
Il Presidio Slow Food del Pane Nero di Castelvetrano 2008
カステルヴェトラーノの黒パンは2008年にスローフードに認定される。
2つの石臼はFilippo Drago氏の祖父、父親から譲りうけたもので、1970年代終りにこの製粉所へ運ばれてきた。ところが、当時歴史的な製粉所が、産業構造の変化とともに姿を消していく。そんな中、唯一ここMolino del Ponteが扱う古代小麦Tumminiaは、郷土の黒パンを作るためにパン工房から求められたのだ。
写真右はBAKERの計量器、祖父の代から使っている、その後ろに見えるのが最新式ロール式製粉機たちです。
伝統的製法の石臼と近代的な石臼製法の違い
Antico Mulino a Pietra (伝統的な石臼製法)はどんな仕組み?
石はフランスのLa Ferté-sous-Jouarre(ラ・フェルテ・スー・ジュアール)地域で採掘された、非常に硬く耐久性に優れた珪石で、上下石が摩耗しない仕組みのため長期に使用できます。
下側の研石はMacina dormiente(眠る臼)と呼ばれ固定している。
上側の石はMacina danza (踊る臼)と呼ばれるように、リズミカルに上下運動もしながら回転します、つまり上下の石の間には遊びがあり、触れない仕組みです。
この仕組みにより胚芽やふすまも含まれたまま、パンやパスタ製造に直ぐに使用できる品質の高い製品に仕上がります。
近代的な石臼の場合、軸で2つの石を固定する為、完全水平に回転します。高熱が発生し、栄養価を損なうだけでなく、挽かれた後にムラができ易いため、ロール式電動製粉機に再度かけて商品化する必要があります。
最も重要な品質保証:『異物混入のない製品』 la pulitura del grano
5階建ての製粉所は階によって機能をすみ分けし、とてもキレイに衛生管理されています。
(Trebbiatura)脱穀した後の状態では、まだ鳥の羽や昆虫などあらゆるものが含まれているため、フィルターや吸引機など対象ごとに適した機械を利用し取り除きます。
昆虫の卵を破壊する最新鋭の機械まであり、上質な小麦粉を作るにはあらゆる点に注意を払って、そこに投資も必要であり、それは商品価格にも反映するのは当然なことです。
Filippoさん:「現実は『ハイジの世界』のようにはいかないんだよ。 伝統的な石臼製法を行うためには脱穀後の清掃、異物除去が品質保持に大事なのですが、なかなか完璧に行っているところは少ない。だから、もし見知らぬ業者の石臼製法であれば、ロール式機械で製粉した方を選びます。」
更に、フィルス・テスト(Filth Test)分析し混入物0にした上でMacinazione 粉挽を行います。
テロワールを感じる
厳格なクリーニング工程を経た結果、Filippo氏の小麦粉はシチリアのテロワールが生む、ディルやカモミール、フィノキエットのような野生ハーブの香りがする訳です。
特有の香りの一つに『meliloto(メリロート)』があります。マメ科の植物スイートクローバーが小麦畑の雑草として混ざることがあり、その種子特有の芳香成分が香ります。
製粉前の袋からメリロートの種子を探し出し渡され、「前歯で噛んでみて」と。中々噛めなかったが、少し砕けると口いっぱいにフィリッポさんのパスタを食べた時の香りが広がりました。

品質保証のもう一つの理由
フィリッポ氏のこだわりはきめ細かい。最後のConfezione袋詰めにおいて、窒素を投入して酸素が入らずより品質を長く保つように工夫されています。賞味期限としては6カ月より長くなります。
袋詰めの際に、ロットごとに袋を開けて香りの検査も行うという徹底管理。
衛生的な環境、従業員に快適な環境作り Ambiente igienico
機械も、石臼もすべて分解して掃除し、また組み直すという手間を掛け、衛生環境を厳しく管理している。
太陽光パネルを屋上に設置し、自社消費エネルギーを再生している。また施設内は気温30℃を保ち、最新ロール式製粉機は静音で稼働するなど、製品にも人にも優しい環境作りに徹底しています。
最新のロール式製粉機(mulino a cilindri)
精製した白い小麦粉にするには、最新式のロール式製粉機を使用します。
こうしてニーズに合わせてシチリアの古代小麦を未来にも継続することが目的です。

次の記事では、フィリッポさんの小麦粉についてお話しいたします。
2026.06 Kyoko LCI