ウーディネの伝統料理は山と海に囲まれ以外にも食材が豊富です。まずはプロシュートで有名なサンダニエレですが、ここの自然の中で育てられる豚や牛のお肉を使ったステーキからハム・サラミ(インサッカーティ)類。
野菜も豊富で、3月終わり~アスパラガスの季節。
UDINEの駅から北へ車で10分程行ったところに4つ星のHotel La di More’tがあります。Spaなども備え、スタッフの対応も丁寧でお部屋も快適ですが、何と言ってもレストランがとても人気です。旅行者から地元の方まで通うここにはStefano Baselloというシェフがいらっしゃいます。とても真面目でシャイなフリウリ出身です。
彼のお料理を見てみましょう。
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1品目はいろいろTartine(タルティーネ)。右側から順に味わいが濃くなります。ラビオリの上に茹で卵と白トリュフ。フリーコ(ポテトとモンタジオを使用した伝統料理)を包んだラビオリ。土地のチーズのスフレ。フォアグラとチョコレートを包んで林檎のソースで頂く。
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上はフォアグラとチョコレートを包んで林檎のソースで頂く。次にラディッキオ(チコリ)の苦みに合わせたラビオリ。フリーコStravecchio(熟成)をカリッと揚げてラビオリ、サラミと。
ワインは土着品種リボッラジャッラを併せました。リボッラの少し樽香のあるボディのあるフルーティでミネラル感のある余韻が続く。
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土地のチーズ盛り合わせはペコリーノ(羊)、カプラ(ヤギ)のフレッシュタイプから熟したもの、青カビまで。基本的にミルク感がしっかりとしているので、オレンジやアプリコットのジャムを添えて。
ワインはピコリットのフローラルな香りが華やかではちみつを思わせる味わいがぴったりです。
子供の木のおもちゃに乗せてサービスかと思えば、こちらは石に刺さったマカロンやプラリネのチョコレートたち。彼のアイデアは確かにお客様を楽しませてくれます。
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サービスしてくださったCAMERIEREもとっても親切で、フリウリ料理の一部ですが堪能できました。
翌日ここのキッチンにて~。
キッチンでは研修生も含め、約8名の料理人が各担当に分かれてプランゾ(ランチ)、チェーナ(ディナー)の準備に平日から大忙し。つまりお客様が賑わっている証拠。
そんな中、私のリクエストに応えて郷土料理のフリーコを教えてくださいました。またタルティーネバージョンも。
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まずパスタ担当の彼に、ラビオリ生地を。それからイカ墨のペンネをリガーテにする為に本当のペンを使って巻いているところがとってもユーモラス。
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いよいよ『FRICO』を作ります。 玉ねぎをみじん切りにして炒めます。ジャガイモ(ORANDESI)は塩水につけた後、薄切りにして、オーブンで軽く焼くことで味わいを凝縮させます。その後マッシュにします。
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チーズはDOPモンタジオの2-4カ月のフレッシュなもの。細かく砕いたものに玉ねぎ、ジャガイモをとつに混ぜ合わせます。さらに、パルミジャーノや出汁、玉ねぎペーストなども加える為、濃厚です。
フリーコは各家庭さまざまだがベーシックなものは、ジャガイモを使ったシンプルな農家のピアット ポーベロ(庶民の食事)。 分量はジャガイモとモンタジオが1:1。
この生地をフライパンで焼くとチーズの油分が溶けだし、両面が香ばしく焼ければ出来上がり。シンプルでボリュームのある農家で親しまれた一品である。チーズの風味が豊かで心もお腹も満たしてくれます。
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ドルチェはティラミス。さてティラミスの発祥地はフリウリとご存じでしたか?なぜならカフェの文化はトリエステにILLYがあることからもわかるように、アフリカとの交易が始まったときにこの港に入ってきたそうです。そこでこのレシピが考案されたそう。
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シェフStefano氏はティラミスのIeri (昨日)Oggi(今日)-Domani(明日)を表現した。
Ieriは過去で定番の形。
Oggiは現代の忙しさを表現しキャンディ型にして、簡単に食べ易く、持ち運びも出来る形にした。
未来は分からないから小さいが中身は濃く詰まっているとプラリネを宙に浮かべている。Ghiaccio Secco(マイナス20度の氷)にコーヒーを掛けて煙で未来感もたっぷり。
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彼らと一緒に頂いたPRANZOプランゾでは、今が季節のアスパラガスのリゾット。
シレーネ草、ポップを加えて更に春の風味満載。
ここで日本人の方が修行されて、鎌倉にCoccolo というレストランを開かれていると伺いました。Hotel Ladi moret のお料理が味わえるに違いないですね。
Marzo/2014 Kyoko Matsuyama