''陰干しブドウのスプマンテ’’ のユニークなワイン醸造
マルケ州マチェラータにある小さな町 『SERRAPETRONA』 (セッラペトローナ)
マチェラータの山々と丘陵に囲まれた標高500mの場所。このあたりは2016年8月、10月と続いたイタリア中部地震に見舞われ大被害のあった町ノルチャやアマトリーチェから車で1時間程度に位置します。
セッラペトローナの村では昔からブドウ栽培を始め、オリーブ、野菜農家が多く、また森林の伐採、木炭の製造、養蚕業で栄えてきました。その資源となったのが山からの湧水の存在です。
この辺りは時代と共にピチェー二(ピケニ)人、ローマ人、ランゴバルド人と民族も移り変わっていきました。1861年のイタリア王国統一までは、ローマ教皇の支配下に置かれていました。
“Vernaccia di Serrapetrona DOCG” ヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナ DOCG
ユニークな製法:3回にわたる発酵
ブドウはヴェルナッチャ・ネーラ。ブドウの成長はゆっくりで、数も少ない(1ヘクタールに8,000kg程度)
【①primo passo】
1月まで待って収穫をするヴェルナッチャ・ネーラのブドウは、3か月陰干します。
【②secondo passo】
その後圧搾を行います。モスト(果汁)は鮮やかなルビー色、甘く、はちみつのように濃厚です。
これとは別に10月に収穫したブドウをすぐにアルコール発酵してワインを造っておきます。
モストをこのフレッシュなワインに加えて、更に発酵が始まります。
【③terzo passo】
この出来上がったワインの二次発酵(Metodo Charmat)を行い、スプマンテを造ります。(スプマティザツィオーネといいます。)
最低でも収穫から1年半は掛かるワインなのです。
丁度パスクワの時期に出来上がります。伝統的には『コロンバ』という鳩の形をした軽い触感のケーキを頂きますが、この辺りでは、当時もっと素朴なシュガーパウダーがしっかりかかったドーナツのようなケーキ(チャンベッラ)が主流でした。
フェスタでは、このとっても甘いチャンベッラと一緒に セラペトローナのスプマンテ(DOLCE)を頂いていたようです。
ワイナリー 『Alberto Quacquarini』アルベルト・クワックワリーニ
このヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナDOCG用のブドウ畑35ヘクタールを有し、数少ない生産者のひとつです。
この土地にしかないヴェルナッチャ ディ セッラペトローナを作り続ける家族Quacquarini さんのカンティーナを訪れました。
カンティーナにはアルコール発酵用のステンレスタンクと、発泡ワインを造る為のタンク、更にスティルのヴェルナッチャ・ネーラのワインを寝かせる樽が余り広くないカンティーナに、整頓されていました。
ワインを継ぐのは現在の当主、MAUROさんです。
これらすべてのワインのブドウ品種はVERNACCIA DI NERA(ヴェルナッチャ ディ ネーラ)。サルデーニャやサンジミニャーノにもヴェルナッチャはあるが、別品種である。ヴェルナッチャはラテン語でブドウの苗木です。
①Vernaccia di Serrapetrona DOCG SECCO
【辛口】Seccoは食前酒からチーズやサラミに合わせ、パスタまで合わせられます。
②Vernaccia di Serrapetrona DOCG DOLCE
【甘口】ドルチェは、やはりスイーツに合わせて頂きたい。
③Petronio IGT
2か月陰干しをしたブドウを醸造した後、バリックで30ヶ月熟成。またブドウの出来が良かった年にしか造られません。アマローネ製法に近いワインですね。
Abbinamento 合わせるお食事
セッラペトローナの町に行ったらお勧めのトラットリア『La Cantinella』
Tagliatelle alla vernaccia(ヴェルナッチャのワインソースのタリアテッレ)
Ravioli di funghi e tartufo(キノコとトリュフのラヴィオリ)
Tiramisu' con frutti di bosco(ベリー系フルーツのティラミス)
すべてヴェルナッチャのセッコ、スティル、ドルチェと合わせられます。
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