イタリアのアールヌーヴォー建築『Liberty リベルティ』様式はトリノが最も多いそうです。
アパートから近いところを散策してきました。トリノのポルタ・スーザ駅から直ぐのCorso Franciaの通りに3つあります。
トリノで最も有名でトリノのリベルティ(リバティ)建築を豊かにした館はカーザ・フェノリオ‐ラ・フルールです。
① Casa Fenoglio - La Fleur 『カーザ・フェノリオ‐ラ・フルール』
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場所:Via Principi d'Acaja, 11 Torino
建築家:Pietro Fenoglio ピエトロ・フェノリオ
1902年にエンジニアであったフェノリオ氏は自宅として設計し、
後にラフルールというフランス人実業家に売り渡します。
1990年代に個人資産家が購入し修復され、現在は事務所は住宅として使用されています。
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1902年は近代装飾アートの国際博があった年で、アールヌーヴォーが最も注目された時でした。
フェノリオは当時フランスで流行の『casa-studio』(家とスタジオ)をコンセプトに伝統的に構造を残しつつ、装飾は華やかな設計。
BOVINDO= Bow-Window(弓窓、湾曲した出窓)は大きな色付きの窓に曲線のカットがエレガントなラインを強調しています。
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②Palazzo della Vittoria – Casa dei Draghi
『パラッツォ・デッラ・ヴィットリア (ドラゴンの家)』
場所:Corso Francia, 23 – 10138 Torino
エンジニア:Gottardo Gussoni
1800年代から1900年代に流行ったフランスのネオゴシックとリベルティ様式が見られます。
1922年、騎士ラヴォーロ・ジョヴァンバッティスタ・カレラが第一次世界大戦の勝利を祝うために建てたそうです。
よって、勝利の家(Casa di Vittoria)と名付けたのですね。
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玄関のドア、ギザギザカットの塔、バルコニーの欄干は、フランスのネオゴシック様式が強いですが、
窓や建物の曲がりくねったラインなどの細部は、当時のアールヌーボーを思わせます。
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大きな玄関ドアの側面に2頭のドラゴンは、世界大戦後のイタリアの権力と重要性を寓意していると
言われています。ドラゴンはあちらこちらに見られます。
ドアの上にはカレラ家の紋章があり、建物全体と同様に他の動物の形や寓意的なディテールが満載です。
③Villino Raby ヴィッリーノ・ラヴィ(小さな館ラヴィ)
場所:Corso Francia, 6, 10143 Torino
Architetto Gottardo Gussoni
Ingegnere Pietro Fenoglio
1901年、 Michele Raby の自宅としてフェノリオが設計する。
1980 年代には私立学校となり、2004 年に外科医・歯科医騎士団 (OMCeO) によって
購入され、改修が行われました。
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門の鉄製の装飾、Bovindo(弓窓、湾曲した出窓)など、ベルギーとフランスのリベルティ様式の見本となるよう造られたそうです。
しかし建築家グッソーニの影響を受け、ネオバロックが見られます、これはカーザ・ラフルールと大きく異なります。
2025.2.26 TORINO
KYOKO M