪問したワイナリー)ほぼ真ん中に位置し、標高550m

⇒サラミDOPで有名なヴァルツィの町

 マラスピナ城ー現在も伯爵が住む 

⇒南にはアペニン山脈、最南は標高1700m


ピエモンテ州、エミリアロマーニャ州、リグーリア州に囲まれ、北側はポー川という自然の境により、北側の都市パヴィアやミラノへ、南リグーリアの海から届く品を運ぶ道(塩の道)として、文化、商品の行き交う場所として歴史的に発展してきた場所である。

2.どんなブドウ品種が栽培されているのか? 

ブドウ栽培はローマ時代に遡ります。現地の人が言うには土壌は豊かでどんな品種でも上手く育つため、逆に個性を打ち出せずに来てしまったそうです。

基本的な土着品種は、バルベーラ、クロアティーナ、ウーヴァラーラ、ヴェスポリーナ、コルテーゼ ビアンコですが、近年DOCGにも認証されているピノネロのメトドクラシコのスプマンテが、世界的に評価されるほどレベルが高く、ピノネロの栽培も増えています。

またValle di Riesling(リースリング溪谷)と呼ばれる地域があるように、リースリング・イタリコを中心に、リースリング・レナーノもクオリティが上がっており、今回訪問したワイナリー『Ca' del Ge'』はイタリア国内リースリングコンクールで、アルトアディジェのリースリングと並んで受賞しています。

3.ブドウ栽培エリアは? 

ポー川の近くの生産が多いので平野部のワインと思われがちだが、平野は少なく、南のアペニン山脈に向かって標高は1700mにまで達する地形。

ワイン造りの大半はこの北東部分に集中しており、標高200-250mの丘陵地の第1段階にあたる。

ワイナリーCa’ del Ge’は350m~の丘陵地第2段階。

ワイナリーStefanagoは500m~の丘陵地第3段階、ここからはアペニン山脈に向かって標高は上がっていきます。

 4.塩の道はここにもあるんです!

 『VIA DI SALE』塩の道は、ローマに続くアドリア海のチェルビア塩田からの道や、ジェノヴァからフランスに続くピエモンテを通過する道(ここからアンチョビは生まれた)などが有名だが、ジェノヴァから塩といっしょにあらゆる商品が入って来て、北のパヴィアやミラノの人が多く住む都市へ運ぶためにできた道であり、その通過点の中心がヴァルツィ、商人の集まる場所で、ワインやサラミなどの郷土食材と物々交換していたそうです。

そこから生まれたのがヴァルツィのサラミ!

 5.ヴァルツィのサラミ Salame di Varzi DOP 

Varzi_salami 風味の優しさが特徴的!

 レシピの特徴として、肉は脂肪分の少ない部分を使用します。そして塩漬けする際に、胡椒を丸ごと入れ、ニンニクを漬け込んだ赤ワイン、通常バルベーラを加えます。ニンニクは直接入らないため、優しい風味が生まれるのです。

 【サラミの食べ方】皮は取り除きます。手で割ってまず香りを楽しみます。サラミそれぞれ違います。胡椒も一緒に頂きます。手で食べる事で美味しさが増すそうです。



Tortamandorle

余談ですが、TORTA DI MANDORLE(アーモンドのタルト)も名産だそうで、驚くほど素朴な風味と食感が病み付きになります。



 6.マラスピナ城 ‐ヴァルツィ 

中世時代の城がいくつも残っており、国や地域で守られてはおらず、すべてプライベート。よって維持が大変です。 ヴァルツィの有名なお城はここマラスピナ城は12世紀から1700年代にかけて徐々に増築されたそうです。

こちらにお住まいの伯爵(Conte)とのランチにお招きに預かり、ヴァルツィのサラミとアーモンドのタルトを頂く機会に恵まれました。Conteはとても紳士でいい声 Bella voce! で話されていたのが印象的でした。

2部屋あるダイニングはパーティ、セミナールーム、披露宴会場としても使用できるそうです。

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2025 年1月訪問紀 LCIイタリアカルチャースタジオ Kyoko M

さてワイナリー2社については、こちらをご覧ください。

カステッロ・ディ・スフテファナゴ Castello di Stefanago ⇒クリック

ビオ、ナチュラルワインを中心にした造り手でやはりこちらも伯爵ですが、Giacomoさんはとても親しみやすい方でした。

カーデルジェ Ca' del Ge' ⇒クリック

家族経営で、姉妹が主に舵を取っているワイナリー。リースリングは素晴らしかったです。