La Maliosa(ラ・マリオーザ)はトスカーナ地方南部、マレンマ内陸の丘陵地帯にある有機農園です。
近くにはサトゥルニアの天然温泉や、エトルリア人の街ピティリアーノなど、歴史が止まったような場所がいくつもあります。
広さ160ヘクタールという広大な土地の中に、穀物やオリーブ、ブドウ、ハチミツなどの農園を造り、更にロバを放牧しています。 こうすることで、近隣で巻かれた農薬や、トラクターの排気ガスから影響を受けない環境を作っています。
2010年にはビオとビオディナミの認証を取得したそうですが、基本的には本来あるべき姿の自然環境を実現し、持続可能な農法でオリーブオイルやワインを生産しているのです。
そこには熱意以外のなにものでもない、Antonella Manuli女史の信念を感じます。
そのプロジェクトの発端はLorenzo Corino博士であり、彼の説く『生物の多様性(Diversita')、長期的視点、持続可能(Sostenibilita')、環境、土壌、人々の健康(Salubrita')』といった考えを【Metodo Corino】として確立し、世界に広める活動を行っています。
畑は6ヘクタールと小規模です。表土の硬化を抑え、有機物や微生物を利用することで土を守っています。
古くから栽培されてきた品種、チリエジョーロ、サンジョベーゼ、アリカンテ、白はプロカニコやアンソニカ、グレケットを栽培しています。
農園内にはツルを伸ばす野生ブドウも存在するそうで、いかに自然体な場所か分かります。
ビオディナミ農法を取り入れているといっても、プレパラートの動物性の物、角などは使用しないという徹底ぶりで、カテリーナさん他若い人たちのチームで力を合わせて運営しており、私達など訪問者へのサービスも素晴らしく、彼らの想いが伝わってきました。
ASINO(ろば)は、とても人懐っこく、愛らしかったですが、運搬など畑仕事を手伝っているそうです。
StarBox:広大な土地にいくつかの丘があり、そこにスターボックスと呼ばれる小屋があります。
中にはベッドがあり、屋根がオープンしますので、静寂の中で夜空の星を眺めながら過ごせます。
カンティーナはとても小さいもので、ラベルを1枚づつ手で貼っているところを披露頂きました。
VINI NATURALI(自然ワイン)といっても美味しくなくてはダメです。
畑からカンティーナまで訪問すると、他の植物や生物との共存で豊かに育ったブドウから造られたワインであるかを実感し、
アルコールとはいえ、体に良い気分になってしまうエシカルなワインを体験しました。
実はラ・マリオーザのオリーブオイルは、既に定評があり、品質の高さは有名ですが、
自家製パンとテイスティングで実感です。
午後は気持ちのよい天気に恵まれ、外でピクニック。
夜はLa Maliosaが運営するワインバーがサトゥルニアのチェントロ、ピアッツァにあります。
Piazza Vittorio Veneto, 29, 58014 Saturnia GR
インテリアだけでなく、食材にもこだわっていて、郷土料理のパスタPICIやイノシシのラグーソースにも大満足。La Maliosaのワインと合わせます。
Antonellaさんを囲んで、故人Lorenzo博士を偲びながら、私個人的にも有意義な時間に感謝です。
Cameriere君はとても爽やかイケメン。サービスも手際も素晴らしかったです。
近くには、La Maliosaが所有する5人位泊まれる素敵なアパートもあります。
モスグリーンと白をベースにした優しい、お洒落なデザインは、旦那様がなさったそうです。
サトゥルニアのテルメ Cascate del mulino di saturnia
今年は雨が多く、到着する2-3日前まで大雨で、実は、ブドウやオリーブにも雹の被害があったそうで、今年の収穫は心配です。
人工的な介入はしないラ・マリオーザは本当に厳しい状況と思いますが、信念の強さに励まされる思いです。
2023年5月 LCIイタリアカルチャースタジオ Kyoko Matsuyama 旅の記録