海を遠くに見渡せる、自然公園の中に位置する110ヘクタールのブドウ畑、これは完全なるビオロジコの環境にありますと、ワイナリーを立ち上げた『Amastuola』のGiuseppe氏が語ってくれました。
マッセリーア masseria:農家や農園を意味しますが、プーリアをオリジナルとする1400年代に出来たマッセリアは今、カンティーナ(ワイナリー)やホテル、レストランなどに多く利用されています。
Amastuolaはワイン製造所と別にホテル・レストラン、ワイン貯蔵庫を1400年代に出来たマッセリア内に造った比較的新しいワイナリーです。AMAは平地Pianullaを、SUOLAは絨毯tappettoを意味した造語です。
うっとりする景観
このマッセリアから見渡す景色は圧巻で、所どころにオリーブの木が見られ、その周りに’’波’’をイメージして植樹したブドウ畑(標高210m)が広がります。
2020年1月に訪問した写真ですが、太陽は眩しい位でしたが、風がとても強く、寒かったのを覚えてます。
畑は葉の緑がないので、地の色ですが、波型に植わっていることは分かります。
風景画家 フェルナンド・カルンチョFernando Carunchoの哲学
2002年スペイン人の風景画家フェルナンド・カルッチョにこのワイナリー建築計画を依頼したところ、彼は機能性と美的感覚を投じた哲学を基盤に敷いたのです。
庭に ブドウ、オリーブ、穀類を混ぜた自然バランスのある庭
100歳を超える長寿オリーブの木が迎えてくれる。
波の形は海からの風が通ることを意味します。音楽のようなコンセプトで、ブドウの樹が波状に流れて視線を運ぶと、縦にすっと伸びた糸杉が目に留まります。そこで、一呼吸するような意味合いで置いているようです。
ハーモニーを呼ぶ波は3㎞にも続く。「時間の波はこの土地の古代から続く時を打っている」
1500本以上ある長寿のオリーブの木は景観を考えて配置してある。これは歴史的モニュメントでもある。ペルージャのイタリア学術会議CNRに登録されている。800年を超えるオリーブもある。直径2.5m
ブドウの樹の濃厚な緑色とオリーブの木の銀色に光った緑がコントラストを生みこの景観に調和を保っている。4Dを表す波という、4つ目はtempo(時間) とuomo(人)
州立公園 “Terra delle Gravine” 内に位置します。ここは歴史的にターラントの金細工が発掘された場所でも知られます。また有名な旧石器時代の巨石墳のある「アチェッタのネクロポリ7」からも近い。岩生植物が豊富で、海岸松、ローズマリー、タイム、レンティスコ、セイヨウヤマモモ、桑の実、野性イチゴ、山査子などが見られます。
波は力、エネルギーを音楽のようなリズムで運んでくる
先祖から子孫へ引き継がれるように 土地はブドウに形を変えていきます。
収穫祭は 家族や友人たちと祝った収穫祭の記憶に結び付きます。
この波型のブドウ畑はアマストゥオーラのシンボルとなっています。
プーリア州’’マッサフラ’’
イタリアをブーツに見立てるとヒール部分にあたるのがプーリア州です。
このワイナリー『アマストゥオーラ』は丁度’’土踏まず’’辺り、ターラントの港町から少し中に入った
’’マッサフラ’’という町にあります。
プーリア州旅行
ここを拠点にプーリアの観光地へ出かけるのに便利です。
Alberobello(アルべロベッロ)、Ostuni(オストゥーニ):この辺りは’’TRULLI トゥルッリ’’という石灰の白壁に石を積み上げたとんがり屋根の建物で有名です。 実はValle d'Itria(イトリア渓谷:南プーリアのバーリからブリンディジ辺りを指す)全体に広がっており、よく見られます。
Lecce(レッチェ):バロック建築が見られる南プーリア中心の町。
Polignano a Mare (ポリニャーノ・ア・マーレ):日本でも有名な歌「ヴォラーレ、オーオー、カンターレ、オオオオー...」をヒットさせたドメニコ・モドゥーニョの故郷。アドリア海を望む絶壁は写真に収めたくなります。
Masseria Amastuolaは1400年代に生まれたグレコの修道院だった
ターラントの王子(ジョヴァンニ・アントニオ・オルシーニ)によって1400年代前半にマッセリアはターラント(サンヴィート デル ピッツォ)のイタロ―グレコの修道院となった。 1500年代マッセリアは永小作権を得て、貴族ジョバンニ・フェランディオに売り渡した。彼はマッセリア周囲の土地も購入した。1652年にはタランティーノ・アンドレア・ダッフリットに2000ドゥカーティ(当時の通貨)で売却した。
18世紀に土地も広がり、マッセリアが栄えた時代を迎える。子孫のアンドレア・ダッフリット・ジュニアによって、改装していった。
1773年経済的危機に陥った為、彼は終身年俸1200ドゥカーティ(当時の通貨)を条件に、ターラントのサヴェリオ・ダジャラに遺産を全て引き継いだ。 実は一度手放した後、惜しくなり再度取り戻そうと裁判を起こしたそうですが、叶わなかったそうで、1900年代中頃までダジャラが所有していまして。2003年にマッセリアはマッサフラのモンタナロ家の所有となります。(資料・写真:AmastuolaのHPより)
Amastuolaの代表するワイン:『Centosassi(チェントサッシ)』
プリミティーヴォ100%、アルコール15.5%とふくよかな味わいを堪能できます。これは筒型troncoconiciのオーク樽で醸造させ、12か月間木樽で寝かせます。
アリアニコも栽培しているが、タウラージに比べてアルコール度、糖度が比較的高くなります。南イタリア、とりわけプーリアのワインは15~20年前までは『VINO SFUSO』といって量り売りで販売されることが多かったのですが、酸がしっかりしたアリアニコをプリミティーボにブレンドして、より飲み易く造っていました。
『BIANCO SALENTO』ビアンコ・サレント
サレントで造るマルヴァジア(75%)とフィアーノ(25%)の白ワイン
アルコール度12.5%
Biologico(オーガニック)
夜のブドウの手摘み収穫 Vendemmia alla notte
気温18度位において、ブドウを収穫することで、冷やす必要がなく、その為のエネルギーも節約できます。
BIOLOGICO オーガニック
土壌と自然の関係性を守ること。除草剤や殺虫剤、化学肥料を使用しないこと。害虫駆除にはボルドー液を使用。酸化防止剤として亜硫酸塩は辛口赤ワインで100mg / L、辛口白ワインで150mg / L以下と制限すること。などの規定があり、アマストゥオーラもBIOワイン造りに努力しています。
酵母はセレクトして使用しています。ビオディナミは取り入れていない理由として、木樽を使用して自然酵母を育てて揮発酸を生み易くなることを避けたいという考えです。
水資源を大切に: コルモンスと共同研究で30%使用減に成功しています。
土地にも休みが必要:グリーンピースなどの5種類の野菜を栽培することで、マグネシウムを土に与えることができ、ブドウの樹の根も3倍に伸ばす事ができました。
草が緑肥となり、秋には麦の穂の絨毯となり、太陽の強い光から守られ、茸による菌が育ち、適度な湿度を生みます。こうして元の姿に戻してやります。
ワインは子供のようなもの
ブドウは熟すと色を付け、妊婦さんのようにブドウの実に蝋粉をつけたりして、種子を守ろうとします。酸度、糖度の条件が揃うとき収穫となります。自然のフェノロジー: 植物の発芽・開花・落葉などの活動周期が終わると、種を地面に残して1つの命のサイクルが終わります。
育成・熟成:エルバージュ(フランス語)、インヴェッキアメントinvecchiamento(イタリア語)
プーリアの気候、ミクロクリマよりブドウの糖度は必然的に高くなりますので、イタリア北部のバローロやアマローネのような木樽による長期熟成は不要だといいます。
マッセリアで泊まる!
近くにある町La Terzaはタイルが有名な町。地元のタイルを洗面台の壁や床に使用しています。
寒い中案内して下さったGiuseppeさん。
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(Kyoko Matsuyama)