オルトレポパヴェーゼのワイナリー【Ca’ del Ge'】

 オルトレポパヴェーゼの標高380mの丘陵地モンタルト・パヴェーゼに約40haの畑を所有する。この辺りは白ブドウとバルベーラを栽培し、7㎞ほど離れたチゴニョーラでは黒ブドウ、コラティーナとウーヴァラーラを栽培している。モンタルト・パヴェーゼの城を背景に畑が広がっている。

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年間15万本の生産量。現在の当主は3代目にあたる家族経営。SaraさんとStefaniaさんの姉妹がカンティーナを管理し、弟が畑を管理している。母親は現役のスーパーバイザーだそうです。

ですから祖父の代に始まったワイナリーで、70年代にようやくあらゆるタイプのワイン造りを取り入れて発展してきました。この辺りは Valle di Rieslingリースリング溪谷と呼ばれるほど、リースリング栽培に適している。粘土質と石灰石が広がる土壌で、ミネラルをブドウに与えてくれる。別の黒ブドウが多い畑では砂質が多く含まれる。

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写真右)SARAさんが持っている石がこの辺りに見られる石灰質石。

【収穫について】

近年の気候変化によって収穫時期は約2週間前倒しとなり、ブドウは健康だが小さく、糖度が高い状況で
摘むことになる。よって最近は白ワインでも14-15℃、赤では16℃と高めである。

やはり温暖化で注意するのはブドウが完全な状態で収穫されること。既に潰れていると酸化やカビが
発生し易くなります。また収穫から圧搾までの時間を出来るだけ短くしています。

機械摘みの場合、ブドウの樹を強く叩いて果実だけを取り込み、枝は残します。それだけ、果実を潰し
易い状況になるのです。よってメトドクラシコのスプマンテ用のピノネロは手摘みで1かごに18kgまで
取り込んだら次のかごへという風に潰さないよう注意を払っています。
2024年はその前、一昨年前も干ばつに悩まされたのに対し、春、秋と大量の雨が長く続いたことで、
畑の管理に苦労を要した。収穫量は40%の減少、とりわけクロアティーナは遅い収穫時期のものなので、
更に減少した。

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ここも人手不足もあり機械化を進めている。畑は縦に栽培し(Ritocchino)機械が入りやすい仕様に
変えた場所も多い。栽培仕立てはグイヨ仕立て、特に機械化を進めているところは、高めのカザルサ
Casarsaを採り入れている。

2020-2021年は雪が沢山降ったそうで、真っ白な畑の写真があった。雪や氷の重みでブドウの樹の枝が
折れる音が聞こえたそうです。しかし、ブドウの樹は休眠期なので全く悪影響はなく、むしろ雪が
じわじわ溶けて土深く水がしみ込んでいくことが、土壌にはとても有効である。

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ピノネロ・メトドクラシコ・スプマンテの醸造

写真左のジャイロパレット(動瓶・ルミアージュ作業)は木製で珍しい! 
彼らも少量しか持ってなかった為追加注文したが、もう作ってないそうです。
写真右の手動ルミアージュはもう使用していない。

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右上の写真をよく見ると、ひとつ穴が開いているのが分かりますか?

全てマニュアルで並べているそうで、たまに起きてしまうそうです。

ピノネロの長期熟成に向いている性質から4-5年は酵母Lievitoとのコンタクト(2次発酵)を行います。試験的に15年ものもあります。

年間約50,000本の生産をしているが、澱引き(デゴルジュマンSboccatura)は同時には行わない。
出来るだけ酵母とのコンタクト期間を長くするために、年に数回に分けて澱引きを行います。
デゴルジュマンの機械は専門の車両サービスに依頼している。車両内に最新の設備を整えて
必要な時にやってきてくれるので、ボトルを運ばなくてよく、また費用的にもコストダウンできる。

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【BUTTAFUOCO Fajro DOC 2021】 ブッタフオコDOC

 火を放つという意味の名前で面白いこのDOCは限定的に生産されている。

 7つのCOMUNE(村)に制限されている。
 クロアティーナ50% バルベーラ 40% ウーヴァラーラとヴェスポリーナ 10% 
 規定では義務ではないが、基本的にタンニンしっかりなため、樽を使用して熟成させます。

 クロアティーナはフェノール熟成が遅く、皮が厚い。ボディを与える。
 バルベーラは皮が薄く、繊細。ちょっとした雨などの刺激で破れやすい。酸を与える。
 ウーヴァラーラは色を与える。ヴェスポリーナはタンニンとスパイス香を与える。
 ブレンドなので各品種の特徴によってバランスのよいワインが生まれる。

 収穫は同時に行うので、各4種のブドウがいい状態である時を見分ける必要がある。

[ワインテイスティング]

【RIESLING O.P. DOC BRINA】リースリング DOC ブリーナ

※アルトアディジェで開催されるリースリング・コンクールで上位に入り、注目されている。
ブドウ:リースリング・イタリコ
手摘み収穫後、出来るだけ早めにソフト圧搾を行い、フレッシュさを保っている。その後
温度管理されたステンレスタンクで醸造し、ボトリングまで寝かせる。

色は薄い麦わら色で緑がかっている。香は強くフローラル、フレッシュなトロピカルフルーツ
やリンゴなど味覚でも酸がしっかりあり、ほんのり苦味を感じる余韻が長い。
アルコール度数
13% vol


【PINOT NERO METODO CLASSICO BRUT MILLESIMATO DOCG 2018】

 ピノネロ・メトドクラシコ ブルット ミッレジマート2018 DOCG

受賞したワイン! 標高の高い畑で栽培、36カ月以上酵母とのコンタクト(Presa di Spuma)
栽培仕立ては カザルサ casarsa (高めの仕様)
残糖度 5g/L  Brutと表示しているが、Extra Brutのカテゴリーでもある。
イタリアは残糖度低めが流行っているようです。

澱引き(Sboccatura)は一斉に行わないので記載するようにしている。2024年11月と記載。
アルコール度数 13%
手摘みでソフト圧搾。ステンレスタンク17-18℃でアルコール発酵。ワインベース、
糖、培養酵母(ティラージュ)を加えてボトリングー12~14℃で2次発酵へ。

36か月以上酵母とのコンタクトを行う。

澱が固まらないようにルミアージュ(動瓶)を行い、販売前に澱引きをして栓をします。

色は輝きのある麦わら色。気泡は細やかで持続性がある。パンの外側の硬い部分の香りなど。
酸がしっかり、エレガントな仕上がり。

【BUTTAFUOCO DELL'O.P. DOC FAJRO】
 ブッタフオコ デッロルトレポパヴェーゼDOC ファイロ 2021

4種類のブレンド
木樽(使用済み)で2年の熟成を施す
アルコール度数 16.5%
色は濃いルビー色。香りはベリー系のジャム、スパイス香が強く感じられる。口に含むと
ボディのしっかりとした余韻が続く。

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HP:https://www.cadelge.com/it/
2025年1月訪問 Kyoko M