6月28日のイタリア映画セミナーにご参加有難うございました。
「食文化と映画」というテーマにおいてイタリアの映画を食に関するいろんな切り口から観て参りました。
映画における味覚を表現する方法とは。食事は、伝達(コミュニケーション)機能を持ち、人間関係も表すことができます。また、食事を頂くシーンでは思い出・喜び・愛情・誘惑などいろんな感情が表現されます。
前半は、社会批判をテーマに
Pier Paolo Pasolini 監督の La ricotta『意志薄弱な男』やMarco Ferreri監督の La grande abbuffata『最後の晩餐』をご紹介し、貧困、贅、死と食の関係を考えてみました。
前者は貧困生活を送る男が犬を売って手に入れたリコッタチーズを暴食する。後者は裕福な4人の男が、豪邸で贅沢な食事を死ぬまで食べ続けるという、モラルの衰退を表すものです。
公開当時は多くの批判を受けた2作品ですが、イタリア映画史に残る作品となりました。
そのほか、『ミラノ、愛に生きる』Io sono l'amoreや『イタリア式離婚狂想曲』Divorzio all'italianaをご紹介。
次に打って変わって、楽しく! 北部と南部イタリアの食文化の違いを、「南イタリアへようこそ」「北イタリアへようこそ」のシリーズ作品を観ました!
担当講師は、シチリアとミラノの出身の先生でしたので、具体的に文化の違いを説得力を持って解説頂きました。
ストーリーはミラノ出身の男性が、ナポリに転勤になるところから始まるのですが(2作目ではナポリの男性がミラノへ転勤となる)、お互いに南北の数々のカルチャーショックを体験します。
ナポリのマンマ特製の「Sanguinaccio」豚の血入りのチョコレートや、ミラノのバールのコーヒーメニュー(さらには水まで沢山種類がある)の多さに驚きました。
後半では、イタリアの喜劇と食事をテーマにご紹介。
教室は笑いに包まれて、さすが年月が経っても色褪せないイタリア喜劇の名優たちの演技ですね。
イタリア喜劇の代名詞TOTO'のアドリブが楽しい『貧困と貴族階級』Miseria e Nobilta'、アルベルト・ソルディの『ローマのアメリカ人』Un americano a Romaと『困難な人生』Una vita difficile, ダイエットブームをコミカルに描いた『ファントッツィの人生』Fantozzi contro tutti, 巨大ヌテッラが登場するナンニ・モレッティ『ビアンカ』Biancaをご紹介。
次に、海外におけるイタリアの食文化。
ご存知伊丹十三監督の『たんぽぽ』、ご婦人がスパゲッティの「正しい食べ方」としてスプーンを使いなさいと教えるシーン。でも結局はフォークだけで、そばのように音を立てすすって食べてしまいます。このシーンの解説で、 「イタリアではスプーンは小さい子しか使わないですし音も立てません・・」と熱弁。
ジュリアロバーツ主演『食べて、祈って、恋をして』のパスタを幸せそうに食べるシーンや、『7つの大罪』の旅路で泊まらせてもらった家の人妻の誘惑よりも、その家にある美味しいリコッタチーズを食べることを選んでしまう男のシーンなど、沢山の映画からイタリアの食文化を少しでもご理解頂けたならば、幸いでございます。
ご紹介した映画の中には、日本未公開の映画もございましたので、詳しい方にも楽しんで頂けたようです。興味深かった・・というご感想を皆様より頂き、感謝です。
次回のLCIのイタリアイベントは『Aperitivo Musicale』!
夏の夕べにイタリア音楽のギター生演奏を聴きながらワインを楽しみましょう。
詳しくは下記をご覧ください。Vi aspettiamo!
7月31日(金) Aperitivo Musicale イタリア音楽とアペリティーボ
☆ご参加された日伊文化交流会柴田様より感想ブログを頂戴しました☆ Grazie mille!!!