2026年7月17日

2026年7月17日 (金)

2004年創業、 カタラット、グリッロ、ジビッボ、ネロダーヴォラ、ピニャテッロ(ペリコーネ)を栽培し、マルサラ地域のTerritorio(土壌、郷土)とそこで生まれた土着品種を表現したい。

Angelaさんはオペラ歌手のような通る声で熱く語ってくれました。

ここで紹介するBarracoのワインは新しいラベルです。現在のニーズに合う、アルコール度控えめの酸があってシチリアの海を感じられる幅広い層に親しんでもらいたい。

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1)BIANCAMARE  ビアンカマーレ

元は『Vigna a Mare』の名で親しまれたが、 他社が既に登録済みと分かり変更を要した。2人目の子供の名前 Biancaに因んで付けた。

畑は、ホームページのトップ写真に見られるが海から30mという近さ、海岸は岩場で道路を渡れば畑、飛び散る海水salsè di acquaを浴びる距離。元々Angelaの家族所有のマルサラの畑で植え直し、99%グリッロの南向きの若い畑です。

2011年、長女誕生を祝って泡を作ることにしたそうで、ブドウはPrematura、酸が高いうちに収穫。

ところが、2年目からスティル白ワインを作ることにした。この辺り特有の海藻の香りが太陽光で発酵し始め、炭化水素idrocarburi (ペトロ―ル香)、還元臭のような香りを生むそうです。

早期収穫であるため、11.5%の低アルコールになり非常に豊かなミネラル、酸、フレッシュ感を表現しています。2025年からば、BIOのSolfitiを添加、気候変化の煽りで、自然酵母の発酵に時間が掛かるなど、ワインを保護する目的で50mlだけ施すことにしたそうです。

テイスティングは2025年、 2026.3月にボトリングしたばかり。

レモンやヨウドの香り、口に含むとしっかりと酸、ミネラルがグリッロ品種の高いグリセリンによるまろやかさと交互にリピートされ、最後はミネラル感の余韻がある。

2)ROSAMMARE ロザンマーレ

2024年から始めており、こちらは黒ブドウNERO D’AVOLAを完熟する前に収穫して アルコール度11.5%に抑えています。

ブドウとしてはグリッロより酸が高いため、若いうちはベリー系の赤果実の香りと酸のバランスが面白い。野イチゴのような酸っぱさと熟した甘さが相まって、若いのか熟しているのか分かり難い感覚を覚えます。

ネロダーヴォラのステレオタイプなジャミ―な感覚と異なり、フレッシュ感を際立たせることでアルコール度も低く軽やかなワインに仕上がっている。硬さに偏りを持たせたワインなので好き嫌いはハッキリするでしょう。

アッビナメントはピッツァ、サルミ、ムール貝のトマト入りスープ。脂分を酸が流してくれます。

黒ブドウのピニャテッロはタンニンがあり、早期収穫ではタンニンが熟す前でBarracoの醸造では扱いづらいこともあり、ネロダーヴォラを起用したそうです。

Nero D'Avoraのステレオタイプなイメージとはかけ離れているため、初めは苦労したそうです。この辺りはビアンキスタ(白ワインが主流)の為、受け入れ難かったのも分かります。 樽を使わずステンレスやセメントタンクを使用するため熟成にはより時間がかかります。

2022年初めてネロダーヴォラとピニャテッロのブレンドを作ります。

ピニャテッロは歴史的には、酸が強く果実味が強いネロダーヴォラの補助品種でした。ピニャテッロのタンニンがネロダーヴォラの甘味を緩和していったのです。

その昔はピニャテッロは白ワインを琥珀色にしてマルサリスティカ(マルサラ地元好み)の白ワインにする手段としても使用されていたのです。色も風味も濃くなり、マルサラ酒用のワインとしても使用されていたそうです。ピニャテッロ100%のワインは歴史的には存在しなかったのは、おそらく樽や長期マセレーションが必要なことが分かっていたからだと思いますと。Barracoでも最新のヴィンテージは木樽も使用しています。

テイスティングは2024年、 後味にも酸の印象が続く、ネロダーヴォラとい品種の印象は薄く、海を感じる赤ワインとして面白い。

3)Fior Bianco  2025  最新ラベル

このワインは皆さんが美味しいと素直に感じると思う一本でした。

この地域を表現することを目的としたワインで、白品種のブレンド:50%はGrillo,その他は inzolia, cattarratto, Grecanico, 5%未満はZibibbo

ようやくブドウ畑24haになり海外市場への二―ズに応えられる規模となった。初めはCantina sociale(組合)の醸造所を間借りしていた時代もあり、やっと各品種ごとの研究成果をボトリングして商品化できるようになった訳です。

このラベル『フィオール・ビアンコ』はシチリアの海を感じるだけでなく、アルコール度12% と控えめ。価格帯も低めに設定しており、若い人たちや、ワインに詳しくない人にもアプローチできる。Barracoにとっても単一品種ではない新しいスタイル。

Zibibbo は5%未満なのにしっかりと感じられる。不思議な事にZibibbo100%で造るよりブレンドされた方が強調されるんですよ。

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とにかく、哲学が原動力の彼らのワイン造りは研究の積み重ねなのです。ですから、ワインの種類(ラベル)が多い。 そしてオリーブオイルも素晴らしかった。この辺りで栽培されるノーチェッラーラ・ベリチェ主体でビアンコリッラのブレンド。ここも高品質で作る為の人手やコストが掛かり、なかなか大変そうでした。

カタラットとグリッロについて、そのグリッロも4種あり、そこから生まれた『ALTOMARE』のワイン

個人的には『ALTOMARE(アルトマーレ)』がNinoBaraccoの傑作だと思うのですが、セミオッシダティーボ(一部酸化)のワインもご紹介いたします。

シチリアのワインNino Barraco①- Marsalaにあるマルサラ酒ではない伝統的なワインhttps://lci-italia.com/2026/07/ninobarraco.html

2026.06 Kyoko LCI

ALTOGRADO アルトグラード Vini Ossidativi

名前の通り、高アルコール度のワイン。 Alc.17%, 18% と聞くと今時、抵抗を感じるかもしれませんが、テイスティングすると、酸とミネラルによってバランスを取り、また特有の軽い酸化により風味に深みが感じられます。

さて、この謎めいたAltogrado (アルトグラード)をご紹介します。

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西シチリア、海から内陸に拡がるMARSALA(マルサラ)の町で昔から親しんできたワインがある。

酒精強化ワインのMARSALA DOCではない、確かに1773年イギリス人がアルコール添加して出来たマルサラ酒は当時Madeila Sicily Wineと呼び、英語という事も手伝って世界へあっという間に発信されたました。高値で売られた事もあり商業的な成功を収めました。

一方、マルサラの地元の人たちが作って飲んでいたのはシチリア方言もあり、また各家で呼び方も違って広まらなかったこともあり、今も専用のカテゴリーはなく、ブリティッシュ、オッシダティーボ(酸化酒)、など混乱している。

そこでNinoことAntonio Barracoは 『Altogrado(アルトグラード)』と登録、商品化しこの伝統維持に努めている。

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海を遠くに臨み、ファビニャーナ島も見える。周囲に遮る建物もなく常に風が吹いている。南東からシロッコ、北西からマエストラーレの風が通る場所です。マルサラの旧市街から離れた場所にカンティーナはあり、この絶景を望みながらのテイスティングはとても心地よかった。

今回は奥さんのAngelaさんに案内して頂きましたが、二人とも醸造を勉強した経験はなくNinoさんは政治、Angelaさんは法律と異なる分野の経験を経て、生まれ育った郷土マルサラの伝統を未来に繋ぎたいという想いで【哲学的】にワイン造りを行って20年以上が過ぎた。

参考までにこちらのYoutubeでNinoさんが語っています。『ワインもPolitica政治です、どの政党(方針)を選ぶかなど』


YouTube: Ep.36 - NINO BARRACO e i suoi VINI raccontati da NINO BARRACO

2004年創業、ようやく点在する畑は24ヘクタールまでになった。醸造所は組合(Cantina Sociale)に間借りしていた期間も長かった。

Altogrado アルトグラード4種類について

ピニャテッロ、ジビッボ、カタラット、グリッロの単一品種で作っている。

すべて9月末頃の遅積みで時には畑上で乾燥が始まっていることもあるほど、完熟状態のブドウを使用します。 ですから良い年にしか作れません。乾燥も一部する事からモストの量は減少しますので、一定量は収穫できる年となります。

栗の木の大樽で発酵から醸造、熟成まで行います。初め2年間はワインの充填を施しながら熟成、後の5年は充填無しで、ミクロオッシジェナツィオーネ(ミクロ酸化)を行います。栗の木はより目が粗く酸素通過が良く、この辺りでは伝統的に使用されています。

蒸発する分、濃度が高まりアルコール度数も高くなり16.5%以上になります。

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2009年からグリッロで造り始め、研究を重ねて2015年から多品種も始め、ようやく今のレベルのワインに到達した。黒ブドウ Pignatello(ピニャテッロ)はペッリコーネのことで、元々この辺りではマルサラ酒用のブドウであり、またネロダーヴォラのブレンド用品種として西シチリアにだけ栽培されてきた。 

モデルとしてはMarco De Bartoliの Vecchio Samperi(ヴェッキオ・サンペーリ)で、グリッロ100%で造るPerpetuo(アルコール添加せずに異なるVTのワインの継ぎ足しを繰り返す製法)のワインであったが、

Nino Barracoは同じヴィンテージで継ぎ足しは行わない、マルサラ地域の農家で彼らの祖先が行ってきた伝統を継承しつつ、海水を吸収して育つブドウ栽培や醸造技術を駆使して、ミネラル、塩味とのバランスが取れたワインに仕上げている。

初年度はVolatile (揮発酸ー酢酸の鼻にツンと来るような香り)がピニャテッロにはあったり、Zibibbは予想外にこの造りに合っていて、今後の発展が興味深い、というように努力を惜しまない姿勢が素晴らしい。

Grilloから始めたが、グリッロは近年のカタラットとジビッボの交配品種なのでおそらく昔はカタラットを使用していただろうと思うとやはりカタラットで作ってみたくなったのです。そうして、更に地場品種のジビッボ、ピニャネッロと研究していったそうです。

Altgradoアルトグラードはアッビナメントを楽しみたい。

①Pignatello ピニャテッロ

  羊乳のリコッタのブルスケッタ、イチゴとモディカのチョコレート 

②Zibibbo  ジビッボ 

  羊乳のブルーチーズにジンジャーのジャムを添えて

③Catarratto カタラット

  ペコリーノチーズにタマネギの甘酸っぱいジャムを添えて

④Grillo グリッロ

  プリモサーレ(塩味があるフレッシュチーズ)にアンチョビを合わせて。 実際、Tutto pasto 食事の最初から終りまで通してこのワインで行くこともお勧め。

 アンチョビのブルスケッタ、ボッタルガのパスタ、マグロに甘酸っぱいタマネギソース(Tonno in agrodolce) , ムール貝のフリット(ほんのり苦み) ,ドルチェは甘すぎない羊乳リコッタクリームのカンノーロ

酸やミネラルが強いため、アルコール度数を感じさせず口の中はスッキリさせてくれます。

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テイスティングは2017年、抜栓してから10日ほど経っていたが、酸とミネラル感がしっかりと感じられ、各品種それぞれの風味を味わう事が出来ました。 

カタラットやグリッロは明るいアンブラ色で、アーモンドなどナッツ類や燻製のような香り、黒ブドウのピニャテッロは色も焦がしたようなレンガ色、除光液のアセトン系の香りとナッツやスパイス香が楽しい。

特に気に入ったZibibboはアロマティックな香りと相まって複雑でバルサミックな香りがそそられます。

この風景と一緒にゆっくりと味わいたい、Angelaさんが熱く語った情熱を想いながら頂きたい。

この情熱はAltogradoだけに終わりません・・・マルサラへの想い、家族との思い出も語ってくれました。こちらもご覧ください。

https://lci-italia.com/2026/07/ninobarraco-malsara.html

2026.06 Kyoko LCI