2025年7月15日 (火)

高得点のワインを造るBiBi Graetzを尋ねる

『COLORE 2022』はジェームス・サックリング100点、他のワインも同様に常に高得点を出しています。そのようなワインが出来上がるBiBiのカンティーナをIsabellaさんに案内して頂きました。

ビービー・グラーツ氏はフィレンツェの美大 Accademia delle belle artiを卒業し画家を目指していましたが、約25年前からワイン造りを始めて、あっという間に世界に注目されるようになったという稀有な存在です。

アーティスト魂はボトルのラベルのデザインやカンティーナの壁色などにも見られます。

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カンティーナへ案内されるとそこは手作り感一杯で、親しみを感じます。やはり元ホテルとして建てられた構造なので、ほぼマニュアル作業で、樽の移動や導線にかなり工夫をされています。

真ん中の写真の天井にミラーボールが見えます。この部屋は当時ディスコ(Discoteca)の部屋だったそうで、あえて残すところが面白いですね。天井にはエレガントなストッゥキ(Stucco)も残されていました。

樽はバリックだけでなく大樽も幾種類かあり、すべてフレンチオークの使用済みの樽です。彼はエレガントでブドウ本来のアロマを感じられるワインを目指すため、新樽は使用しません。

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彼が育った場所ヴィンチリアータとオルモの畑は、フィエーゾレの更に標高の高い場所に広がっています。 日照は勿論、常に風が吹いているミクロクリマに注目し、80haの土地を所有、そのうち10haをブドウ栽培に使用しているとのことで、彼の未知なるワイン造りが続きます。

オルモは昔からブドウ栽培されていて、列ごとに品種が異なるそうです。昔は品種へのこだわりや単一品種でワインを造る感覚はなかったので、混栽が通常でした。樹齢の高いブドウの樹を選ぶこともBiBiのこだわりのひとつです。

そんな多様性(Biodiversita’)を温存するオルモの畑から出来るワイン、BALOCCHI DI CUORE(バロッキ ディ コローレ)は最近のシリーズで、1種類を除いて、各品種ごとに収穫、醸造して造られるそうです。

例えば、Balocchi di Colore N゜8は Canaiolo(カナイオーロ)100%

なんだか香水の銘柄のようなネーミングです...

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上の写真に見られるようにバリックに手書きで品種名や畑名が書いてあり、それぞれ個別に醸造していることが分かります。バロッキシリーズの各品種ごとに1000本といった希少な生産量です。

もうひとつの畑はキアンティクラシコで知られるLamoreにあり、中でも標高650mと高く、ブドウ樹は80-90年とより高樹齢です。斜面は急で、一部テラス式栽培方法を使用しているそうです。

この畑からCOLOREのワインが造られます。

カンティーナ(醸造の部屋)の上階が地上階と繋がり、収穫されたブドウが運ばれてきます。

場所がフィエーゾレのメイン広場に面しているため、その時はみんな観に来て大賑わいだそうです。

畑から運ばれてきたブドウはテーブル上に並べて、選果を人の眼、手で行い、完全なブドウだけが醸造に送られます。特にBiBiは緻密にチェックするそうです。

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Isabellaさんが惚れ込んだ彼の白ワインについては、トスカーナ州南部、地中海に浮かぶ島、ジリオ島で造られます。 初期はフィエーゾレで醸造していたそうですが、島なのでフェリー(トラゲット)を使って片道約4時間かけて運搬する苦労とブドウの品質を危惧して、ジリオ島で白ワイン造りは行っています。

ジリオ島は人口1000人ほどの自然豊かな小さな島です。マグマを起源とし、その後花崗岩となった岩質が多い土壌です。

急な斜面にテラス式といっても、細い通路に人がやっと通れる程度の畑の栽培は全て手作業です。TatianaさんにこのYoutubeのビデオを見せて頂き、改めて実感したのは、ボトルの中のワインにはこんな絶景の場所で育てられてきた歴史背景と、人の手の温かみです。


YouTube: BIBI GRAETZ - ISOLA DEL GIGLIO - HARVEST TESTAMATTA BIANCO & COLORE BIANCO

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