今年は渋谷のユーロスペースで上映が決まっていたのに、緊急事態宣言が出たのでオンライン上映だけになりました。しかし、家でゆっくり観るのもなかなか良いものです。一人でリラックスしながら、見逃したら、また再生して…など自由です。 またプロジェクターで壁に映して大画面にして、ご家族と一緒にみてもいいのです。さて、私は手始めに『Magari(もしも叶うなら)』を視聴しました。
事前に俳優や監督たちのインタビューを見て興味を持ち選びましたが期待を裏切らない作品です!
アルバ・ロルヴァケルは今回『LACCI(靴ひも)』にも出ていますが、最近、いろんな映画によく起用されてますよね。独特の雰囲気があり、今回のVenedettaの役も共感できる女性を演じています。
監督Ginevra Elkannは女性の目線で表現されたのだと思います。ヴェネデッタだけでなく、母親シャルロットも現代の自立した女性でありながら、母性を感じさせる優しい空気を持ち合わせています。
父親はリッカルド・スカマルチョが演じますが、売れない脚本家で無責任で、男や父親の存在を振りかざすどうしようもない子供っぽい男ですが、憎めない要素とそして、やはり父として息子を想う心が見えると、家族の絆というものを考えさせられます。
イタリアの家族の形も時代と共に変わってきているようで、離婚率は高くなっています。この映画も母親が引き取っていた3人の子供たちを、冬休みの間ローマに居る父親に預けるという設定です。父親は、当てにしていたお金が入らず、パートナーのヴェネデッタを連れて、子供たちと海のそばの家で過ごします。
しかし、やはりお祖父ちゃんお祖母ちゃんが助けてくれたり、友人が場を盛り上げてくれたり、また子供たちにも新しい友達ができたりと、人と人との繋がりがイタリアの生活にはあるのだと改めて実感します。
女の子マルタはとても愛らしく、人懐っこい、皆から愛される性格で、長男は糖尿病を抱える弟や小さな妹の面倒を見て、母親の教えより正教会のミサに通う。とても仲が良く、両親の生きざまに翻弄されながらも、助け合って生きていく姿はたくましいのです。一般的によく思うのですが、イタリア人の子供たちは個々に自立しているのですが、家族を想う気持ちがとても強いですよね。こういった環境から養われるのでしょうか。
タイトルの『MAGARIマガーリ』という言葉はイタリア語ならではの表現だと思います。そうだったらいいなーという願いを込めて、こんなに短い一言で言えるなんて。ヴェネデッタは「マガーラ、マガーラ」と子供たちを揶揄っているシーンに笑みがこぼれます。
流れる曲は『Prima di andare via 』Riccardo Sinigallia 軽快なリズムにセンチメンタルな歌詞でしたので相乗効果抜群です。
現実と向き合いながら、勇気をもらって、ほっこりできる映画だと思います。Vi consiglio!!
他にもいい映画がたくさんあります!詳細はこちら
第1部5.13[木]~6.13[日] 第2部6.17[木]~7.18[日]
https://www.asahi.com/italia/2021/online.html
LCIイタリアカルチャースタジオ Kyoko Matsuyama